NIPSは女性を無視して乳首について笑い続けます

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1.NIPSは女性を無視して乳首について笑い続けますまとめ

・Neural Information Processing Systems conferenceは頭文字がNIPS
・NIPSとは乳首を表す単語でもあるのでハラスメントを誘発しがち
・名称変更案は否決となったが戦い続ける女性もいる

2.NIPSの名称問題とは?

以下、medium.comより「NIPS AI Conference to Continue Laughing about Nipples at the Expense of Women in Tech」の意訳です。元記事の投稿は2018年10月26日、Therese Kochさんによる投稿です。例によって、Jeff Deanがイイネしていた記事です。ちなみに本記事投稿後の11月16日にNeural Information Processing Systems conferenceの理事会は略称をNeurIPSに変更する事を正式にアナウンスし、2018年のカンファレンスからNeurIPSが正式な略称になります。良かったです。

先週の火曜日、Neural Information Processing Systems conferenceは、カンファレンスに以前出席した事がある人々からアンケートを取った結果、カンファレンスの名称を変更しない事に決定したと発表しました。もし、貴方が頭文字を見てピンときたのならば、何故、名称の変更が議論されているのか、すでに理解しているでしょう。NIPSは、世界で最も大きくかつ最も有名な人工知能会議の1つです。今年はカナダのモントリオールで12月3日から8日まで開催されます。

このカンファレンスの名称の性的な意味合いは何年も秘密ではありませんでしたが、特定のAI研究者、特に女性は、カリフォルニア州ロングビーチで開催された昨年のカンファレンスでより公然と声を上げ始めました。

男性比率が圧倒的に多いこの研究分野の中で、多くの女性はこの名前に不快感を感じています。これはしばしば粗末な冗談を引き出し、嫌がらせの扉を開きます。例えば、昨年の基調講演では、聴衆はElon Muskのtits(乳)とnips(乳首)に関するジョークに喝采しました。AI関連企業のDessa社(旧DeepLearni.ng)は、「My NIPS are np-hard(私の乳首は難解よ!とでも訳せばいいんだろうかコレ)」というスローガンをプリントしたTシャツを着て宣伝をしていました。かの企業は「ダイバーシティ(多様性)」を自ら宣言していますが28人の従業員の「多様な」チームには、わずか4人しか女性はいません。

訳注:2017年のNIPSでは、TITS 2017と言うNIPS 2017の自称姉妹イベント(もちろん非公式)が同時開催され、TITS 2017の講演で自動運転電気自動車で有名なテスラのCEOのElon Muskが「There is no NIPS without tits on stage.(乳なくして乳首は成り立たず)」と言うジョークを言ったとか。NIPS本体の講演ではないので、この書き方だとElon Muskがいきなり空気を読まない失言(実際に空気を読まない失言が相当多い人ではありますが)をしたように読めて少し可哀想ですが、この騒動の事を知って、何故、Jeff Deanが「不快に感じる人がいるのならば名前を変えるべき」と名称変更に一票を投じていたのか理解しました。それにしても、NIPSの名前が相応しくないと言う話は聞いた事があったのですが、Neural Information Processingとニューラル関連に限定してしまっているからだと思っていました。こんな中学生レベルのノリの話であったとは、世界中の学習者が憧れるトップカンファレンスなのですからもう少し自重して頂きたいです。

だから会議が最終的に名前の変更を検討すると発表したとき、それは正しい方向への第一歩のように思えました。しかし、彼らが行った調査はそうではありませんでした。NIPSは本質的にファンシーな統計に関するカンファレンスなので、サンプリングバイアスのような概念が理解されている事を期待するかもしれません。

調査に回答した2270人の元参加者のうち、1881人が男性で、女性は294人しかいませんでした。(95人は性別を明らかにしませんでした。)会議の元参加者だけに回答を依頼したら、男女比は当然このように崩壊することを主催者は知っていなければなりませんでした。これは、この問題の影響を最も受けやすい少数民族 ~女性~、の声を捨てさり、会議の名称やハラスメントのために会議に出席しなかった女性の声を完全に広範囲に消し去ります。

懐疑論者は、アンケートに答えた女性が、44%が名前の変更を支持し、40%が現在の名前を好み、16%は無関心であったため、「合意が得られていない」と指摘します。それは、より深いレベルでの論点を外しています。女性は名前が不快だと全会一致で同意することはできませんが、それは調査に応えた130人の女性が(多くの男性と共に)名前を変えたいと思っている事実を覆しているわけではありません。

名前を変更したくないという理由は複数あるでしょう。伝統と知名度のため、もしくは、名称の変更は実際の結果が伴わないジェスチャーと感じている、あるいは本当に今の名前を面白いと感じているから。しかし、これらのどれも、不安に感じる女性がいる事や客観的に見て専門的な会議の名称としてふさわしいかという観点から、同じレベルの重要度ではありません。現状維持を望む人の数に関わらず、130人の女性が名前を変えたいと思っています。それは簡単に肩をすくめてやりすごして良い話ではありません。

調査結果の発表では、NIPSは、会議で多様性を促進するために一定の措置を取ると発表しました。彼らはダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包含)のポストを新たに用意し、他の取り組みとしては育児支援を導入する予定です。これらは確かに歓迎された変更ですが、これらと名前の変更の両方が実装できない理由はありません。名前をそのまますることに賛成している人の中には、このアンケート調査と議論を、技術的な仕事においてる女性が直面する主要な問題から目をそらさせる事になってしまうと投稿した人もいました。確かに沢山の問題がありますが、今回の名称問題のような好ましくない労働環境は女性が直面する問題の主要なものです。長期的には、名前の変更はそれほどコストがかかりませんし、変更しない事により他の多様性イニシアチブを犠牲にしてしまう結果となるでしょう。もし、問題がNIPSの知名度の問題であるならば、早く変更した方が周知される期間が長いのでベターです。NIPSへの出席希望者は毎年増えており、今年の会議のチケットは12分以内に売り切れとなったため、名前の変更が出席率の大幅な低下を招くとは考えにくいです。

この調査を実施し、結果を公表することにより、NIPSの主催者は、彼らが重要な声明を行った事を知りました。彼らは、性差別や嫌がらせを助長する伝統に反対するのではなく、ただ過半数、過去に会議に出席した男性の過半数をもって意思決定しました。名称変更を求めて公に意思表示し、自分のキャリアを危険にさらすリスクを取ってまで名称について異議申し立てをしている女性達ではなく過去に出席した男性の多数派意見を採用したのです。

この問題について強い思いを抱いている場合は、下記リンクのchange.orgのNIPSボード宛ての公開書簡に署名して、再考を求めください。

3.NIPSは女性を無視して乳首について笑い続けます関連リンク

1)medium.com
NIPS AI Conference to Continue Laughing about Nipples at the Expense of Women in Tech

2)www.change.org
#ProtestNIPS: NIPS acronym encourages sexism and is a slur. Change the name

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