1.NIPSに初めて参加する前に知っておきたかった9つの事まとめ
・Jennifer Wortman VaughanさんのWiML2017の開会の挨拶
・NIPS以外の科学的なカンファレンスに最初に参加する際にも有用なアドバイス
・内向的な人もなるべく頑張ってお友達を作りましょう
2.NIPSに初めて参加する前に知っておきたかった9つの事
この記事はマイクロソフト研究所のシニアリサーチャー Jennifer Wortman VaughanさんがWiML2017の開会の挨拶として行った講演がmediumに掲載されたものです。ちなみに本記事投稿後の2018年11月16日にNeural Information Processing Systems conferenceの理事会は略称をNeurIPSに変更する事を正式にアナウンスし、2018年のカンファレンスからはNIPSではなくNeurIPSが正式な略称になります。
私は今年で12回目を迎えるWiML(Women in Machine Learning)の年次ワークショップ、WiML2017の開会の挨拶をする事に興奮しています。まず初めに、このイベントの開催に惜しみない労力をつぎ込んだ主催者に感謝する事から始めたいと思います。彼らに拍手を!
従来、この開会の挨拶は、機械学習コミュニティの中で活躍している女性の数を数え、過去数年にわたってどのように推移したかの統計を発表する事が慣例でした。
私もそのようにしようと思ったのですが、出来ませんでした。
私は過去何回、コンピュータの前に座って、プログラム委員会やボードメンバー、キーノートセッションの女性の数を数えて、発表したでしょうか?数え切れません。同じ事を繰り返す事は出来ませんでした。状況は良くなっているでしょうか?うーん、ネタバレ警報!今夜のNIPSのオープニングレセプションに参加すれば、貴方はこれまで通り落ち込むいくつかの統計を見る事ができるでしょう。
その代わりに、私は良い事に集中する事にしました。皆さん、そして皆さんは私と同じ部屋にいると言う事実です。
私はこの開会の挨拶をNIPSに初めて参加したこの部屋の女性たちに捧げたいと思います。そして、あなたに歴史的統計の推移を教えるのではなく、2005年に初めてNIPSに来たときに私が知っておけば良かったと思ったことを伝えるために時間を使うつもりです。
(1)NIPSの参加者は全員ある時点で自分を詐称者のように感じます。ほとんどの人々は未だにそう感じます
一番重要な事から始めましょう。
機械学習は大変なブームで、そこには沢山のロックスター級の有名人や伝説的な機械学習研究者がいます。貴方は、対照的に、研究を始めたばかりで機械学習コミュニティの中では相対的に素人同然なのに自分が専門家面をしている詐称者のように自身を感じてしまうでしょう。
断言します。NIPSの誰もがある時点では自身を詐称者のように感じました。本当です。皆です。最大級の有名人でさえもです。そして、ここにいるほとんどの人はおそらくまだ感じています。少なくとも時々は。
開会の挨拶の準備をする際に私が感じた事を言わせてください。
1)
開会の挨拶をするなんて間違いかもしれない。私は十分に成功していないし、少なくとも十分に有名ではない。誰も私からアドバイスなんて欲しがらないんじゃないだろうか?
2)
私の研究分野の半分は、機械学習でさえないのに、誰が私からアドバイスを望むのだろう?と言うか、私は機械学習関係者と名乗って良いのだろうか?何で私はここにいるのだろうか?
はい、私は過去12年間にわたってNIPSに参加しています。私は今年、チュートリアルの責任者になりました。そしてこのワークショップの共同設立者です。しかし、私はまだ人々が私を機械学習コミュニティの一員として見なさないのではないかと心配しています。しかし、私だけではありません。私たちはみんな、自分を詐欺師のように感じる時があるのです。
(2)誰もが皆、既に知り合い同士のように感じます。でも違います 。
会場を歩くにつれ、参加者は既に皆知り合い同士であるかのような印象を受けます。でも違います。
NIPSは超高速に成長しており、貴方のように初参加の人は沢山います。貴方が自己紹介をしてこんにちはと言えば、彼らの多くはおそらく初対面の人と挨拶する事に興奮します。私たちの多くもあなたに合えて興奮します。初対面同士で挨拶しているだけでもお互いに興奮しているので旧友同士が久方ぶりに敢えて旧交を温めているように見えるだけなのです。
(3)全ての講演に参加する必要はありません。それは重要な事ではありません。
あなたはすべての講演に参加する必要はありません。実際、すべての講演には行かないでください!それは会議で重要な事ではありません。あなたは会話のためにここにいます。夕食会の会話、そして会場での即時の議論の会話のためにここにいます。
誰かが最近私に「rule of five」を教えてくれました。1日に5回以上の講演は吸収する事はできないので、自分自身に座ってもっと沢山の講演を聞くように強制しないでください。
率直に言って、時には5つの講演でさえも多すぎます。
(4)貴方が出席すべきと感じた講演以外の講演にも参加してください
次に、1日に数回しか講演に出席できないとしたら、自分の研究に最も関連した講演に参加するべきだと考えるかもしれません。しかし、私はここであなたの時間の一部を使って、あなたが全く知らない新しい1~2つのトピック、本当に刺激的な話題を探究することをお勧めします。思いもしなかった自分の研究との興味深いつながりを発見するかもしれません。
ワークショップはあなたが1日何か新しいものに完全に浸ることができるので、特にこれに適しています。チュートリアルもこれに最適です。
(5)質問は会話を始める良い切っ掛けになります
講演を聞いた後に講演者に質問してください。貴方が恥ずかしがり屋な場合は、質問時間ではなく廊下で講演者を捕まえましょう。質問する事は自己紹介と会話を始める良い切っ掛けになります。
(6)貴方の研究を簡潔に説明できるように練習しましょう、それが苦痛であっても
次です。貴方の研究を簡潔に説明(research pitch)できるように練習しましょう、もしそれが楽しくなくても。貴方が合った人々は必然的に貴方の研究について尋ねる事になるのですから、何故準備しないのです?
高いレベルで行えるように保ちましょう。細部ではなく、貴方のゴールにフォーカスしましょう。この研究を熱意を持って行う事になった最初の理由を考えてみましょう。
私ですか?私は、人間とアルゴリズムの相互作用を伴う問題に興味があります。私の学問的バックグラウンドは、機械学習理論とアルゴリズム経済学の両方にあり、インセンティブや戦略的行動が出現する状況でのコンテキスト内のアルゴリズム設計を行っています。私は市場予測とクラウドソーシングで幅広く仕事をしました。過去1年間、解釈可能な機械学習技術を設計することに本当に興奮しました。医師、裁判官、CEOなどが機械学習の予測を信頼して重要な意思決定を行うのに十分なものであると思って貰えるためにこれは重要な事です。私はMicrosoft Researchの学術的なグループの同僚と協力して、さまざまな状況で機械学習モデルを多かれ少なかれ解釈可能にする要因を理解することを目的とした行動実験を実施しました。
はい、私は私自身がresearch pitchがとても嫌いであると断言できます。それは本当に恐ろしい事です!私は裁かれることを恐れており、沢山の会話をする事がストレスであったため、何年にもわたって私自身の研究の成果に繋がるような会話から遠ざかりました。
私のようにはならないでください!あなたの研究を簡潔に説明できるようになりましょう!
(7)あなたが作る最も重要なコネクションは、あなたと同じ状況の人です
誰もが機械学習のロックスターに出会いたいと思っています。しかし、私はあなたにこれをやろうとすることをお勧めしません。この会議には他の多くの人がいます。私は最も重要なつながりは、他の大学院生や研究者など貴方と同じキャリアステージにいる人であると主張します。これらの人々は、将来、あなたの同僚になるだろうし、いつか彼らは有名になるでしょう。
大学院生として、私はNIPSで沢山の素敵な友人を作りました。彼らは今や最高の研究所の研究員や大学の教員となっています。我々は常にお互いのサポートとキャリアアドバイスのために付き合っています。実際、私は今週彼らのグループとディナーの約束をしており、久しぶりに合うので楽しみです。
そしてまた、実はこのワークショップ、WiMLはNIPSで培われた友情がきっかけで始まったのです。
(8)一人の新しい友人は沢山の新しい友人に繋がります
幸運な事に、新しい友達が多くの友人に繋がる事が良くあります。クールな人々は他のクールな人々を知っています。この傾向を貴方も利用させて貰いましょう。貴方が作った新しい友達と一緒にディナーに行き、新しい友人の友人達に貴方を紹介して貰いましょう。
数年後には、貴方自身が作った友人達に貴方の友人を紹介する事でこのお礼をする事ができます。
(9)隠れて休憩しても大丈夫!(内向的な人へ、私は貴方を見ていますよ!)
最後に、この最後のアドバイスはこの部屋内にいる内向的な人向けです。貴方は貴方自身がどんな人か知っているでしょう?
私自身、極端に内向的な人間で、私の友人は皆それを知っています。私はここに立ち、何百人もの前で私自身についてあまり誇れる事ではない事を公言する事ができますが、それは私が私自身をこれが出来るようになるために訓練したからです。
しかし、この講演が終わった後、一人で座ってしばらく壁を見つめて精神的に回復する事は私にとって大切な事です。
それで良いのです!
NIPSは巨大で激しい会議で、必要に応じて隠れて休憩しても良いのです。貴方が必要であるならば、本を読んだりビーチを散歩をしたり、運動をしたり。貴方が必要と思う事をしましょう。貴方自身が何を必要としているかに気づき、それについて罪悪感を感じないでください。
この9つと共にもう一つ、WiML(Women in Machine Learning)にようこそ!貴方の沢山の時間をここで使い、お互いに話し合い、質問をし合い、新しい友人を作ってください。今日、この部屋の人たちとresearch pitchを練習し、今週のNIPSを楽しんでください!
3.NIPSに初めて参加する前に知っておきたかった9つの事感想
Jeff Deanさんが下記のように絶賛していたので翻訳してみましたがやっぱり良かった。
技術的/科学的なカンファレンスに最初に参加する際に大変有用なアドバイス。特にNIPS(毎年12月に開かれる機械学習のトップカンファレンス:Conference on Neural Information Processing Systems)に限定した話ではないのでNIPSを貴方の参加するカンファレンス名に適宜読み替えよう。
私が参加してもビーチで散歩する時間が多くなってしまいそうだけど、NIPSイイナー。
4.NIPSに初めて参加する前に知っておきたかった9つの事関連リンク
1)medium.com
Nine things I wish I had known the first time I came to NIPS
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