QNN:量子ニューラルネットワークで手書き文字を認識させる(2/2)

入門/解説

1.QNN:量子ニューラルネットワークで手書き文字を認識させる(2/2)まとめ

・量子ニューラルネットワークでは従来のニューラルネットワークのアルゴリズムが通用しない
・特に超高次元空間では勾配が一定の範囲に収まったままになる不毛な台地問題が発生
・今回の量子ニューラルネットワークの構築と訓練に関する研究は将来的なアルゴリズム改善に繋がる

2.量子ニューラルネットワークの不毛な台地問題

以下、ai.googleblog.comより「Exploring Quantum Neural Networks」の意訳です。元記事の投稿は2018年12月17日、Jarrod McCleanさんとHartmut Nevenさんの投稿です。前半はこちら

論文、「Barren Plateaus in Quantum Neural Network Training Landscapes」では、量子ニューラルネットワークの訓練に焦点を当て、従来のニューラルネットワークで問題になる勾配の消失や爆発などの重要な難題に関する課題を探りました。従来のニューラルネットワークでは、偏りのない良好な推測のためには、しばしばランダム化が必要になりますが、いくつかの困難も存在します。

私たちの論文では、量子構造の特有の特徴が従来の解決手法を妨げ、量子ニューラルネットワークでは良い戦略ではなくなり、代わりに不毛な台地(barren plateaus)に陥る事を明白にしています。この研究が示唆する事は、量子ニューラルネットワークの初期化と訓練のための将来の戦略に繋がるかもしれません。


QNN勾配消失の図:超高次元空間における勾配の集中。 量子コンピュータによって探究されるような超高次元空間では、大多数の状態は直観的に超球の赤道付近に位置しています(左図)。 これは、この空間上の滑らかな関数は、無作為に選択されたとしても、圧倒的な確率でその平均に非常に近い値をとる傾向があることを意味します(右図)。

今回の研究は、量子ニューラルネットワークの構築と訓練の両方について、これらを改善していくためのステージを設定しました。特に、Googleのハードウェアを使用した量子ニューラルネットワークの実験的システムによって、近い将来に量子ニューラルネットワークを迅速に探索することが可能になります。私達は、今回の研究がもたらした洞察が、量子ニューラルネットワークを訓練するための新しいアルゴリズムを導き、量子コンピューターの可能性を最大限に引き出すことを願っています。

(QNN:量子ニューラルネットワークで手書き文字を認識させる(1/2)からの続きです)

3.QNN:量子ニューラルネットワークで手書き文字を認識させる(2/2)感想

量子コンピューターや量子超越性がいつ頃、実現するかは専門家の間でも意見が分かれるところなのですが、Googleはとても強気です。まぁ、実際量子コンピューター用のフレームワーク等も作り始めているので机上の空論ではなくて、勝算があるのかもしれません。

余談ですが、人間は三次元以上の空間は知覚できませんが、人工知能関連の勉強をしていると超高次元空間の話って良く出てきますが中々イメージできないですよね。もの凄い数学的センスと頭脳を持っている人は超高次元空間が何となくモヤモヤイメージできるなんて話も聞いた事があり羨ましく思ったりした事もありますが、ヒントン先生が「3次元空間を思い浮かべるのじゃ。そして『これは13次元空間だ!』と叫べ!皆、そうしてるのじゃ」とおっしゃっていたとオボロゲな記憶があるので、力強く叫べば解決するようです、ヒントン先生が言ってるのだから間違いないです。

4.QNN:量子ニューラルネットワークで手書き文字を認識させる(2/2)関連リンク

1)ai.googleblog.com
Exploring Quantum Neural Networks

2)www.nature.com
Barren plateaus in quantum neural network training landscapes

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