QNN:量子ニューラルネットワークで手書き文字を認識させる(1/2)

  • 2018.12.20
  • AI
QNN:量子ニューラルネットワークで手書き文字を認識させる(1/2)

1.QNN:量子ニューラルネットワークで手書き文字を認識させる(1/2)まとめ

・量子コンピュータを機械学習に応用するための研究が進んでおり2つの論文が公開
・量子コンピューターで実現する量子ニューラルネットワークは従来型ネットワークと構造が異なる
・量子ニューラルネットワークでもMNISTデータセットの手書き文字認識が理論的に可能である事が示された

2.量子コンピューターでニューラルネットワークを動かす試み

以下、ai.googleblog.comより「Exploring Quantum Neural Networks」の意訳です。元記事の投稿は2018年12月17日、Jarrod McCleanさんとHartmut Nevenさんの投稿です。後半はこちら

創立以来、Google AI Quantumチームは機械学習で量子コンピューティングをどのように活用できるかを理解しようと努めています。

グローバーのアルゴリズム(探索問題を解くための量子コンピュータのアルゴリズム)の存在は、量子コンピュータが機械学習の既存のモデルをより迅速に訓練するために有用であり得ることを示唆しています。そして、私達は複雑な量子システムがこれらの計算をどのように実行できるかを調べるために、実験的な量子コンピュータシステムを構築しています。これは非常に価値がある試みとは言えますが、従来のノイマン型コンピュータが現実的な時間で計算する事が不可能な程に複雑な計算について、量子コンピュータが解決策をもたらす事ができるかもしれないと言う魅力的な考えの実証にはまだたどり着いていません。

本日、私たちは、機械学習のために量子コンピュータの力をどのように利用できるか理解するために行った一連の試みについて、Google AI Quantumチームの2つの最新論文を発表します。最初の1つは、分類タスクを行うニューラルネットワークの量子モデルを構築し、量子プロセッサ上でどのように実行されるのかを調べたものです。2番目の論文では、量子の配置形状の特異な特徴が、量子コンピューターを用いたニューラルネットワークを従来のニューラルネットワークと比較してどのような学習方法の変更が必要になるかを示し、これらのネットワークを訓練するより堅牢な手法の指針を提供しました。

論文「Classification with Quantum Neural Networks on Near Term Processors」で、私達は、近い将来に利用可能になると予想される量子プロセッサで動作するように特別に設計された量子ニューラルネットワーク(QNN)のモデルを構築しました。今回の作業は主に理論的なものですが、これらの構造は近い将来に量子コンピュータで量子ニューラルネットワークの実装とテストを容易にします。

この量子ニューラルネットワークはラベル付けされたデータを用いる教師あり学習に適合させることができ、有名なMNISTデータセット(機械学習を学ぶ際に最初に学ぶ事になるケースが多い手書き文字データセット)の画像を分類するためにQNNを訓練することが可能であることを示しました。後続研究では大規模な量子デバイスで量子ニューラルネットワークを実現し、従来型コンピュータのニューラルネットワークと競う事ができるようになるかもしれません。


分類を行う量子ニューラルネットワーク(QNN)。ここでは、量子ニューラルネットワークのサンプルを図示しています。従来のディープニューラルネットワークの隠れ層とは対照的に、各ボックスは「量子もつれ」もしくは量子ビット上の「量子ゲート」を表しています。超電導キュービット環境では、各ボックスは対応するマイクロ波制御パルスによって制御することができます。

QNN:量子ニューラルネットワークで手書き文字を認識させる(2/2)に続きます)

3.QNN:量子ニューラルネットワークで手書き文字を認識させる(1/2)感想

まだまだまともな計算に使えるようなレベルに達してはいないと思っていた量子コンピューターですが、着々と前進しておりMNISTが理論的に学習可能である事を示したとの事で進歩の速さにただただ驚きます。なお本文中では、「従来のニューラルネットワーク」と訳しましたが原文は「Quantum Neural Network」に対して「classical deep neural networks」と記述してあり、まぁ、classical には「典型的な」という意味もあるらしいのですが、大本命の量子コンピュータ様から見れば、私達が「State Of The Art」と思っているテクノロジーは既にクラシカルなのかい!と突っ込みたくなりました。

それと、「量子もつれ」の意味が今ひとつ理解できない人は、大ざっぱに概念を説明しようと試みた記事があるので以下の記事もどうぞ。「量子コンピューターの動作原理を理解する

4.QNN:量子ニューラルネットワークで手書き文字を認識させる(1/2)関連リンク

1)ai.googleblog.com
Exploring Quantum Neural Networks

2)arxiv.org
Classification with Quantum Neural Networks on Near Term Processors