70歳定年制が国の方針として議論されはじめた事

入門/解説

1.70歳定年制が国の方針として議論されはじめた事まとめ

・ここ最近、新聞で高齢者の雇用継続や定年延長に関する記事が目立つ
・非常に腹立たしい事ではあるが、現実を見据えて個人としても備える事が大事
・年金は従来のように完全に頼る事はできない可能性が高いけれども依然として老後資金のベースとなる

2.70歳雇用が努力目標となった事

ここ最近、日本経済新聞で高齢者雇用に関連する記事が目に付きます。

・70歳雇用、努力目標に 多様な働き方へ政府検討 (2018/9/5 日本経済新聞)
・確定拠出年金、65歳まで加入延長を検討 厚労省 (2018/8/31 日本経済新聞)
・浮上する70歳定年制 人手不足で「高齢」問い直す (2018/6/16 日本経済新聞)

ネガティブな感想を持つ人が多いと思うのですが、私も下記日経の記事を読んでピクっと来てしまいました。

政府は15日の臨時閣議で、2018年の経済財政運営の基本方針(骨太の方針)や成長戦略を決めた。焦点となったのが人手不足への対応策だ。外国人労働者の受け入れ拡大とともに、もう一つ目を付けたのが65歳を超えても健康な高齢者。働く意欲をそぐ年金の仕組みを見直し、長く働く人を増やして人手不足を補う。骨太に打たれた高齢者活用の布石を読むと、「70歳定年制」が視野に入る。

「働く意欲をそぐ年金の仕組み」だと!?山田君、これ書いた人は年金があると働く意欲が出ないそうだから年金全部取り上げてしまって!

皆さんも頭にくる事は多いと思うのです。暗い気分になる事もあるかもしれません。私もまだ消化しきれていませんが、いくつか年金に関するヒントを。

平均寿命が間違っていると言う事は、それを使って試算している年金制度設計もまるで間違っていると言う事です。元々の試算が間違えているのですから残念ながら現在の年金制度は持続可能ではないです。強調しておきたいのは、年金支給年齢が今後引き上げられるのを黙って受け入れるべきと言っているわけではないです。そこは選挙で意志を示した方が良いと思いますが、「現在の年金制度は持続可能ではない」事を前提に人生計画を考えた方がベターと思います。

・「年金は信用できない、絶対貰えないのだから払いたくない or 払わない」と言う意見には耳を貸してはなりません。「制度をあまり良くわかっていないまま批判している人」もしくは「不動産や保険、何らかの金融商品を売りたいために批判している人」のいずれかで、具体的な代替案を持って批判している意見を見た事がありません。

・逆に「年金は絶対破たんしない」と主張する意見にも耳を貸してはなりません。「破たん」=「一円も年金が貰えない事」と定義して絶対破たんしないと主張しているか、制度をあまり良くわかっていないまま「日本はお金持ち国家だから大丈夫」と信じている人のいずれかで、納得できるレベルの試算をしている人を見た事がありません。

・「年金制度は持続可能ではない」のは確実ですが、「死ぬまで支給される」と言う年金の最大の特色を上回る魅力的な代替案を少なくとも私は知りません。年金に頼らずとも100年人生を幸せに生き抜けるのであれば、それがベストとは思いますが、万人が実行可能なライフプランを作るのは無理だと思っています。「従来のように完全に頼る事はできない可能性が高いけれども依然として老後資金のベースとして考えざるを得ない制度」と認識しておくのが良いかと思います。

悲しい事なのですが、100年人生時代で考えると実は70歳で引退は「早期リタイア」の範疇です。70歳を超えても働かざるを得ず、しかも年をとっても働けるような比較的定型化された単純な職業は人工知能に奪われてしまっているかもしれない、そんな時代に備えるためには今のうちから勉強や準備が必要になるのだろうな、と思っています。

3.70歳定年制が国の方針として議論されはじめた事関連リンク

1)www.nikkei.com
浮上する70歳定年制 人手不足で「高齢」問い直す
確定拠出年金、65歳まで加入延長を検討 厚労省
70歳雇用、努力目標に 多様な働き方へ政府検討

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