何故平均寿命は確実に間違っていると言えるのか?

何故平均寿命は確実に間違っていると言えるのか?

1.何故平均寿命は確実に間違っていると言えるのか?

・平均寿命の試算にはピリオド平均寿命とコーホート平均寿命の2種類がある
・ピリオド平均寿命が良く使われているが将来の医療やヘルスケアの進歩を考慮しない試算
・ピリオドもコーホートも仮定や推測に基づく試算なので現実の値と誤差が発生する

2.平均寿命の計算の仕方

2018年07月20日に最新の「平成29年簡易生命表の概況」を厚生労働省が発表しましたが、男性の平均寿命は81.09歳、女性の平均寿命は87.26歳でした。この平均寿命はどうやって計算しているのでしょうか?

ここに、平成29年に生まれた10万人の人がいると仮定します。この10万人の人たちが、0歳から1歳になるまでに何パーセントの人が亡くなるか?と死亡率を掛け算してやると、1歳になった時にご存命の方の人数がわかります。同様に1歳から2歳、2歳から3歳・・・79歳から80歳、とそれぞれの年齢時の死亡率を掛け算をしてやって、「10万人のうち何人がご存命か?」に基づいて平均寿命を計算するのです。

何故、10万人の人がいると仮定するのかと言うと、例えば団塊の世代は非常に人数が多いなど、時代によって生まれる人の数は異なるので、計算を簡単にするためです。さて、問題は死亡率です。この死亡率とは、実際に亡くなった人の割合を元に計算するのですが、「平成29年時点で判明している死亡率」を使うのです。

しかし、平成29年の0歳児が10歳になる時は平成39年です。(元号は変わっているとは思いますが)

「平成29年の9歳から10歳になる間の死亡率」vs「平成39年の9歳から10歳になる間の死亡率」
「平成29年の19歳から20歳になる間の死亡率」vs「平成49年の19歳から20歳になる間の死亡率」
「平成29年の29歳から30歳になる間の死亡率」vs「平成59年の29歳から30歳になる間の死亡率」

を比べたら、10年、20年、30年の間には医学や栄養学は進歩するでしょうし公衆衛生や健康に対する意識も変化するでしょう。ここ10年でも医療の進化はもちろんの事、運動施設の増加や喫煙場所の制限、排ガス規制など様々な変化がありました。逆にロシアの平均寿命の推移を見ればわかりますが何等かの要因で下がる事も考えられます。10年、20年、30年の間に死亡率が一切変わらないというのはいささか無茶な仮定と思いませんか?

このように計算時に「ある時点(ピリオド)」の値を使って試算する平均寿命をピリオド平均寿命と言います。「ある時点の値」と言う考え方に基づけば間違いではないと言えるのかもしれませんが、実際問題として10年、20年、30年、それ以上の未来に「医学や栄養学の進歩、公衆衛生や健康に対する意識の変化、その他の要因の変化はない」と仮定している事になるので、この値は少なくとも自分の人生を考える際には鵜呑みにできる数字ではありません。

それに対して、平成29年に生まれた集団(コーホート)を平成39年時点、平成49年時点・・・とずっと追跡できないか?と言う考え方で試算されたものがコーホート平均寿命と言われるものです。

名著「LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略」によれば、日本の厚生労働省を含む各国では、平均寿命にはピリオド平均寿命を使っているケースが多いそうです。しかし、コーホート分析で平均寿命を計算すると「2014年に日本に生まれた子どもの場合、平均寿命は107歳になる」と言うのです。

コーホート分析は将来の死亡率の変化を予測して試算するものですからあくまで「予測」です。「医学や栄養学の進歩、公衆衛生や健康に対する意識の変化が今後は鈍化して止まってしまう」事もあり得るのでピリオド分析より正しいと言い切れるわけではありません。しかし、一切予測をしないピリオドvs間違うかもしれないけれども予測をするコーホート、果たしてどちらがより本当の平均寿命に近いと考えるべきなのでしょうか?

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