バイデンが嘘をついていた証拠はどこまで信用できるのか?

その他の調査

1.バイデンが嘘をついていた証拠はどこまで信用できるのか?

・息子のメールによりバイデン候補がウソを付いている事がわかったとの報道があった
・一次情報源のサイトを確認したがアクセス稼ぎを優先した記事構成が感じられた
・フェイクニュースを判別する際の有効指標の一つはサイト内で使われている単語の傾向

2.情報源の信頼度を判別する際に有効な指標とは?

先週10月14日、New York Post紙がバイデン候補の息子のメールと思われる情報を入手し、そのメールがバイデン候補の過去の証言と矛盾しているというスクープをしたのですが、一次情報をチェックしていたら情報源の信頼度について思い出した事があったのでまとめておきます。
アイキャッチ画像のクレジットはPhoto by Markus Winkler on Unsplash

まず、Wikipediaによれば、New York Post紙は

『ニューヨーク・ポスト』 は、アメリカ合衆国における歴史ある、一説によれば最古の新聞である。1933年からタブロイド紙になっている。

との事で歴史は長いメディアです。

ピュー研究所のリサーチによれば以下の青枠で「微妙に保守より傾向」なメディアです。

さて、17日時点のニューヨークポスト紙のWeb版のトップページに記載されていた(TOPニュース扱いではない)一般ニュース記事の一覧画像は下記です。


(1)トランプ大統領はハンターとバイデンを怪しげな製薬業界の「媒介人」と比較しました
トランプ大統領が演説でバイデン親子に言及する際、New York postのスクープ記事を思いおこさせる発言をした事。
(2)サンフランシスコは44の市立学校の「不適切な」名前を変更する可能性があります
サンフランシスコの少なくとも44の学校は、奴隷制、大量虐殺、植民地化に関連する可能性のある学校にちなんで名付けられているとして名称変更されるかもしれない事
(3)パリで教師の首を跳ねた後、攻撃者は「アラー アクバル」と叫びました
パリの路上で、イスラム教徒の預言者ムハンマドを侮辱する漫画を見せた教師を十代の若者が殺害した事
(4)トランプ集会で「うなずく美女」として注目を浴びたイラ・ジョリは、過去に立候補した事もある元美人コンテストの女王でした
トランプ大統領の集会でトランプ大統領の背後に頻繁に写ってうなずくゼスチャーを見せて話題になった謎の「うなずく美女」は、かつて議会に立候補した事もあるトランプ支持者で、元美人コンテストでの優勝経験もある人であった事が明らかになった事。
(5)ポルノテーマパークがオープン。現実のポルノスターが給仕
日本のアダルトビデオ会社が、東京の歓楽街の中心部に5階建ての「大人専用」テーマパークを開設しました。プロのポルノスターが店員を務める様々なアトラクションがある事。
(6)メラニア・トランプ夫人は、元補佐官のステファニー・ウィンストン・ウォルコフは「日和見主義者」だと言っています
メラニア・トランプ夫人が告発本を出版した元親友を不誠実な日和見主義者と非難した事。
(7)ミスターロジャースのエピソードに例えられるジョーバイデン集会
トランプの顧問がジョーバイデンの集会を見て、ミスターロジャースの番組に例えた事。
(訳注:ミスターロジャースは就学前の子供向け番組の司会などで有名だった方で、別に悪い事をした人ではないです。しかし、教育番組のようで熱意や熱狂が感じられないと指摘しているのだと思います。)
(8)タイは前例のない抗議行動が行われた後に緊急事態を宣言しました
タイ政府が学生主導の抗議デモ隊が王室の車列をやじるという異常な事態が起きた翌日、首都の非常事態宣言を発表した事。
(9)奇跡の赤ちゃんは、母親が彼を守ったため、両親が死亡した飛行機墜落事故を生き延びました
コロンビアでの飛行機墜落事故を生き延びた赤ちゃんが、父親と乳母と母親は死亡しましたが、母親が赤ちゃんをしっかりと抱きかかえた状態で生存して発見された事。

(5)がまさかの日本の歌舞伎町にアダルトテーマパークがオープンした事に関する記事。

別にお色気記事を否定するわけではありませんし、歌舞伎町のアダルトテーマパークがワールドワイドに報道される価値があるのかを判断する立場にもありませんが、100歩譲ってニューヨークにポルノテーマパークがオープンでしたら地域の話題としてギリギリ許容に感じますが、タイトル内にJapanを入れてない事も含めて、これはもうアクセス数稼ぎのためなら何でもやる媒体と見なされても仕方ないのではないかと感じます。

また、元々のスクープ記事「Hunter Biden emails show leveraging connections with his father to boost Burisma pay」も以下のような書き方になっています。

The email, labeled from Robert Biden — Hunter’s first name — is among a trove of messages, documents, photos and videos purportedly recovered from a MacBook Pro laptop that a Delaware computer shop owner told The Post was brought in for repair in April 2019 and never picked up.
(バイデンの息子である)ハンターの名前「Robert Biden」のラベルが付けられた電子メールは、デラウェア州のコンピューターショップのオーナーによれば、2019年4月に修理に持ち込まれたが引き取りにこなかったMacBook Proラップトップから回収されたメッセージ、文書、写真、ビデオの山の中にありました。

PCを持ち込んだ人間は明らかにされていませんし、突っ込みどころは沢山あります。

コンピューターショップのオーナーは倫理観的にマズイ人だし、本当の事を言っていたとしても、PCをショップに持ち込んだ人間や仲介した人が工作をした可能性を考慮しないで確定情報として報道してしまって良いのか疑問があります。2016年の選挙でも相当な世論誘導工作が行われていました

比較対象としてトランプ大統領の納税額をスクープしたNewYork Timesのニュース欄を上げておきます。


こちらも納税額に関する情報源は秘匿されているので、出所不明と言う事では共通ではありますが、掲載されているニュースは堅い内容ばかりで、少なくともお色気記事をトップページに乗せるような事はしていないのです。(それと納税証明はトランプ大統領自身が当選前には当選後に公開すると話していた事であり、トランプ大統領自身がやろうと思えば身の潔白の証明はいつでも出来ます)

フェイクニュースをAIで判別しようとする試みの中で「信頼度を判別する際に有効」と判断とされた指標の一つは「その情報を掲載したサイト内で使われている単語の傾向」だったという研究を読んだ事があります。お色気記事が悪いわけではありませんし、今回のスクープの真偽がこれだけでわかるものではありませんが、同時に掲載されている他の記事は信頼度判断の指標の一つと成り得ます。

アメリカであれだけの世論誘導工作が行われているのですから、日本でもTwitterやコメント欄、ご意見投稿などで世論誘導の工作は既に相当行われていると思います。報道機関/ジャーナリストの皆さんは世論誘導工作などとも戦いつつ、ファクトチェックもするのは大変な作業とは思いますが、少なくとも「メールが発見された」だけではなくて「メールに書かれていた事の検証」までしなければ真偽の判断が難しい時代に突入したのではないかと思います。

まぁ、ニュースメディアもコロナの影響を受けているとは聞いているので、アクセス数が業績評価/広告収益に連動するような状況であったら、ファクトチェックよりセンセーショナルな情報を優先せざるを得ない状況ではあるのかもしれませんが、出来る事ならカッコ良いジャーナリスト/メディアでいて欲しいな、と勝手な事を思います。

3.バイデンが嘘をついていた証拠はどこまで信用できるのか?

1)nypost.com
New York Post

2)www.nytimes.com
The New York Times – Breaking News, US News, World News and Videos

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