Google Research:2019年の振り返りと2020年以降に向けて(7/8)

Google Research:2019年の振り返りと2020年以降に向けて(7/8)

1.Google Research:2019年の振り返りと2020年以降に向けて(7/8)まとめ

・機械学習をロボットの制御に応用するために特に強化学習を使った研究が行われた
・世界モデルの学習やポリシーにランダム性を取り込む事、オープンソースなハードなど
・TensorFlowは2.0がリリースされコンパイラ等の周辺ツールも続々改良されている

2.ロボット制御とコミュニティへの支援

以下、ai.googleblog.comより「Google Research: Looking Back at 2019, and Forward to 2020 and Beyond」の意訳です。元記事の投稿は2020年1月9日、Google Research部門トップのJeff Deanさんによる投稿です。アイキャッチ画像のクレジットはPhoto by Benjamin Davies on Unsplash

(13)Robotics
機械学習をロボットの制御に応用する事は、私達にとって重要な研究分野です。この研究は、日常生活や家庭内、ビジネスなどの複雑な現実世界の環境でロボットを効果的に動作させるための重要なツールになると考えています。

今年行った研究の一部は次のとおりです。

・「Long-Range Robotic Navigation via Automated Reinforcement Learning」では、「」と「長期視点で考えた計画」を組み合わせて、ロボットが複雑な現実世界の環境(Googleのオフィスビルなど)でより効果的にナビゲートできるようにする方法を示しました。

・「PlaNet: A Deep Planning Network for Reinforcement Learning」では、画像を構成する画素から純粋に世界モデルを効果的に学習する方法と、より少ない学習でタスクを達成するために、このモデルを活用して世界の振る舞いを学ぶ方法を示しました。

(訳注:世界モデルとは、物体を空中に放り投げると重力の影響で地面に落ちる等、現実世界のルールの事です。人間の赤ちゃんは良く観察すると、キャッキャッキャッキャと遊びながら世界モデルを探っているように見えるとも言われています。人間以外の動物なども、内部に世界モデルを持っている事が示唆される研究があり、世界モデルを持っているから人工知能と比べて少ない学習回数で学習を行う事が出来るのではないかと言われています。試行回数が莫大になってしまいがちな強化学習では特に、この世界モデルを意識させる事が出来ないかという観点からの研究が進んでいます)

・「Unifying Physics and Deep Learning with TossingBot」では、ロボットを物理モデルを使って事前にプログラムして試験環境に適応させるのではなく、試験環境内で試行錯誤させて「直感的に」物理法則を学習する方法を示しました。


(左が開始直後、右が一晩学習させた後のロボットの動作)

・「Soft Actor-Critic: Deep Reinforcement Learning for Robotics」では、強化学習アルゴリズムをトレーニングして、「期待される報酬を最大化する事(一般的な強化学習で使われる目標)」と「ポリシーのエントロピーを最大化する事(よりランダムなポリシーを優先するようにするため)」の両方を目的とする実験を行いました。これは、ロボットがより速く学習し、環境の変化に対してより堅牢になるために役立ちます。

・「Learning to Assemble and to Generalize from Self-Supervised Disassembly」では、自己教師方式で物体の分解を最初に学習させる事により、ロボットがどのように物体の組立を学習できるかを示しました。子供たちは物事を分解することから学びますが、ロボットも同様にできるようです!

・「ROBEL: Robotics Benchmarks for Learning with Low-Cost Robots」では、費用対効果の高いロボット実験用のオープンソースのハードウェアプラットフォームであるROBELを紹介しました。そして、現実世界の物理ロボットハードウェアの研究開発を促進するためにベンチマークテストを厳選してまとめました。

(14)より広範な開発者および研究者コミュニティを支援
オープンソースは単なるプログラム以上のものであり、貢献者のコミュニティに関するものです。オープンソースコミュニティの一員になることは、エキサイティングな年でした。

これまでで最大のTensorFlowリリースであるTensorFlow 2.0をリリースし、MLシステムとアプリケーションの構築をこれまでになく簡単にしました。TensorFlow Liteに高速モバイルGPU上での推論のサポートを追加しました。

また、Teachable Machine 2.0を起動しました。これは、ボタンを押すだけでコーディングを必要とせずに機械学習モデルをトレーニングできる、高速で簡単なWebベースのツールです。

また、オープンソースの機械学習コンパイラインフラストラクチャであるMLIR(Multi-Level Intermediate Representation)を発表しました。これは、複雑に断片化したソフトウェアおよびハードウェアに対応し、AIアプリケーションの構築を容易にします。

(訳注:TensorFlowは特定のハードウェア向けに特化したコンパイラが多種多様になりすぎたので、MLIRでとりまとめようとしています。)

高性能な機械学習研究のための新しいシステムであるJAXもリリースして1年となりました。
2019で、Google社員とより広範なオープンソースコミュニティは、ニューラルタンジェントカーネルから分子動力学へのベイジアン推論に至るまで幅広い作業でJAXを使用した研究を発表し、クラウドTPU上で動かすJAXのプレビュー版も公開しました。

知覚的かつマルチモーダルなMLパイプラインを構築するためのフレームワークであるMediaPipeと、効率的な浮動小数点ニューラルネットワーク推論演算子のライブラリであるXNNPACKをオープンソース化しました。

2019年末の時点で、世界中の1,500人以上の研究者がTensorFlow Research Cloudを介してCloud TPUに無料でアクセスできるようになりました。

CourseraのTensorFlowの紹介コースでは、10万人の学生が学んでいます。そして、TensorFlowを11か国で紹介し、初めてのTensorFlow Worldを開催し、何千人ものユーザーと関わりました。

TensorFlowの助けを借りて、1人の大学生が2つの新しい惑星を発見し、他の人がより多くの惑星を見つけられるようにする方法を構築しました。ナイジェリア出身のデータサイエンティストは、アフリカの仮面を連想させる画像を生成するGANを訓練しました。ウガンダの開発者は、TensorFlowを使用してFarmers Companionを作成しました。これは、地元の農民が作物を害する毛虫と戦うために使用できるアプリです。

雪に覆われたアイオワ州では、研究者と州当局がTensorFlowを使用して、交通行動、、その他のデータに基づいて安全な道路状況を判断しています。太陽が輝くカリフォルニア州では、大学生がTensorFlowを使用して、ロサンゼルスの道路の破損と危険な道路の亀裂を特定しました。また、フランスでは、プログラマーがTensorFlowを使用して、白黒写真に色を追加する方法を学習する簡単なアルゴリズムを構築しています。

3.Google Research:2019年の振り返りと2020年以降に向けて(7/8)関連リンク

1)ai.googleblog.com
Google Research: Looking Back at 2019, and Forward to 2020 and Beyond

2)research.google
Publication database(2019)
Optimization of Molecules via Deep Reinforcement Learning
AVA

3)modelcards.withgoogle.com
Object Detection Model Card v0 Cloud Vision API

4)ai.google
Working together to apply AI for social good

5)blog.google
Using AI to give people who are blind the “full picture”
What our quantum computing milestone means
Teachable Machine 2.0 makes AI easier for everyone
Google for Startups Accelerator empowers AI startups in Europe

6)support.google.com
Get image descriptions on Chrome

7)federated.withgoogle.com
Federated Learning An online comic with google AI

8)arxiv.org
The Evolved Transformer

9)www.isca-speech.org
Improving Keyword Spotting and Language Identification via Neural Architecture Search at Scale

10)github.com
google / jax

11)leogao.dev
The Decade of Deep Learning