肺癌を予測するための有望な一歩

肺癌を予測するための有望な一歩

1.肺癌を予測するための有望な一歩まとめ

・肺がんでは年間170万人以上が死亡しており、世界中で最も死亡人数が多い致命的ながんの一つ
・CTスクリーニングは死亡率を低下させるが診断が難しく経済的コストにつながる等の課題がある
・この現状を改善するポテンシャルを持つAIモデルが開発され更なる研究パートナーを求めている

2.機械学習を使って肺癌を検出する試み

以下、www.blog.googleより「A promising step forward for predicting lung cancer」の意訳です。元記事の投稿は2019年5月20日、Shravya Shetty, M.S.さんによる投稿です。半年前の投稿なので少しタイムリーではないのですが、医療系に関する技術情報ってあまり日本に伝わってきてないなぁ、と改めて感じる事があったのでピックアップしました。少し前に出たFaceBookのヘルスケアアプリも現時点では米国専用とはいえ、ほぼ国内で情報が見つからないのです。

過去3年間、Googleのチームは、目の病気の診断から医療記録から患者の転帰(訳注:症状の経過)の予測まで、医療の問題にAIを適用してきました。本日、世界中のリスクにさらされている多くの人々の生存の可能性を高める方法として、AIで肺癌を予測する手法についての新しい研究を共有します。

肺がんでは年間170万人以上が死亡しており、世界中で最も死亡人数が多い致命的ながんとなっています。
170万人とは乳がん、前立腺がん、結腸直腸がんの人数を合わせたより多い人数で、世界保健機関によれば、これは世界で6番目に多い死因です。

肺がんは全てのがんの中で生存率が最も低い癌の1つですが、がんが早期に発見されれば、治療成功率ははるかに高くなります。残念なことに、圧倒的多数の肺がんは後期まで発見されないため、統計的に惨い生存率となっています。

過去30年にわたり、医師達は肺がんのリスクが高い人々を全体から選び出す方法を模索してきました。低線量CTスクリーニングを行うと早期発見により死亡率を低下させることが証明されていますが、依然として診断は難しく、その結果、不必要な処置を行ったり、経済的コストにつながる等の課題があります。

最新の研究
2017年の後半から、AIを使用してこれらの課題に対処する方法を模索し始めました。

パートナー(ノースウェスタン大学を含む)のデータセットとともに3Dモデリングの進歩を活用して、肺癌予測のモデリングを進め、将来の臨床試験の基礎を築きました。本日、私達は有望な発見を「Nature Medicine」で「End-to-end lung cancer screening with three-dimensional deep learning on low-dose chest computed tomography」として公開しています。

放射線科医は通常、1回のCTスキャンで数百の2D画像に目を通しますが、がんは非常に小さく、見つけるのが困難です。私達は肺がんの全体的な悪性度の予測(3Dモデルで表示)を生成できるだけでなく、肺(肺結節)の微妙な悪性組織も特定できるモデルを作成しました。

このモデルは、以前に撮影した画像から得た情報も考慮に入れることができます。これは、疑わしい肺結節の成長率が悪性腫瘍を示している可能性があるため、肺がんリスクの予測に役立ちます。


これは、高レベルのモデリングフレームワークです。 AIは、各患者について、撮影したCTスキャンと、利用可能であれば以前に撮影したCTスキャンを入力として使用します。モデルは全体的な悪性腫瘍の予測を出力します。

私達の研究では、国立肺スクリーニング試験研究とノースウェスタン大学のNIHの研究データセットから45,856人の匿名化された胸部CTスクリーニング症例(がんが見つかった症例も含みます)を活用しました。2番目のデータセットで結果を検証し、米国の6人の認定放射線医と結果を比較しました。

診断に単一のCTスキャンを使用する場合、モデルは6人の放射線科医と同等以上に機能しました。私達の研究では、他の支援を受けていない放射線技師と比較して、偽陽性を11%以上削減する一方で、癌症例を5%多く検出しました。このアプローチは、94.4%のAUCを達成しました。(AUCは、機械学習で使用される一般的な計測基準であり、分類パフォーマンスの総合的な尺度です)


がんの病歴がなく無症候性(訳注:asymptomatic、自覚症状が出ていない事)の患者のCTスキャンは以前に正常と診断されていましたが、AIシステムはここから潜在的な肺がんを検出しました。

次のステップ
肺がんのスクリーニングの有効性にもかかわらず、今日、米国の適格患者のわずか2-4%のみがスクリーニングされています。この研究は、AIが精度と一貫性の両方を向上させる可能性を示しており、世界中で肺がんスクリーニングの採用を促進するのに役立ちます。

今回の初期結果は励みになるものですが、更なる研究により、臨床診療における影響と有用性が評価されるでしょう。

Googleは、Google Cloud Healthcare and Life Sciencesチームと協力してCloud Healthcare APIを介してこのモデルを提供しており、世界中のパートナーと早期に協力して、更なる臨床検証研究と展開を続けています。将来の研究での共同研究に関心のある研究機関または医療機関は、docs.google.comの「Medical Data Interest Formフォーム」に記入してください。

3.肺癌を予測するための有望な一歩関連リンク

1)www.blog.google
A promising step forward for predicting lung cancer

2)docs.google.com
Medical Data Interest Form

3)www.nature.com
End-to-end lung cancer screening with three-dimensional deep learning on low-dose chest computed tomography