MetNet-2:12時間まで先の天候を1km単位で予測するディープラーニングモデル(1/2)

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1.MetNet-2:12時間まで先の天候を1km単位で予測するディープラーニングモデル(1/2)まとめ

・天気予報はスーパーコンピュータを駆使した伝統的な物理学ベースの手法で行われる
・深層学習で数時間先の近い未来の天気を詳細に予測するナウスティングが期待されている
・MetNet-2は前モデルの性能を大幅に向上し物理ベースモデルを性能で凌駕している

2.MetNet-2とは?

以下、ai.googleblog.comより「MetNet-2: Deep Learning for 12-Hour Precipitation Forecasting」の意訳です。元記事の投稿は2021年11月15日、Nal KalchbrennerさんとLasse Espeholtさんによる投稿です。

アイキャッチ画像のクレジットはPhoto by NASA on Unsplash

深層学習(Deep Learning)は、大腸がんの予防アクセスビリティの向上など、さまざまな重要課題への応用に成功しています。深層学習モデルの天気予報への応用は、人々の一日の計画を立てる手助けから、食糧生産、交通システム、エネルギー供給の管理に至るまで、日常的に人々に関係するものです。

天気予報は通常、世界最大級のスーパーコンピュータを駆使した伝統的な物理学ベースの手法に頼っています。しかし、このような手法は、高い計算能力が要求される上に、ベースとなる物理法則を完全に再現するのではなく近似している事から生じる誤差に影響されやすいという問題があります。

ディープラーニングは、コンピューティングの予測に新しいアプローチを提供します。深層学習モデルは、物理法則を明示的に組み込むのではなく、観測されたデータから直接、気象パターンを予測することを学習し、物理法則に基づく手法よりも高速に予測することができます。また、これらのアプローチは、予測の頻度、範囲、精度を向上させる可能性があります。


MetNet-2による計算の様子
計算が進むにつれ、ネットワークは入力された情報からより大局的な情報を処理し、将来起こりうる気象状況を確率的に予測します。

天気予報の分野では、深層学習技術で今時点から2~6時間先までの近い未来の天気を詳細に予測する「ナウキャスティング(nowcasting )」が特に期待されています。

これまでの研究では、気象データに直接ニューラルネットワークモデルを適用する事MetNetアーキテクチャによる0時間後から8時間後までのニューラル気象予測の拡張、最大90分先までのレーダーデータの連続生成、ニューラルネットワークが学習した気象情報の解釈などが中心でした。しかし、深層学習によって、より長距離の予測を改善する更なる機会があります。

そのため、論文「Skillful Twelve Hour Precipitation Forecasts Using Large Context Neural Networks」では、ニューラル気象モデルの予測限界を、1km単位で2分間隔で予測する機能を保ったまま、12時間後まで予測できるようにまで引き上げています。

入力コンテキスト情報を4倍に増やし、よりリッチな気象状態入力モデルを採用し、より長距離の空間依存性を捉えるために設計を拡張することで、MetNet-2は前モデルであるMetNetの性能を大幅に向上させました。物理ベースのモデルと比較して、MetNet-2は、12時間先までの天気予報において、最先端の物理ベースモデルであるHREFアンサンブルモデルを凌駕しています。

MetNet-2の特徴とアーキテクチャ

MetNet-2のようなニューラル気象モデル(Neural weather models)は、地球上の観測データを気象現象の発生確率にマッピングします。気象現象には、午後に都市部で雨が降る可能性、20ノットに達する突風が吹く可能性、晴れの日が続く可能性など、様々な現象が含まれます。

深層学習は、システムの入力から直接出力を予測するので、効率化と品質向上の両方を実現できる可能性があります。MetNet-2は、この点を考慮して、予報の作成に関わる複雑さと総ステップ数の両方を最小化することを目指しました。

MetNet-2の入力データには、MetNetでも使用されているレーダーや衛星画像があります。気温、湿度、風向きなど、大気のより包括的な情報は最大12時間先の長期予報を行うためには欠かせませんが、MetNet-2はこれらの追加気象情報の代理に、物理モデルで使用されている前処理済みの開始状態を使用します。

レーダーベースの降水量測定値(MRMS)は、MetNet-2のパラメータを最適化するトレーニング時に使用される検証済み降水データ(予測しようとしているもの)の役割を果たします。


検証済み降水データ画像の例
レーダー(MRMS)による瞬間降水量(mm/hr)を12時間後まで捉えたもの

MetNet-2の確率的な予報は、将来起こりうるすべての気象条件を、その可能性の高さで加重平均していると考えることができます。この確率的な性質から、MetNet-2は物理ベースのアンサンブルモデルに例えることができます。アンサンブルモデルとは、さまざまな物理ベースのモデルによって予測されたいくつかの将来の気象条件を平均化したものです。

この2つのアプローチの注目すべき違いの1つは、主要部分の部分の計算にかかる時間です。
物理ベースのアンサンブルモデルが1時間程度であるのに対し、MetNet-2は1秒程度です。


MetNet-2の予報と物理ベースのアンサンブルのステップ

3.MetNet-2:12時間まで先の天候を1km単位で予測するディープラーニングモデル(1/2)関連リンク

1)ai.googleblog.com
MetNet-2: Deep Learning for 12-Hour Precipitation Forecasting

2)arxiv.org
Skillful Twelve Hour Precipitation Forecasts using Large Context Neural Networks

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