世界は昔より良くなっている事がわかる統計

入門/解説

1.世界は昔より少しずつ良くなっている事がわかる統計まとめ

・世界が昔より悪くなっているという意見は正しくないとビルゲイツ
・子どもの死亡率は減り、絶対的貧困も減り、人口増加率も減っている
・世界視点のトータルで見れば人類は良い方向にむかっている

2.ビルゲイツ氏のブログより世界が良くなっている証拠

私のお気に入りのウェブサイトの1つは、OurWorldInData.orgです。オックスフォード大学を拠点に、健康と人口の増加から戦争、環境、エネルギーまでのすべての統計情報を使用して、世界中の生活状況がどのように変化しているかを大変わかりすく把握できます。私はその創業者であるオックスフォードのエコノミストMax Roserに、誰もが知っておくべき3つの事実をサイトから共有するように頼みました。マックスが言っていたことはここにあります。 – ビルゲイツ

ここ数年で、インターネットを検索すれば重要な統計データの多くを簡単に見つけることができるようになりました。何人かの人は、これらの統計を覚えておくことは意味がない、あなたがそれらを必要とするときにそれらを見れば良い、と彼らは主張します。

私はこれに同意しません。はい、いくつかの詳細については、必要なときに検索するだけで大丈夫でしょう。しかし、大規模な世界的な発展のためには、現在の生活状況や過去数十年にわたって続く変化の方向を表す基本的な統計を知ることは重要です。グローバルな変化に関する事実を知ることで、日常的なニュースを理解する知識が得られ、学習した新しい情報を理解することができます。そしてそれは政治論議の基礎にもなるので、私たちが社会として何をすべきか、またはすべきではないかを議論することができます。

そして私は覚えておきたい世界の生活条件に関する3つの事実をまとめました。それぞれには、現在の状況とトレンドが記載されています。

事実1:1960年以来、児童死亡者数は年間2000万人から年間600万人に急減している。

あなたの子供が死ぬのを見ることがどれほど大変なのか想像してみてください。

それから毎分約11人の親に起こると考えてください。これは5歳未満の子供の数であり、平均して1分ごとに死亡します。 24時間毎分11人の死亡者が1日に15,500人の死亡、または年間560万人の死亡を追加します。

私たちはそれを受け入れるだけですか?それは世界の選択ですか?

明らかにノーです。私たちは肯定的な変化を促すことができます。下の図を見てください。今日、560万人が死んでいることを示す同じ国連のデータから1950年代と60年代には世界で毎年2000万人の子供が死んでいることがわかりました。

今日の世界が進歩した事を理解するのに苦労する主な理由の1つは、過去がどれほど悪いかわからないことです。

どちらも同時に真実です:世界は過去よりもはるかに優れていますが、まだひどいです。

これを念頭に置くには、私は両方の統計を知る必要があります。世界は昔より良くなったので座ってリラックスできると言われたら、11人の子供が毎分死んでいると指摘します。このような世界を受け入れることはできません。私がこの悲劇に直面して絶望的と感じるとき、私は過去50年間に毎年児童死亡者を2000万人から560万人に減らしたことを思い出します。

だから私は児童死亡率の現在のトレンドの方向を覚えています:
子供の死亡数は減少しています。 50年前の子供の死亡者数は現在の3.5倍です。しかし、子供の死亡は依然として非常に一般的です。 毎分11人の子供が死んでいます。

事実2:1960年以降、出生率は半減している

下の表は、世界の人口増加について理解するための重要な統計を示しています。世界の出生率 – 世界の女性1人あたりの平均子供数。出生率が女性1人当たり子供2人に近い場合、各カップルは平均して約2人の子供に置き換えられ、人口の伸びは遅い。しかし、1960年代後半まで、各女性は平均して5人以上の子供を抱えていました。このような高い出生率では、人口の増加は速いです。当時、世界人口は毎年2%増加しました。

避妊薬の入手可能性は、親が望まない多くの子供を持つ事を防ぎます。人々の収入が上がるにつれて希望する子供の数は変化します。何十年もの人口動態調査から、女性がより良い教育を受け、就職の機会が増えるにつれ、子供の数は減る事がわかります。また、子供の死亡率が低下したときに、家族が自分の子供が死ぬことを恐れる必要がなくなり、結果的に最初に子供の数を減らすのです。

女性の健康状態や児童の健康状態の改善は、世界中の出生率の急速な低下をもたらしました。実際、世界の出生率は、女性1人当たり5人以上の子供から2.5人未満の子供まで、過去50年間で半減しています。過去50年間に世界人口の成長率も半減し、1%をわずかに上回っています。

私が人口増加について覚えている統計は、今世紀に急速な人口増加が終わりに近づいている事を伝えています。過去50年間で、世界の出生率は女性1人当たりの子供5人から女性1人あたり2.5人以下に減少しています。 50年間で出生率は半減しました。

事実3:1990年から2015年の間に毎日13万7000人が極度の貧困から逃れました。

貧困に暮らすことは、生活の中で最も本質的なものの多くが手の届かないところにあることを意味します。貧困状態にある人々はまともなシェルターと基本的な医療を欠いている傾向があり、しばしば十分な食料を得るために苦労しています。

1日当たり1.90ドル未満で暮らしている人々は「極度の貧困」に陥っているとみなされます。この貧困の定義では、極度の貧困という用語は明らかに適切です。これは非常に低い貧困ラインです。

世界が貧困に対して進歩しているかどうかを人々に尋ねると、私たちの大半は貧困の人々の数は増えていると答えます。

正解は反対です。極度の貧困状態にある人々は数も割合いも低下しています。

1990年には、18億人の人々が1日当たり$1.90以下で生活していました。 3人に1人の割合です。25年後、極度の貧困で暮らしている人々の数は、10人に1人、7億6,000万人に半減しました。

これは非常に大きな変換です。平均して、過去25年間毎日、13万7000人もの人々が極度の貧困から脱出しました。新聞は、過去25年間の毎日、「貧困人口は昨日より137,000人減少しました」という見出しを出す事ができたのです。


これは私が覚えている統計です:

今日世界の10人に1人、7億6,000万人の極度の貧困で暮らしています。受け入れがたいほどの数です。しかし、時代が正しい方向に動いていることも知っておくべきです。極度の貧困状態にある人々の数は減少しています。極端な貧困を終わらせることは可能です。

世界についてのこれらの統計的事実を覚えていると、なぜグローバルな開発に携わることが重要であるかを私に思い出させます。

世界の現在の状態に関する統計は、我々が現在の世界に満足できない事を明確にしています。特に進歩が不均等で、サハラ以南のアフリカでは進展は遅いです。過去の統計と現在の統計を比べると、より良い世界にするために働く事は可能であることがわかります。児童死亡者数は減少しています。急速な人口増加の課題は無限に続くことはありません。そして極度の貧困に瀕している人々の数は減少しているのです。

引き続き、この方向に進みましょう。

私たちの過去の成功は、より多くの進歩のために私たちが働く事を勇気づけてくれます。

3.世界は昔より少しずつ良くなっている事がわかる統計感想

世の中が全体としてはより良い方向に向かっているのは喜ばしい事ですね。

今回の投稿は「昔は良かった、現在のように酷くなかった!」と言う主観的な意見に対して、統計データを用いて、長期目線で見ればそんな事はないんですよ、と客観的事実を示す投稿と思います。日本でも近年は青少年の凶悪犯罪が増えている!と言う意見に対して統計をちゃんと見れば減っている、と反論している意見を見た事があります。

しかし、主観的意見に客観的事実をぶつけても、事実か否かではなく相手がそれを受け入れられる状態かどうかが重要と思います。明日のご飯や自分の老後を心配している人に世界一位の金持ちの座と世界二位の金持ちの座を行ったり来たりしているビルゲイツが「世界は良い方向に進んでいます、引き続き、この方向に進みましょう」と言っても中々素直に受け入れられるものではありません。

ビルゲイツがこの夏にお勧めする5冊の本でも、どの本も短く手軽に読めると推薦する所にやや浮世離れ感を感じました。ビルゲイツ夫妻は寄付に熱心ですし偉大な方とは思いますが、頭の良さと繊細さと金持ち故の罪悪感がこういう文章に繋がり、老後の生活に心配がある庶民にはイマイチ共感しにくいのかもしれません。

貧困って「絶対的貧困:Extreme Poverty」$1以下で暮らしている人達が減ったのは事実であっても「相対的貧困:relative poverty」:今日明日の食べるものには困っていないけれども、十分な教育を受けられなかったり食べるために永遠に激務し続ける必要がある人達の問題もあります。昨今は、1%の人間が世界の富の99%を独占していると格差問題も話題になっています。

エリート層のこういうスタンスが反感に繋がってトランプ政権のAmerica Firstに繋がった側面もあるのでしょうか。世界に問題があるのは承知しているけれども、苦しい状況だと自分の生活が第一だと思ってしまっても致し方ない部分はありますね。もちろん、長期的には世界が混乱すれば自分自身の生活にも跳ね返ってくるわけですが、世界が混乱しなくても自分の生活は苦しいままで改善しないわけですから、それだったら短期的な利益が見込めそうなAmerica Firstの甘い誘惑を試してみたいと思うのかもしれません。

4.世界は昔より少しずつ良くなっている事がわかる統計関連リンク

1)www.gatesnotes.com
Memorizing these three statistics will help you understand the world

2)ourworldindata.org
Our World in Data

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