DeepDreamで最初期に作成された画像が見つかる(3/3)

入門/解説

1.DeepDreamで最初期に作成された画像が見つかる(3/3)まとめ

・DeepDreamが犬の画像に偏るのは元のニューラルネットがImageNetであるため
・ImageNetはfine-grained classification用に120の犬種をデータセット内に含んでいる
・アプリレベルのDeepDreamは使い果たされたが技術と芸術の融合は更に進化する

2.DeepDreamの現在

以下、www.artnome.comより「DeepDream Creator Unveils Very First Images After Three Years」の意訳です。元記事は2019年1月2日、Jason Baileyさんによる投稿です。記事内でインタビューに答えているAlex Mordvintsevさんは「Inceptionism:ニューラルネットワークの最深部へ」の投稿の著者でもあり、NIPS Machine Learning for Creativity and Design Workshop 2017などでも引き続き作品を発表しています。中編からの続きです。

DeepDreamが作り出す画像の耽美的な傾向が過剰に注目にさらされ過ぎたので、DeepDreamのコードを共有するのは誤りだったのではないかと私は思っていました。しかし、Mordvintsevは、DeepDreamが共有されなければ実現できなかったであろう広範かつ前向きな影響を世界にもたらしました。

私はまた、DeepDreamが「古い技術となった」か「使い果たされた」と認識しており、Mordvintsevがいくつかの問題を抱えていると思っていました。しかし、私の考えは、DeepDreamのニューラルネットとしての限界を反映したものではなく、私の技術的能力の欠如(あらかじめパッケージ化されたアプリケーションの使用を超える事)を反映したものであることがわかりました。

彼は私の考えを礼儀正しく訂正しました。

もしかしたらあなたはDeepDreamで遊んで退屈になったのかもしれません。しかし最近、私は同じニューラルネットワークを元に、あなたがより選択的に美しいパターンを合成できる美的な世界を見つけました。

私は、どうしてこんなに沢山の画像から犬の顔が生まれ出てくるのか興味がありました。Alexは、私が2010年頃に確立された画像分類の標準ベンチマークであるImageNetと呼ばれる事前トレーニング済みネットワークを使用しているためと説明してくれました。ImageNetには、120種類の犬種が含まれており、きめ細かい画像分類(fine-grained classification)のショーケースとなっています。ImageNetは犬の犬種判別にその能力の多くを捧げているので、それを使ったDeepDreamはデータに強い偏りを引き起こすのです。

訳注:「画像認識人工知能の誤認識を減らす方法」にもImageNetのバイアスに関するわかりやすい事例があります。

Alexは、他の人がMITのPlaces Image Databaseに同じアルゴリズムを適用したケースを指摘しています。MITの画像データベースは建築物や風景が多く含まれるため、MITの画像データベースを使用した場合は、ImageNetデータベースで好まれている犬や鳥よりも、建築や風景を際立たせる傾向があります。

私はMordvintsevに彼が現在、彼自身を芸術家であると考えているか尋ねました。

はい、はい、はい、そうです! 実は、私たちは妻と私を二人組と見なしています。最近、彼女は織物のためのパターンを作りたくなり、綺麗なタイル用パターンを欲しくなりました。そして私は座ってタイル用のプログラムを書いたのです。

そしてほとんどのAIが生成する芸術はディスプレイやビデオなどに映し出される静止画像ですが、私達は何か物理的なものでそれを少し越える事を試みています。私たちは最近、レイヤごとに画像を作る2.5Dプリンタを手に入れました。私はそれをとても楽しんでいます。

しかし、私たちの芸術的研究は、主に以下の方向にあります。すなわち、版画から新しい媒体への移行です。最近、チューリッヒのアートフェアでArt Meとの最初の展覧会を開催し、Googleの後援を受けました。私たちは自分達の芸術を世界に見せること、そしてそれを幅広い聴衆に説明しようとすることに興味があります。


Alexと妻のIana Mordvintsevがチューリッヒのアートフェアで最新作の発表準備をしている所

私は当初からDeepDreamを高く評価していましたが、広く共有されたため、あまりにも早くキッチュになったと感じていました。しかし、アレックスと話した事で私は次の理解に達しました。

Alexが自分の発見を広く利用できるようにする事で世界に貢献したこと、そしてAlexがまだDeepDreamニューラルネットに私よりはるかに多くの可能性を見ている事。(もちろん彼は可能性を知っているでしょう)

AIアートを飲みこめていない評論家もいますが、Seuratは次のように述べています。
「点を繋ぐ事ができない評論があるからと言って、点描が無意味なものにはなりません」

 

いつも読んでくれてありがとう! 質問、提案、またはアイデアがある場合は、いつでもjason@artnome.comで私に連絡できます。まだお済みでない場合は、Artnomeニュースレターにサインアップして最新のニュースを受け取る事をお勧めします。

(DeepDreamで最初期に作成された画像が見つかる(2/3)からの続きです)

3.DeepDreamで最初期に作成された画像が見つかる(3/3)関連リンク

1)www.artnome.com
DeepDream Creator Unveils Very First Images After Three Years

2)znah.net
Alexander Mordvintsev

3)places.csail.mit.edu
MIT Places Database for Scene Recognition

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