LIFE SHIFT – 100年時代の人生戦略の読書感想

LIFE SHIFT – 100年時代の人生戦略の読書感想

1.LIFE SHIFT – 100年時代の人生戦略の読書感想まとめ

・大半の人間が100歳以上生きる世の中では今までの社会の仕組みが根本から変わる
・しかし、ほとんどの人も国も社会も超長寿社会の現実から目を背けて準備できていない
・長寿化が恩恵になるか呪いになるかは本人や家族の心がけにかかっている

2.LIFE SHIFTの内容と読書後のアクション

2017年に「読者が選ぶビジネス書グランプリ2017 総合グランプリ」「ビジネス書大賞2017 準大賞」と2つの賞を受賞して話題になった本書は何度か読み返しているが未だに消化できた感がない。

良書なのは間違いないが、ビジネス書大賞と言うからにはこれを読んだビジネスマンはいったいどのようなアクションを起こしているのだろうか?

超要約すると「人々の寿命が100歳以上に伸びるこれからの時代は60歳以降も働き続けなければならなくなり人生の不確実性が増す。手本となるロールモデルが存在しない世の中なので変化に柔軟に対応にできるようスキルをブラッシュアップしつつ人間関係も大事にして行きましょう!」との趣旨。

しかし、会社は60歳までしか面倒を見てくれないのだから会社人間になっては行けないのは確かであっても仮に「LIFE SHIFTを読んで感銘を受けたから私はしばらくポートフォリオ・ワーカー or エクスプローラー or インディペンデント・プロデューサーになる!」と宣言したら「父さんこれからyoutuberで食っていく」と宣言するのと同程度の理解しか家族から得られない可能性が高い。

  • ポートフォリオ・ワーカー:様々な仕事や活動に同時並行で携わるステージ
  • インディペンデント・プロデューサー:自由と柔軟性を重んじて小さなビジネスを起こすステージ
  • エクスプローラー:選択肢を狭めずに幅広い進路を検討するステージ

昔は「教育」「仕事」「引退」の人生3ステージだったけれども、それは引退のステージが比較的短い時代であったから可能であった。引退ステージが40年以上になるとしたらエクスプローラーとして新しい可能性を模索する時期や、ポートフォリオ・ワーカーとして副業や社外活動に挑戦して見たり、インディペンデント・プロデューサーとしてスモールビジネス立ち上げを検討したり等々、人生の様々な段階で様々なステージを柔軟に取り込まなければじり貧となる時代がやってくる、と本書は説く。しかし、まぁ、目的や意義を再定義しているだけなので「エクスプローラー=自分探し or 転職活動 or 求職活動 or 無職」と端的に理解されてしまうだろうな、と思う。

こういう認識ズレも含めて家族や夫婦間での会話や理解、つまり活力資産が大切と本のなかでも説いているけれども、実際にはお父さんが真剣であっても中々家族に理解はして貰えないのではなかろうか。何故なら隣のお父さんは立派な会社に毎日真面目にお勤めしてるのに、ウチのお父さんが突然わけのわからない事を言い出した!と思ってしまうだろうし、それは十分理解できる。

ロールモデル、つまり人生のお手本となる人がいない時代になるのは怖いところだけど、やっぱり子供には黄金のロールモデル、たくさん勉強して良い学校に行って良い会社に入って、を勧めたくなるのは親心だろう。黄金のロールモデルを実践した銀行員さんや上場企業の社員さんたちが運悪くリストラにあったりしているのは頭では理解していても、だからと言って仮に子どもが「新しい働き方を目指すんだ!」と言い出したら親世代も素直に応援できずに現実逃避を疑ってしまう可能性が高い。

結局の所、親世代であっても子供世代であっても、本書の内容を素直に実践するのは現時点ではかなり難しい。それは本書の中でもあるけれども、これから社会が激変し、企業vs個人の戦いが繰り広げられて段々と社会が変わっていく中で少しずつ社会全体が変化しないと実現していかないからだろう。

年金を従来レベルで頼りにする事が出来ないのは確かだけど、かといって、この本で紹介している新しい働き方はまだまだ社会的に認知されているわけでもないし(100年人生視点だと)会社勤めより良い人生になる(可能性がある)だけで会社勤めで我慢する方が良い可能性も0とは言えない。

「成果主義」のはずなのに上司から成果にならない仕事や無茶なノルマを大量に押し付けられたり、「裁量労働」のはずなのに一切裁量がなかったり、終身雇用制度が崩壊していて将来の保証がないのに従来同等の忠誠心を求められたり等々の歪みが拡大していく中で自然発生的に移行していくのかもしれない。現在は3ステージの人生で逃げ切れる世代の人がまだ力を持っている時代だし、3ステージの人生で行けるか行けないか微妙な世代の人達も大半は行けると信じている。その人達は、3ステージ前提の働き方を後続世代が当然受け入れると考えてそのように接してくるだろうから。

「~歳まで頑張って働いて引退したい」という目標や夢が打ち破られて親世代ならとっくに引退できた70,80まで働かなくてはならないと言う現実をつきつけられるのはツライ。長寿化は恩恵と言えども70,80まで元気に働けるようになるためにはある程度ストイックな生活も必要になるだろうしこれも想像すると少しキツイ。

なので良書なのは間違いないけれども、消化して具体的なアクションを起こすのはまだ難しい本と思う。

おそらく、ライフシフトの感想は、年齢や時代によって変わる。もうしばらく時代が進んだら再評価されると思う。

まぁ、過去の戦争やオイルショックや大恐慌のように自分の力だけではどうにもならない事に比べれば、自助努力の余地が多分にある長寿化は確かにギフトと見なせるし、いきなり具体的なアクションではなくとも、家族との会話を増やし友人と連絡を取り、健康に留意し、仕事オンリー人間にならないように努める事から始めていけば十分OKなのかなとも思う。

3.LIFE SHIFT – 100年時代の人生戦略の読書感想関連リンク

1)www.kinokuniya.co.jp
LIFE SHIFT – 100年時代の人生戦略