1.AI vs. 教科書が読めない子どもたち読書感想後半
・読解力単体では人工知能に太刀打ちできない可能性があるが必要である事は確か
・従来の産業革命やオフィスオートメーションとはスピード感や環境変化の度合いが違う
・人生100年時代の我々にとって必要な事は一生勉強、その為にも読解力は大切なのかも
2.AI vs. 教科書が読めない子どもたちの内容
2020年2月追記:少なくとも2020年の段階では、人工知能は読解した情報を知識として蓄えて、それを使って質問に回答可能な段階に達しています。
2018年にベストセラーになった本書の感想ですが、私の理解した限りでは下記。
やみくもな人工知能脅威論は気にする事はないけれども、現在の人工知能の実力でも大学入試で上位2割の成績が取れる状況で人工知能に人間の職を奪われるのは現実の脅威として迫ってきている。
人工知能が新しい職業を生み出すと言う意見もあるが、新しい職業は「人工知能ができない or 苦手」な事でなければ人間の出番はないはずであり、バラ色の未来がやって来る可能性は低い。
人間が対抗するためには、人工知能が比較的苦手な読解力を高める必要がある。そもそも読解力がなければ教科書や文章をまともに読めないのだからスタート地点に立つ事もできないし、子供達に読解力テストをやらせてみたら予想を大幅に超える惨い成績であった。これは何とかしなければいけないですね。
人工知能が生み出す新しい職業は「人工知能も苦手な仕事」と言う視点は大変納得感があった。「人工知能が苦手な仕事」とは「ほとんどの人間も苦手な仕事」もしくは「人工知能の導入がコスト的に割に合わない仕事」になる可能性が高く、やっぱりバラ色の未来が来るとは思えない。
そもそも人工知能導入は大なり小なり人件費削減が目的の1つなのだから、「人件費削減を行った結果、他でもっと人件費が必要になる場面が増えました」と言う事態があまり想像できない。「新しくニーズが生み出される職業もあるから問題ない」と意見を聞く事もあるけれども、新しくニーズが生み出される職業とは「データサイエンティストのように高給ではあるが必要とされる人数はそれほど多くない職業」 or 「介護職のように大変だけど薄給と言われる事の多い職業」であって、それに対して必要性が薄くなる職業とは「銀行員のように高給で必要とされる人数も多かった従来の花形職種」があげられる事が多く、減る職種と増える職種が質の点でも量の点でもまるでつり合いが取れていない。
ただ読解力が直接的な問題解決になるかというと、現状、新卒のエントリーシートをAIに選別させるような企業も出現している。つまり、抜群の読解力があったとしても、同じ土俵で戦ったら、「読解力は一番ではないけど、1時間に何百通ものエントリーシートをそれなりの精度で分別できる」と言うAIのコストパフォーマンスには負けてしまうのだ。エントリーシートの選別や面接をAIにやらせる事が正しい事であるかどうかは別として、それを行う企業が既に出現している事実がある。
読解力がないと入口にも立てないので重要だが、現状、読解力単体では人工知能と言う化け物を撃ち殺せる銀の弾丸にはなり得ず。子供達にとっては「同じ土俵で戦わないためのパスポート(学歴等)を手に入れるためのツール」と見なすべきなのかな、とも思う。
本書の中でも言及されていたけれども、過去の産業革命や工場のオートメーションによるブルーカラー職の減少は、おそらくもっとゆっくり行われた。「これからは学問だ!」と先見の明のあるお父さんお母さんが子供たちに勉学を促す、すなわち世代交代のタイミングでキャリアチェンジする時間的余裕はあったのだと思うけど、今回は
・長寿命化
・年金不安
・変化のスピードが大幅にアップ
・オフショア、移民政策、ボーダレス化により全世界がライバル
などなど色々と一度に起こりすぎていて、現役世代も逃げ切れずにピンチに陥る可能性がある。
名著「ライフシフト」を参考にするとこれからの時代に必要になってくるのは
1)一生勉強、知識や能力を常に磨き上げ計画的に自己投資
2)家族関係/友人関係を意識的に維持/拡大/向上する努力
3)変化への対応力と柔軟性
4)人生の資金計画の考案とパーソナルファイナンス知識の習得
だろうか。これらを実現するためにも読解力は必要と言う事なのかもしれない。いずれにしても、子供にとっても大人にとっても大変な時代だよなぁ、と改めて思う。
3.AI vs. 教科書が読めない子どもたち読書感想後半関連リンク
1)www.kinokuniya.co.jp
AI vs 教科書が読めない子どもたち
2)webbigdata.jp
AI vs. 教科書が読めない子どもたち読書感想前半
AI vs. 教科書が読めない子どもたち読書前感想
コメント