HydroNets:最近の洪水予測の改善の背後にある技術(1/3)

ビッグデータ

1.HydroNets:洪水予測の最近の改善の背後にある技術(1/3)まとめ

・インドとバングラデシュで洪水予報を改善し2億5000万人以上の居住地に対象範囲を拡大
・形態学的浸水モデルと呼ばれる浸水モデリングの新しいアプローチで範囲を拡大できた
・更にHydroNetsと名付けた公開データを直接入力に使用する機械学習モデルも開発

2.形態学的浸水モデルとは?

以下、ai.googleblog.comより「The Technology Behind our Recent Improvements in Flood Forecasting」の意訳です。元記事の投稿は2020年9月3日、Sella Nevoさんによる投稿です。

アイキャッチ画像のクレジットはPhoto by Andreas Eriksson on Unsplas

洪水は地球上で最も一般的な自然災害であり、世界中の何億人もの人々の生活に影響を与え、毎年約100億ドルの被害をもたらしています。過去数年の取り組みに基づいて、今週初めにインドとバングラデシュで洪水予報を改善し、2億5000万人以上の人々が住む地域に対象範囲を拡大し、かつてない正確さ、明快さ、避難までの猶予時間を提供する直近の取り組みの一部を発表しました。

これらの革新的進歩を実現するために、形態学的浸水モデル(morphological inundation model)と呼ばれる浸水モデリングの新しいアプローチを考案しました。これは、物理ベースのモデリングと機械学習(ML:Machine Learning)を組み合わせて、現実世界でより正確で規模拡大可能な浸水モデルを作成します。

更に、新しいアラートターゲティングモデルでは、世界中で公開されているデータを直接入力に使用する機械学習モデルにより、洪水のリスクがある領域を前例のない規模で特定できます。

本投稿では、HydroNets(ICLR AI for Earth SciencestとEGUで今年発表)と呼ばれる次世代の洪水予測システムの開発についても説明します。HydroNetsは、複数の流域にわたる水文モデリング用に特別に構築された新しいアーキテクチャであり、様々な場所で精度を最適化しています。

水位の予測
洪水予測システムの最初のステップは、川が洪水を起こすか予想することです。

水文モデル(またはgauge-to-gaugeモデル)は、予測の精度と避難までの猶予時間を改善するために、政府や災害管理機関で長い間使用されてきました。これらのモデルは、降水量や上流の水位の測定値(つまり、海抜)のような入力を受け取り、将来のある時点での川の水位(または排水)の予測を出力します。

blog.googleの今週のキーワードで解説されている洪水予測システムの水文モデルコンポーネントにより、7500万人以上をカバーする地域で早期洪水警報が可能になり、避難までの猶予時間が2倍になりました。これらのモデルは、猶予時間を増加させるだけでなく、前例のない精度を提供し、カバーする全ての盆地で99%を超えるR2スコアを達成し、90%以上の割合で誤差15cmの以内で水位を予測します。

河川が洪水位に達すると予測されたら、実用的な警告を生成する次のステップは、河川水位の予測を、氾濫原への影響の予測に変換することです。

形態学的浸水モデリング
以前の研究では、衛星画像に基づいて高品質な標高マップを開発し、物理ベースのモデルを実行してこれらのデジタル地形全体の水の流れをシミュレートしました。これにより、データが乏しい地域でも前例のない解像度と精度で警告が可能になりました。

衛星パートナーであるエアバス、マクサー、プラネットと共同で、標高マップを拡張して数億平方キロメートルをカバー出来るようになりました。ただし、高い精度を維持しながら、カバー範囲をこのように広く拡大するには、浸水モデルの作成手法を再検討する必要がありました。


浸水モデリングでは、浸水するエリアとその水深を推定します。
上図は、浸水をシミュレートする方法、リスクレベルを定義する方法(赤と白で表現されています)、および警告が必要な領域(緑点)を特定するためにモデルがどのように使用できるかを概念的に示しています。

3.HydroNets:洪水予測の最近の改善の背後にある技術(1/3)まとめ

1)ai.googleblog.com
The Technology Behind our Recent Improvements in Flood Forecasting

2)blog.google
A big step for flood forecasts in India and Bangladesh

3)ai4earthscience.github.io
HYDRONETS: LEVERAGING RIVER STRUCTURE FOR HYDROLOGIC MODELING(PDF)

4)hess.copernicus.org
Towards learning universal, regional, and local hydrological behaviors via machine learning applied to large-sample datasets

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