私たちはAIに仕事を奪われる事を心配するべきか?(4)

入門/解説

1.まとめ

・ロボットやAIに奪われる職業ランキングは人工知能エンジニアが代替性を判断した
・実際にその職についている人はランキングに違和感を持つケースがある
・カウンセラーは代替不可職業に上げられるがロボットやAIで代替可能と考えるカウンセラーもいる

2.ロボットやAIで代替不可とされる職業の特徴

前回紹介した野村総研のレポート「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に(2015年12月)」では奪われにくい職業の特徴は下記であった。

(1)芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業

(2)他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業

元の論文のThe Future of Employment(2013年9月)だと「Creative」と「Social」が代替しにくい職業の特徴だった。Socialは(2)でほぼそのまま残っているが、(1)はCreativeな職業の言い回しから大分変っている。人工知能が特徴を解析できるような「具体的な概念」は、従来は創造的と見なされていた仕事でもロボットやAIがかなりこなせる事がわかってきたので「抽象的な概念」に限定したのかもしれない。

3.Socialスキルを求められるカウンセラーも安泰とは言えない

さて、Creative砦がロボットやAIにかなり攻め込まれている最中に恐縮だが、一方のSocial砦はどうだろうか?奪われにくい職業としてカウンセラーが3つもあげられている。学校カウンセラー、教育カウンセラー、産業カウンセラー、これらはSocialスキル、つまり高い対人関係構築スキルが必要だからロボットやAIでは代替可能と部外者は思うが実際にカウンセラーとして活躍している方は逆の感想を持つようだ。

■[時事問題][心理学小話]近い将来カウンセラーはAIに取って代わられそう

実は私の友人のカウンセラーも同意見。正式なカウンセリングを受けた経験がある人はあまりいないと思うが、皆さんの身近に大変有能なカウンセラーがいる。それは皆さんのペットだ。犬や猫に話しかける事によっては人は癒されるのだ。辛い事があっても黙って側に寄り添って聞いてくれる事がありがたいのであって「日本語が理解できる事」は必須ではないのだ。ペットのSocialスキルは高いのだろうか?

Socialスキルは大切で高い方が望ましい事は確かだ。しかし、それは人間と人間を比べた場合だ。ビジネスのやり方が大きく変わるとSocialスキルは別に要らなくなってしまう事は十分あり得る。町の本屋さんだったら笑顔が素敵で本への深い愛情と売れ筋本の幅広い知識を持つフレンドリーな店員さんはPepperを圧倒できるだろうが、土俵が変わってAmazonのリコメンドシステムを動かす事になったら人工知能に圧倒されてしまう。

皆さんの職場では全員が円滑なコミュニケーションは取れているだろうか?協調性のない人も普通に職場にいないだろうか?常に活発なディベートが会社で行われている?Social砦は過大評価されていないだろうか?

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