気候変動に対してAIは何が出来るのか?(5/4)

入門/解説

1.気候変動に対してAIは何が出来るのか?(5/4)まとめ

・貴方のスキルがどのように役立つかを特定する事
・共同作業者を見つけ意見を聞き、作業が望ましい影響を与えるように考案
・インパクトを実現できる場所に作業を展開

2.気候変動に対してMLの力を使いたい人のために

以下、arxiv.orgより、Tackling Climate Change with Machine Learningのまとめ部分のみを抜粋したものです。

元論文は
1)Electricity Systems
2)Transportation
3)Industry
4)Farms & Forests
5)CO2 Removal
6)Climate Prediction
7)Societal Impacts
8)Solar Geoengineering
9)Tools for Individuals
10)Tools for Society
11)Education
12)Finance

の12分野に対して、

1)Computer vision
2)NLP
3)Time-series analysis
4)Unsupervised learning
5)RL & Control
6)Causal inference
7)Uncertainty quantification
8)Transfer learning
9)Interpretable ML
10)Other

の10の切り口で、どういった貢献がAIに可能であるかを、優先度と共にまとめています。

個人的には気候変動と言われても、そんなに地球に厳しい生活を送っている自覚はなく、今以上に削る何かも思いつかずピンと来ない感覚が今まではありました。人生100年時代で自身の人生でさえ、どうなるかわからない変化の激しい時代の中で、地球全体の環境を考えましょうと言われても「なるほどそうですね!」という気持ちには中々なれるものではありません。

しかし、もし、20年後、30年後に綺麗な海やおそらくは山も、大自然が変わり果てた姿になってしまった時、「何故、お前はやろうと思えば何かできたはずなのに何もしなかったのだ?」と自身に問われた時、どういった気持ちになるかを想像すると、背筋がゾクゾクしてきてしまうので、出来る範囲で行動しておきたいと今は感じています。もしかしたら無駄な努力なのかもしれませんが、何もなければそれはそれで良し。サンゴ礁がなくなってしまうかもしれないってやっぱりショックです。

まとめ
機械学習は、すべてのテクノロジーと同様に、常に世界をより良い場所にするわけではありません。しかし、良い場所にする事を可能にします。

気候変動との戦いでは、MLが様々な分野全体にわたって大きな貢献が出来る事がわかりました。MLは、システムをより効率的にすることができます。(例えば、送電中の電力損失を防ぎ、貨物を統合し、食品廃棄物を削減します)。

センサーを用いた遠隔地での情報収集や自動監視を有効にする事ができます。(例えば、森林破壊の正確な特定、建物に関するデータの収集、個人のエネルギー使用の追跡など)。MLは、時間のかかるシミュレーション(気候モデルやエネルギー使用のスケジューリングモデルなど)の高速な近似を提供できます。

また、解釈可能なモデルまたは因果関係を示すモデルなどを導く可能性があります。(例えば、気象パターンの理解、政策立案者への通知、災害の計画など)。これら全ての場合において、MLはソリューションの一部にすぎないことを強調しておきます。これは、特定分野で包括的に他のツールを有効にするツールです。

気候変動の問題に取り組む事は、社会に利益をもたらし、機械学習のフィールドに新しい方向を提示する可能性を秘めています。私達が構想するソリューションは、コンピューターサイエンス内のフィールドに留まらず、フィールド外との対話が必要です。

この対話により、新しいアプリケーションだけでなく、ML全体に適用可能な新しい方法論的洞察が得られます。例えば、ML、シンボリックAI、最適化、動的システムなど、さまざまな分野のアイデアをまとめる研究が必要です。更に、ここで説明した問題の多くは、解釈可能性、不確実性の定量化、事前知識と制約の統合など、ML全体に局所的な課題を浮き彫りにします。

関連するデータの性質も課題と機会をもたらします。多くのアプリケーションでは、データの仕様は独自のものであるか、機密の個人情報を含む事があります。データセットが存在するとしても、それらのデータセットは、多くの場合、オープンエンドで何も制約がありません。典型的なMLベンチマーク用のデータセットが、特定のタスクを念頭に置いて編成されている事と対照的です。

データセットには、複数の異種ソースからの情報が含まれる場合があります。そのため、その領域の専門知識を用いてデータを統合する必要があります。更に、利用可能なデータは、グローバルなユースケースを代表していない場合があります。

たとえば、利用可能なデータが豊富な米国の電力システムは、利用可能なデータが乏しいインドの電力システムとは大きく異なります。利用可能なデータが少ない状況では、転移学習用ツールと学習結果を他の領域(ドメイン)に適応させるドメイン適応(domain adaptation)が不可欠であると思われます。

一部のタスクでは、慎重にシミュレートされたデータで学習を強化することも可能です。もちろん、可能な場合の最良の選択肢は常に、実際のデータを使用する事であり、公的、私的な事業主体がデータセットをリリースし、MLコミュニティの関与を要請することを強く推奨します。

気候変動に対してMLの力を使いたい人のために、以下にロードマップを提供します。

1)学習
貴方のスキルがどのように役立つかを特定する事です。この論文が出発点になることを願っています。

2)共同作業
研究者、起業家、既成企業、または政策立案者などの協力者を見つけます。本論文で説明した全ての領域について、その分野の専門家(必ずしもMLを理解している必要はない)がその機会と落とし穴を理解していることに注意してください。

3)傾聴
共同作業者が必要だと言っていることに耳を傾け、また、より広く情報を収集して、作業が望ましい影響を与えるようにします。革新的な技術がインパクトを与えます。しかし、ありふれた問題に対して適切に構築された技術も同様にインパクトを与えます。

4)展開
インパクトを実現できる場所に作業を展開してください。

私達は、機械学習コミュニティに、気候変動に対するグローバルな取り組みの一環として、貴方の持てる力を活用するよう呼びかけます。

(アイキャッチ画像のクレジット Photo by Shaun Low on Unsplash)

3.気候変動に対してAIは何が出来るのか?(5/4)関連リンク

1)www.eye-on.ai
Episode 20 – John Platt

2)www.climatechange.ai
ICML 2019 Workshop Climate Change: How Can AI Help?

3)arxiv.org
Tackling Climate Change with Machine Learning

4)slideslive.com
Truck Traffic Monitoring with Satellite Images

 

 

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