1.より効果的な量子コンピューティングのための化学的見直しまとめ
・Googleが量子プロセッサの性能を向上する2つの理論を発表
・1つは量子回路の見直し、もう1つはアルゴリズムの見直し
・これらの見直しにより量子プロサッサの計算機コストが劇的に下がる見込み
2.Googleによる量子コンピュータの改良の歴史
最初の古典的コンピュータとして知られる「アンティキティラ島の機械」は、天文学の観点から星々の動きをシミュレーションするために使われた。同様に、量子コンピュータの主要な野望は、量子力学の観点から量子の動きをシミュレーションする事を目指している。このシミュレーションは、しばしば量子力学の複雑性のため昔から難問とされていた。特に興味深い現象は、化学結合を形成する電子のシミュレーションであり、本質的に全ての分子、材料および化学反応で生じる。
2013年のQuantum AI teamの結成から、Googleは量子プロセッサのための実践的なアルゴリズムの開発に取り組んできた。2015年に超電導量子コンピューティングデバイスに最初の量子化学実験を行った。もっと最近では我々の量子シミュレーションは物質の異質な位相(exotic phases of matter)を実験的にシミュレートし、最初の量子コンピューティングのためのソフトウェアパッケージ、OpenFermionをリリースした。また2018年3月には72量子ビットのBristlecone量子プロセッサを発表した。
本日、Googleは量子プロセッサの計算機コストを理論上劇的に削減する2つの発表を行った。最初の一つはGoogle研究チームとChan Research GroupとマイクロソフトのQuArC groupとのコラボ実験である。我々は、分子が量子コンピュータ上でどのように表されるかを変えることによって、問題を解決するために必要な量子回路を大幅に単純化できる事を発見した。2つめの発表では1つめの発見で単純化された構造を利用して、量子ビットをより効率的に直線に配置し、新しい量子コンピュータ用のアルゴリズムを設計した。
これらの2つの改良をもってしてもまだ、古典的量子コンピューティングの性能を凌駕する事は容易な仕事ではないが、近年の量子コンピュータのハードウェアとアルゴリズムの進化は非常に貴重な新ツールとなるだろう。
3.より効果的な量子コンピューティングのための化学的見直し感想
「アンティキティラ島の機械」とは、沈没船から発見された古代ギリシア時代に造られたと思われる歯車式の機械です。天体観測用途に造られたと推測されているのですが、それと同等の精巧さを持った機械は、その1000年後まで現れることはなく、いわゆるOパーツ(発見された場所や時代にそぐわない高い技術で作られているアイテム)と見なされる事があるものです。
量子コンピュータの話は専門知識が足りないため訳しきれていないのですが、例の「量子超越性を達成するために必要な量子ビットは何ビットか?」に対するGoogleの答えがこの回路再設計とそれを用いたアルゴリズムって事なのだろうと思います。
4.より効果的な量子コンピューティングのための化学的見直し関連リンク
1)googleblog.com
Reformulating Chemistry for More Efficient Quantum Computation
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