ディープラーニングを使用して嗅覚を学習(1/2)

  • 2019.10.30
  • AI
ディープラーニングを使用して嗅覚を学習(1/2)

1.ディープラーニングを使用して嗅覚を学習(1/2)まとめ

・嗅覚は非常に多くの生物で共有される感覚であるが機械学習の研究対象としては軽視されている
・聴覚や視覚の機械学習事例から考えるに入力分子から最終結果である匂いを予測できるようになるべき
・グラフニューラルネットワークを使用して入力分子から臭気を直接予測する研究が発表

2.嗅覚の学習

以下、ai.googleblog.comより「Learning to Smell: Using Deep Learning to Predict the Olfactory Properties of Molecules」の意訳です。元記事の投稿は2019年10月24日、Alexander B Wiltschkoさんによる投稿です。

嗅覚は信じられないほどの多くの生物によって共有されている感覚であり、彼らが世界をどのように分析し、反応するかを決定する際に重要な役割を果たします。人間にとって、嗅覚は食べ物を楽しむ能力とも結びついており、鮮やかな思い出を引き出すこともできます。

嗅覚により、私達の日常生活にあふれている、おなじみの薔薇、焼きたてのクッキー、お気に入りの香水など、香りを感じ取る事ができます。それでも、その重要性にもかかわらず、嗅覚は視覚や聴覚と同じレベルの注目を機械学習研究者から受けていません。

人間の匂いの知覚は、嗅覚上皮と呼ばれる組織の小さな集まりで、100万の嗅覚ニューロン(OSN:Olfactory Sensory Neurons)で発現される400種類の嗅覚受容体(OR:Olfactory Receptors)の活性化の結果です。

これらのOSNは、嗅球に信号を送信し、脳内のさらなる構造に情報を送信します。視覚と聴覚を深層学習で扱う同様な手法を参考に考えれば、関連する全てのシステムの複雑な詳細を知らなくても、入力分子の最終的な嗅覚結果を直接予測する事が可能であるべきです。

臭気予測の問題を解決することは、新しい合成臭気物質を発見するのに役立ち、それによって天然資源を収穫することの生態学的影響を軽減します。結果として生じる嗅覚モデルの検査は、嗅覚の生物学への新しい洞察にさえつながるかもしれません。

小さな臭気分子は、風味(flavors)と香気(fragrances)の最も基本的な構成要素であるため、臭気予測問題の最も単純なバージョンを表現していると考えられます。しかし、各分子は複数の匂い記述子を持つことができます。例えば、バニリンには、「甘い」、「バニラ」、「クリーミー」、「チョコレート」などの記述子があり、いくつかのメモは他の特徴よりもはっきりしています。したがって、臭気の予測は「マルチラベル分類」の問題でもあります。

論文「Machine Learning for Scent: Learning Generalizable Perceptual Representations of Small Molecules」では、入力としてグラフを操作するように設計された一種のディープニューラルネットワークであるグラフニューラルネットワーク(GNN:Graph Neural Networks)を活用して、手動で設計したルールを使用せずに個々の分子の匂い記述子を直接予測します。

臭気予測のためのグラフニューラルネットワーク
分子はグラフに似ており、原子が頂点を形成し、結合がエッジを形成するため、GNNはこれを扱うために最適なモデルです。しかし、分子の構造をどのようにグラフ表現に変換するのでしょうか?

最初に、グラフ内のすべてのノードを、望ましい特徴(原子の同一性、原子の電荷など)を使用してベクトルとして表現します。

次に、全てのノードが現在のベクトル値を各隣接ノードにブロードキャストする一連のメッセージパッシングステップを行います。更新関数は、送信されたベクトルのコレクションを受け取り、更新されたベクトル値を生成します。最終的にグラフ内のすべてのノードが合計または平均化によって単一のベクトルに要約されるまで、このプロセスを何度も繰り返すことができます。

分子全体を表すその単一のベクトルは、学習した分子の特徴として完全接続されたネットワークに渡すことができます。このネットワークは、香りの専門家によって提供される匂い記述子の予測を出力します。


各ノードをベクトルとして表現し、ベクトルは最初に原子レベルの情報をエンコードします。

 


各ノードについて、隣接するノードを調べてその情報を収集します。情報はニューラルネットワークで中央ノードの新しい情報に変換されます。この手順は繰り返し実行されます。GNNの他の変数は、エッジおよびグラフレベルの情報を利用します。

 


臭気予測のためのGNNの図。 ノードのより良い特徴表現を学ぶために、分子構造をGNNレイヤーに供給するグラフに変換します。これらのノードは単一のベクトルまで削減され、複数の匂い記述子を予測するために使用されるニューラルネットワークに渡されます。

 

3.ディープラーニングを使用して嗅覚を学習(1/2)関連リンク

1)ai.googleblog.com
Learning to Smell: Using Deep Learning to Predict the Olfactory Properties of Molecules

2)arxiv.org
Machine Learning for Scent: Learning Generalizable Perceptual Representations of Small Molecules