気候変動に対してAIは何が出来るのか?(1/4)

  • 2019.09.05
  • AI
気候変動に対してAIは何が出来るのか?(1/4)

1.気候変動に対してAIは何が出来るのか?(1/4)まとめ

・気候変動とAIに関するワークショップのスピーカーへのインタビュー記事
・インタビュアーのグレイグはワークショップを聞いてジョンにインタビューを申し込んだ
・スピーカーのジョンは気候変動に歯止めをかけるためにGoogleに入社した

2.地球の温度が2度上がる時に起きる事

以下、www.eye-on.aiより「Episode 20 – John Platt」の書き起こし文の意訳です。元WebサイトはPodCast、つまり音声による配信をしているページです。ちょっと前にJeff DeanがTwitterで紹介していたエピソードです。

こんにちは、こちらは人工知能に関する新しいポッドキャストをやっているクレイグ・スミスと申します。私は今回のエピソードをいつもと違った感じでやってみます。AIと地球温暖化についてです。だから、ちょっと自由にやらせてください。

このポッドキャストのオープニングミュージックは、Daisy the Greatと言うバンドの「Built my Home on Hollow Ground(窪地に家を建てた)」という曲です。彼らは若く、将来性に満ちています。彼らは私の一番上の男の子の友人であり、私はこの曲が好きだからオープニングテーマに選んだのですが、「窪地に家を建てた」という歌詞も今日の私たちの状況について多くを語っているからです。

20代前半の頃、紅海にシュノーケリングをしに行きました。私は海に潜るのは初めてでしたので、率直に素晴らしい衝撃でした。水は限りなく透明でした。色とりどりのサンゴ、綺麗な色をした魚達、その多様性と色合いがまぶしかったです。

数十年後、息子は私達がアジアに住んでいる間にスキューバダイビングを学びました。彼は10代前半で、私が経験したよりも深く密接に海を探求して喜んでいました。私は彼のダイビング時の写真、竜巻のように渦巻く魚群、サイケデリックなウミウシの写真が大好きでした。私の息子はサンゴ礁が死んでいくのを見ながら生きるでしょう。

その鮮やかな色合いは、サンゴの死と共に灰色に漂白していくでしょう。彼の子供は、もしその時代を生きるのであれば、水族館の中でしか生きているサンゴを見る事ができないかもしれません。サンゴが消滅した後の世界に何が起こるかは誰も知りません。

私は、気候変動について、私の子供や孫が想像を超えた世界でどのように生き残れるかについて心配しています。ジョン・プラットは、コンピューター科学者であり数学を専攻しており、私のように父親です。私の懸念を彼以上に具体的に明らかにしてくれた人はいませんでした。

彼と話をすることで、科学者たちが何年も叫んでいることを実感しました。サンゴ礁が死ぬと予想される、現在より更に2度、惑星の温度が上昇するのを止めるのはおそらくもう遅すぎます。しかし、それ以上の温暖化を防ぐためにできることはたくさんあります。

現時点では、予測が間違っている可能性もあります。 科学的な予測は以前も間違える事がありました。そのため、地球温暖化の事を笑い、警告する人々をオオカミ少年と呼ぶ人達は沢山います。しかし、予測が間違っていない場合はどうでしょうか?他にも注意を払うべき事が沢山あるので、この問題はそれほど重要ではないのでしょうか?

私は、ジョンが機械学習カンファレンスの「Climate change. How can AI help?(気候変動に対してAIは何が出来るのか?)」と言うワークショップで講演した後に会いました。

デビッド・ロルニックやヨシュア・ベンジオなどが主催したこのワークショップは、この種のワークショップとしては初めての開催で、会場は大変な賑わいであり、立ち席しかありませんでした。

それは悲惨でありながら希望に満ちた数時間でした。どういうわけか、自分も行動したいという気持ちになりました。

私はジャーナリストであり、ジャーナリストが果たすことができる役割は確かにあります。しかし、貴方がもし、機械学習エンジニア、データサイエンティスト、高校生、またはAIで立身するポスドクの場合は、自分に何ができるかを自問してください。

今、ジョンの話を聞いてください。繰り返しますが、私は音質を台無しにしてしまいました。私はそのことについて申し訳なく思っています、しかし、とにかく聞いてください。彼は、私達が共有する未来、私達の子供たちの未来、そして人類の未来について語っています。

インタビューの開始

クレイグ
最初にあなたが何処の生まれなのか、あなたの生い立ち、あなたのご両親、そういった事や、あなたが受けた教育、あなたが焦点を当てている分野にどうして携わるようになったのかについてお伺いしたいと思います。

そして正直に言うと、あなたの専門分野が物理学か、コンピューターサイエンスか、あるいは他の分野かどうかさえ私は知りません。機械学習カンファレンスであなたが話すのを聞いていました。そして、私が本当にお伺いしたいのはワークショップであなたが講演した内容です。

2つの関連する問題がありますが、それぞれは異なる問題です。1つはゼロカーボンエネルギー技術の開発ですが、この前にすべき事があります。

ゼロカーボンエネルギーが間に合わないため、誰もが言う地球の気温が二度上昇する前に、炭素排出量を削減する必要があります。正しい?これは正しいですか?この認識であっていますかね?正しいですか?

ジョン
え、ええ、そう、そうですね。それが本質的にこの講演の主要なメッセージでした。

クレイグ
はい、えー、そうですね、それでは多分あなたが何処から来たのか、そのようなことからインタビューを始めましょう。

ジョン
わかりました。元々、私はシカゴ郊外のイリノイ州、トウモロコシ畑で育ち、14歳になったら家族がカリフォルニアに引っ越したので、実際にはロングビーチの大学に行きました。

そして、私は学部の化学者でしたが、1982年にジョン・ホップフィールドがこの非常に興味深い種類のニューラルネットワークを作ったと聞きました。

それはホップフィールドネットワークと呼ばれ、カリフォルニア工科大学で研究されていました。
そう、それは私にとって非常に刺激的でした。それで、私はカリフォルニア工科大学の大学院生になることに決め、彼らは私を受け入れました。こうして、私はコンピューターサイエンスのために大学院に行きました。

クレイグ
化学者であったあなたがニューラルネットのどこに魅力を感じたのですか?

ジョン
うーん、まぁ、私はいつも一種のジェネラリストでしたから。私は今でも多くのSF小説を楽しんでいます。それなので、人工知能に取り組むという見通しは、ある種の非常に刺激的なものでした。ご存じかもしれませんが、80年代には、非常に原始的でシンプルなモデルしかありませんでした。それから、過去35年間で状況はこれまでのところ大きく進歩しています。

クレイグ
そして博士号は?

ジョン
ええ、それはコンピューターサイエンスでしたが、博士号には2つの部分からなりました。 1つはコンピューターグラフィックスでした。

そのため、コンピューターグラフィックスの物理ベースのモデリングを多数行いました。当時、コンピューターグラフィックスのアニメーションはすべて手作業で設計されていたのです。ですから、全ての動きも手作業で実現されていました。それで、私のアドバイザーと私、他の数人の大学院生は、「ああ、物理的な動きのシミュレーションを実行したいが、それより物理的な動きそのものを制御できるようにしたい」という洞察を持っていました。

そのため、実際には、この種の動きのハイブリッドを作成しました。これは、アニメーターが指定しなかった動作を部分的に埋める機能でした。

クレイグ
ああ、それは興味深いですね。アニメーションとコンピューターグラフィックスから始めた数人の人と話をしたことがあります、セルゲイ・レビンもそうです。彼は最初にコンピューターグラフィックスの一種に興味を持ちました。それで、あなたはそこで博士号を取得しました。その後、どこに行き、あなたのキャリアはどのように発展しましたか?

ジョン
はい。それはカリフォルニア工科大学の博士号でした。だから、私はカリフォルニア工科大学の多くの人々を知っており、私達の多くはSynapticsと呼ばれる会社は始めました。彼らはあなたのノートパソコンのタッチパッドを作っているかもしれません。

クレイグ
おぉ、そうなんですか?

ジョン
そうなんです。その会社は元々ニューラルネットワークの会社として始まりました。それが始まりだったのです。まだ私がそこにいた間、中国語の手書き認識などに取り組みました。だから、それは脳のシナプスに由来する会社名Synapticsだったんです。

そして、コンピューターグラフィックスの友人の多くがMicrosoft Researchで働いていたので、Microsoft Researchで働き、機械学習の仕事に戻ることにしました。

だから、えぇ、Microsoft Research時代に書いた論文が、おそらく一番多く引用された論文です。そう、90年代後半には、サポートベクターマシンと呼ばれるモデルについて多くの興奮がありました。

クレイグ
確かに

ジョン
それで、シーケンシャルミニマムオプティマイゼーションと呼ばれる効率的な方法でトレーニングするためのアルゴリズムの1つを思いつきました。

クレイグ
なるほど、Googleに入社するまでそこに勤めていたのですか?

ジョン
そのとおりです。私は約17年間そこにいました。

私は特に気候変動に歯止めをかけるためにGoogleに来ました。それが動機の一つでした。従って、私がGoogleに入社したとき、彼らはちょうどTri Alpha Energyと呼ばれていたパートナーとのプロジェクトを開始していました。現在はTAEと呼ばれています。

彼らは融合実験を実験中で、経済的に成立するための条件を満たすブレークイーブン融合に近づいています。
当初、プロジェクトには私とTed Baltzという名前の別のソフトウェアエンジニアがいました。

そのため、私は最初はデータサイエンティストでしたが、複数の人間が関わるプロジェクトに成長させ、ベイジアン推論を行うようになりました。私たちは本質的に彼らのプラズマのためのデバッガーを構築し、科学者がその内部で何が起こっているかを助けようとしています。

クレイグ
あぁ、わかりました。あなたは講演で、センサーからの情報をグラフ表示し、それをどのようにして内部で起こっている事を視覚化するために利用するかについて示していましたね。なるほど。それで、いつGoogleに入社したのですか?

ジョン
2015年の初めですね。

クレイグ
それで、気候変動問題は、あなたが気にかけていた事であり、最終的に何かやろうと思っている事が出来る地点に到達した、あるいは…

ジョン
その通りです。
それには、いくつかの動機があります。 私には今、10代の子供が数人いるので、彼らが成長する未来の世界について非常に心配していました。私は彼らの世界が良くなるように手助けしたかったのです。だから、それは一つの強い動機でした。

また、私は何人かの友人がいましたが、よく知っているデイビッド・マッケイは、「Sustainable Energy Without All The Hot Air(温暖化を伴わない持続可能なエネルギー)」という非常に影響力のある本を書きました。

彼はジョン・ホップフィールドの下でカリフォルニア工科大学の大学院にも通っていたので知っていました。また、Synaptics時代のカウンターパートであったTim Allenという友人もいました。彼はエンジニアリングディレクターであり、私はリサーチディレクターでした。

彼は再生可能エネルギーに興奮し始め、Googleに入社してそれに取り組みました。しかし悲しいことに、彼は2011年に亡くなったと思います。そして、私は自身を彼の仕事を受け継ぐ者のように感じたのです。

(アイキャッチ画像のクレジット Photo by Shaun Low on Unsplash)

3.気候変動に対してAIは何が出来るのか?(1/4)関連リンク

1)www.eye-on.ai
Episode 20 – John Platt

2)www.climatechange.ai
ICML 2019 Workshop Climate Change: How Can AI Help?

3)arxiv.org
Tackling Climate Change with Machine Learning

4)slideslive.com
Truck Traffic Monitoring with Satellite Images