3人のAIのパイオニアがチューリング賞を受賞

  • 2019.04.05
  • AI
3人のAIのパイオニアがチューリング賞を受賞

1.3人のAIのパイオニアがチューリング賞を受賞まとめ

・ノーベルコンピューティング賞ともいわれるチューリング賞をAIのパイオニア3名が共同受賞
・ヨシュア・ベンジオ、ジェフリー・ヒントン、ヤン・ルカンの3博士は2004年にAIを共同研究
・真の人工知能を実現するまでにはまだ非常に長い道のりがあるが3博士は実現を信じている

2.今年のチューニング賞はLeCun、Hinton、Bengioの3博士に

以下、www.nytimes.comより「Turing Award Won by 3 Pioneers in Artificial Intelligence」の意訳です。元記事は2019年3月27日、Cade Metzさんによる投稿です。これも遅くなりましたが、おめでとうございます!それにしても、皆さん、とっても頭が良さそうな顔してますよね、実際、頭も良いのですけれども。ヒントンさんは俳優としても活動できそうなくらい本当に眼光鋭くカッコイイです。


左から、Yann LeCun、Geoffrey Hinton、Yoshua Bengio。研究者達は現在のニューラルネットワークの土台となる研究に取り組み、それはコンピュータシステムがどのように動作するかを根本的に考え直す事に繋がりました。画像は左からFacebook, via Associated Press、Aaron Vincent Elkaim for The New York Times、Chad Buchanan/Getty Images

サンフランシスコ – 2004年、Geoffrey Hintonはニューラルネットワークと呼ばれるアイデアの追求に倍プッシュしました。それは、機械が周囲の世界を見たり、音声を認識したり、自然言語を理解したりするための方法でした。しかし、科学者たちはニューラルネットワークの概念を研究するのに50年以上を費やしてきたにも関わらず、機械はそれのどれも実際にはできていませんでした。

カナダ政府の支援を受けて、トロント大学のコンピュータサイエンス教授であるHinton博士は、この概念に取り組む何名かの学者達と新しい研究コミュニティを組織しました。その中にはニューヨーク大学のYann LeCun教授、そしてモントリオール大学のYoshua Bengioが含まれていました。

今週水曜日、世界最大のコンピューティング専門家協会であるComputing Machinery AssociationはHinton博士、LeCun博士、Bengio博士に、ニューラルネットワークに関する研究を称え、今年のチューリング賞を贈呈しました。1966年に設立されたチューリング賞は、ノーベルコンピューティング賞と呼ばれることが多く、3人の科学者には合わせて100万ドルの賞金も授与されます。

過去10年間で、彼らが育んだ大きなアイデアは、テクノロジーの土台を一新し、顔認識サービスの開発、デジタルアシスタント、倉庫ロボット、自動運転車の開発等を加速させました。Hinton博士は現在Googleにいます、そして、LeCun博士はFacebookのために働いています。 Bengio博士はIBMとMicrosoftと契約しています、

「私たちが目にしたのは、科学におけるパラダイムシフトに他なりません」シアトルのアレン人工知能研究所の最高経営責任者であり、そしてAIコミュニティの著名人であるOren Etzioni氏は述べました。 「歴史が変わったのです。私は畏敬の念を抱いています。」

人間の脳内のニューロンの繋がりをゆるくモデル化したニューラルネットワークは、膨大な量のデータを分析することによって個々のタスクを学ぶことができる複雑な数学的システムです。

たとえば、何千もの古い電話の通話記録を分析することによって、話し言葉を認識する事ができるようになります。これは多くの人工知能技術が過去には不可能だった速度で進歩することを可能にします。一度に一つずつ論理的な規則を設計してシステムに振る舞い方を手でプログラミングするのではなく、コンピュータ科学者は望ましい振る舞い方を手で設計し、機械自身でその振る舞い方を実現する方法を学ぶようにシステムを構築することができるようになります。

ロンドン生まれの71歳のHinton博士は、1970年代初頭、大学院生の時にこのアイディアを思いつきました。当時、ほとんどのAI研究者はそのアイディアに懐疑的で、ヒントン博士の指導教官でさえその選択に疑問を呈しました。(訳注:いわゆるAIの冬の時代で、ご本人曰く、就職先も中々見つからなかったそうです)


LeCun博士とBengio博士、Hinton博士、2017年撮影。彼らは共同で、2004年に「neural computation and adaptive perception」の研究プログラムを実施しました。画像クレジットRe Work

「私たちは週に一度ミーティングをしました」とHinton博士はインタビューで言いました。「時折、そのミーティングは激しい口論になりましたが、そうでない時もありました。」

ニューラルネットワークは、1980年代後半から1990年代初頭にかけて短期間で復活しました。カナダのHinton博士との研究の1年後、パリ生まれのLeCun博士はニュージャージー州にあるAT&TのBell Labsに移籍し、そこで手書きの文字と数字を読むことができるニューラルネットワークを設計しました。AT&Tの子会社がそのシステムを銀行に売却し、ある時点では米国で書かれた全ての小切手の約10パーセントをそのシステムが読み取っていました。

ニューラルネットワークは手書き文字を認識したり他の簡単な作業をこなす事ができるようになりましたが、高度な知的作業はそれほど出来るようにはなりませんでした。例えば、写真の中の顔や物体の認識、話し言葉の識別、人々の自然な会話を理解する事などです。

「AIは利用可能な沢山のトレーニングデータがある時だけ上手く動作しました。そして沢山のトレーニングデータが利用可能な領域は当時、ほとんどありませんでした」と、58歳のLeCun博士は言いました。しかし、モントリオール大学で教授を務める前は、ベル研究所でLeCun博士と一緒に働いていたパリ生まれの55歳のBengio博士を含め、何人かの研究者はこのアイディアに固執しました。

Hinton博士は2004年に、カナダの先端研究研究所から40万ドル弱の資金を得て、彼が「ニューラル計算と適応知覚(neural computation and adaptive perception.)」と呼ぶものに特化した研究プログラムを設立し、彼は、Bengio博士とLeCun博士を招待しました。

10年後、Hinton博士のアイデアはその可能性に追いつきました。 2010年、Hinton博士と彼の学生は、Microsoft、IBM、そしてGoogleが音声認識の限界を押し広げる事を助けました。 その後、彼らは、画像認識に関しても同じことをしました。「彼は天才であり、次々と影響を生み出す方法を知っています」と、Hinton博士のアイデアを会社に持ち込んだMicrosoftの元スピーチ研究者であるLi Dengは述べました。

Hinton博士の画像認識タスクのブレークスルーは、LeCun博士によって開発されたアルゴリズムに基づいていました。2013年後半、Facebookはニューヨーク大学の教授であったLeCun博士をAI研究所を設立するためにスカウトしました。

Bengio博士は大手ハイテク企業の一角に加わる要請は受け入れませんでした。しかしモントリオール大学で彼が監督した研究は、本物と区別がつかない偽の写真を生成することができる技術や、自然言語を理解する技術の進歩を促進しました。

これらのシステムは疑いなく人工知能の進歩を加速させましたが、それでもまだ真の人工知能を実現するまでには非常に長い道のりがあります。しかし、Hinton、LeCun、Bengioの3博士は、新しいアイデアが登場する事を信じています。

「本当に人間同等の理解力を持つ機械を実現するためには、私達が作成したこのツールボックスに根本的な追加が必要です」とBengio博士は述べています。

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1)www.nytimes.com
Turing Award Won by 3 Pioneers in Artificial Intelligence