糖尿病性網膜症の診断を支援する人工知能の有効性の改善(1/2)

ヘルスケア

1.糖尿病性網膜症の診断を支援する人工知能の有効性の改善(1/2)まとめ

・以前より何度か発表されている糖尿病性網膜症を診断するディープラーニングモデルの改良について
・小数でも品質の高いラベル付けデータを使用してハイパーパラメータをチューニングして精度が向上
・人工の診察補助により医者の診断結果の信頼性が向上する事も新たに示された

2.糖尿病性網膜症を診断するディープラーニングモデルの改良

以下、ai.googleblog.comより「Improving the Effectiveness of Diabetic Retinopathy Models」の意訳です。元記事は2018年12月13日、Rory SayresさんとJonathan Krauseさんによる投稿です。記事の後半はこちら。人工知能で目を検査したお話は「ディープラーニングを使った網膜眼底画像からの屈折異常予測(1/3)」にもあります。

2年前、私達は、糖尿病の合併症である糖尿病性網膜症(DR:Diabetic Retinopathy)をディープラーニングで検出する新たな研究を発表しました。糖尿病性網膜症は視力喪失に繋がる危険の1つで、近年は患者が急速に増えています。この研究に基づいて、私達は、世界のヘルスケア向上のために当社の技術を活用する作業に着手しました。 同時に、私達はモデルのパフォーマンス、説明責任、臨床環境における適応性を向上させる努力を続けました。本日、私たちはこれらの目標に向けた研究の進捗状況を共有し、タイ王国における新しいパートナーを発表します。

高品質なラベルによるモデルパフォーマンスの向上
糖尿病性網膜症を検出するディープラーニングモデルのパフォーマンスは、特に微妙なエラーが誤診を引き起こす可能性があるケースで非常に重要です。今年のはじめ、私達は眼科学の雑誌に論文を投稿しました。この論文では、

1)以前の2分類評価尺度と比較して、より細かい5分類の評価尺度を使用しました。
2)網膜専門家の審査員団による審査を取り入れました。

網膜専門家の審査員団は、審査時に全員が最終評価に同意するまで議論を続けました。多数決を取るのと比べて、意見の不一致を解決するこの方法は、より正確であり、微小動脈瘤などの微妙な所見の審査にも使用できました。

審査プロセスの効率を高めるために、私達は学習用画像の一部(0.22%)を慎重に選択しチューニングに使用する画像としました。このより正確なリファレンス画像でモデルのハイパーパラメータを最適化することによってモデルのパフォーマンスを大幅に向上させました。

私たちは続いて、審査されたリファレンス画像を用いて診断の一致率を測定しました。個々の網膜専門家、眼科医、アルゴリズムのカッパスコア(ランダム同等を意味する0から完全一致を意味する1までの範囲で一致度を測定する)は、それぞれ0.82-0.91,0.80-0.84および0.84の範囲になりました。

モデルをもっと透過的にする
人工知能による診察補助を世に広めるためには、透明性と信頼性を確保しながら適切な手順で実行することが重要です。そのために、糖尿病性網膜症の診察の際に人工知能をより良い診断補助ツールとして使えるように、医師を支援するという目標を持って、人工知能の予測がどのようにして行われているかを説明する方法を模索してきました。

最新の研究では、本日眼科医向け媒体に発表したように、糖尿病性眼疾患の評価の精度と信頼性を高めるために、ディープラーニングアルゴリズムを利用する方法を眼科医に示しています。以前の研究で作り出した高品質なラベル付けされた画像で訓練され、検証されたモデルの結果を使用して、我々は一般的な眼科医に対して様々な形態で利用できる支援方法を生み出しました。

我々は、糖尿病性網膜症の重症度をレベル付けするアルゴリズムと、その予測をする際に最も強く影響を与えた網膜画像の領域を強調するヒートマップ画像を医師に提示しました。この支援を使用したところ、医師の診断精度が大幅に向上し、診断の信頼性が向上しました。

私達は人工知能による予測を示すことが、医師が見逃していたかもしれない病気の兆候を捉えるのに役立つという明確な証拠も得ました。下の網膜画像を見て審理団は視力を脅かす糖尿病性網膜症の徴候を発見しました。しかし、人工の援助なしでそれを診断した3人の医師のうちの2人はこの兆候を見逃しました。人工知能による予測(正確に病理を検出していました)を見た後にそれを評価した3人の医師は全員が見逃しませんでした。


左図は、眼科医の審査団が増殖性(視力を脅かす)糖尿病性網膜症を有する眼底画像と診断した画像です。右上図は、ディープラーニングによる予測スコア(「P」=増殖性、最も重症な糖尿病性網膜症)の実例が示されています。右下図は、人工知能による支援なしの医師達による診断(Unassisted)、人工知能による支援を受けた医師達による診断(Grades Only)、眼科医の審査団による診断(Ground Truth)が表示されています。

(糖尿病性網膜症の診断を支援する人工知能の有効性の改善(2/2)に続きます)

3.糖尿病性網膜症の診断を支援する人工知能の有効性の改善(1/2)まとめ

1)ai.googleblog.com
Improving the Effectiveness of Diabetic Retinopathy Models

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