1.Amazon SageMaker Studio Lab:無料版Google Colabの強力なライバルまとめ
・Amazon SageMaker Studio LabはAmazonが提供する無料のJupyterLab環境
・Google Colabの無料版より新しいCPUやGPUが割り当てられる場合がある
・Google Colabの無料版でストレスを感じるようになったら検討の余地はある
2.Amazon SageMaker Studio Labとは?
おそらく本ブログの読者の中には、タイトルを読んで、トキメキとワクワクを感じた人もいると思うのですが、結論から言うとColab proやColab pro+をすでに使ってるようなやり込んでる方向けの環境ではないです。
sudo、すなわちroot権限が開放されていないのです。
pipやcondaでパッケージ化されているモデルは簡単にインストール出来るのですが「動かすためには、apt-get install ~が必要」みたいなモデルは動かすための難度が跳ね上がります。
いずれは対応されるかもしれませんが、有料版のAmazon SageMakerも対応していないみたいなので、相当先になるのではないかと思います。
後、メモリが16GB、ディスクも永続ディスクと言えども15GBまでなので少な目です。
そのため、現時点では「無料版のColabを使って教科書的にフォーマルに学習している人がステップアップする際に検討すると良い環境」なのかなと思います。
Amazon SageMaker Studio Labの良い点
(1)利用申し込みにあたって必要なのはメールアドレスのみ
クレジットカードやAWS、Amazonのアカウントを必要としません。なお、申し込んで即は使えず公式サイト曰く承認まで1~5営業日かかるとなっています。私は日本時間の夜間に申し込んで翌日の昼過ぎには承認されました。
(2)完全無料で12時間接続可能なCPU版インスタンスと、4時間接続可能なGPU版インスタンスが選べる
ほぼ素のJupyterLabなのでJupyterに慣れてる方は習熟が早いと思います。
(3)15GBまでの永続ストレージが使える
永続ストレージ、つまり、Colabのように毎回ディスク内容がリセットされて消えるような事はありません。毎回インストールやセットアップをする必要がないのは時短になります。
(4)Google Colabの無料版と比較すると新しいCPU(世代が新しい)やGPU(T4など)が割り当てられる場合がある
最近は無料版ColabだとGPUにK80、Colab ProだとP100が割り当てられることが多いようですが、Amazon SageMaker Studio LabだとP100より混合精度(Mixed Precision)演算が早いT4が割り当てられる事が多いようです。(ただし、単精度だとP100の方がT4より早い)
Amazon SageMaker Studio Labの気になる点
特にないのですが、心配性すぎるかもしれない事を敢えて書いておくと、以下です。
4時間接続可能なGPUではもの足りなくなった際、アップグレード先はおそらく慣れ親しんだ環境を使い続けたくなって有料版のAmazon SageMakerを有力候補にすると思うのですが、そこで意図せずお値段が跳ね上がる可能性がある事です。
クラウドは見積もりツールで事前にかなり正確に見積もり出来るので動かしっぱなしにしなければ意外に安くできるように感じられる人もいるかもしれませんが、ネットワーク帯域使用料金の部分は非常に複雑な料金体系になっているので事前に正確に見積もるのがとっても難しいです。
そしてAI関連のモジュールやデータセットはサイズが大きいので、ネットワーク料金が非常に高くなりがちなのです。Colabを卒業して、GCPやAWSなどのクラウドベース、つまり従量課金サービスに移行した人がうっかり何十万円も溶かしたという話は珍しくない(知人に3人います)ので、必ず使用料金が予算枠を超えたらアラートを挙げるように設定しておきましょう。
Colabの性能は固定ではないけれども料金が固定している固定料金制は本当にありがたいのですが、固定料金制の良さを知らずに従量課金に移行してしまう事に少し危うさを感じるので、Amazon SageMaker Studio Labの卒業後もAmazon SageMakerに直接移行するのではなく一旦Colab Proに戻った方が安全かもしれないな、とは思いました。
3.Amazon SageMaker Studio Lab:無料版Google Colabの強力なライバル関連リンク
1)studiolab.sagemaker.aws
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