1.Googleを巨大にした友情(9/9)まとめ
・Googleを家に例えると現在、Jeffは設備を追加し、Sanjayは構造を支えている
・ペアプログラミングは週1になってしまったが新しいAIプロジェクトを始めている
・二人は非常に多くの異なるタスクを実行できる「巨大な」機械学習モデルを開発中
2.「巨大な」機械学習モデル
以下、www.newyorker.comより「The Friendship That Made Google Huge」の意訳です。元記事の投稿は2018年12月3日、James Somersさんによる投稿です。素晴らしい文章でした、訳して良かったと思います。
エンジニアリングの妙技は忘れ去られる傾向があります。
私たちは18世紀の偉大な探検家を覚えています。ジェームズ・クック(訳注:クック船長、ハワイ諸島の発見などで有名)、ジョージ・バンクーバー(訳注:バンクーバーの地名の由来となった探検家)、しかし、ジョン・ハリソンの名前を憶えている人はいません。彼はヨークシャー出身の大工で、何十年も研究をして、経度を考慮するので海での使用に耐える、十分な信頼性を持つ時計を作り出しました。
つい最近、JeffとSanjayはPalo Alto Sol、彼らが良くいくメキシコ料理のレストランでマルゲリータとエンチラダを楽しんでいました。Jeffはスマートフォンを取り出して、「Gmailが最初に登場したのはいつですか」と尋ねました。スマートフォンは「2004年4月1日」と答えました。
TPOをわきまえる事に敏感なSanjayは、ディナーの席でスマートフォンを使う事に感心していないようでしたが、Jeffは興奮していました。現在のGoogleは、シームレスに統合された沢山のプログラムを使って彼のスマートフォンから世界中のデータセンターに接続し、話し、聞き、そして質問に答えることができます。
現在、彼らの役割は多様化しています。Googleでは、Sanjayは「individual contributor(個人貢献者)」として知られています。つまり、単独で機能し、管理職としての役割を求められないコーダーです。Sanjayは、これに感謝しています。「私はJeffのようなマネージメントの仕事はしたくないですね」と彼は言っています。
現在Sanjayは、エンジニアが多数のプログラムを組み合わせて制御する事を容易にするソフトウェアの開発に取り組んでいます。これを使うと、ユーザはGoogleの検索ボックスにテキストを入力すると同時に、ニュース、写真、価格情報などを取得できるようになります。また、週に1回、GoogleのArea Tech Leadsグループ、~Googleエンジニアにとってのジェダイ評議会~、とミーティングを行い、会社全体に影響を与える技術的決定を下します。Googleを家に例えれば、Jeffは設備を追加し、Sanjayは構造を支え、梁を補強し、ボルトを締めているのです。
一方、彼らの月曜日のコーディングセッションの間に、彼らは何か新しいことを始めました。それはAIプロジェクトです。Jeffは「巨大な」機械学習モデルを訓練し、数千または数百万の異なるタスクを実行させると言っています。Jeffは何年もの間この考えについて考えてきました。そして、最近、彼はそれが可能と決断しました。
彼とSanjayは、プロトタイプを作ってチームを成長させる事を計画しています。ソフトウェアの世界では、先導する最善の方法はコードを提供することです。
「彼らはお互いに恋しいと思います」とJeffの妻であるHeidiは言います。彼らの共同作業が少なくなった時から、彼らは金曜日の夕食を一緒に取るようになりました。
3月の日曜日、JeffとSanjayはクパチーノ郊外のハイキングに出かけました。よく晴れた、太陽が照り付ける暑い日でした。Jeffは、バーニー・サンダースの2016年大統領選挙のステッカーをバンパーに貼った青い車、Tesla Roadsterで先行しました。そのすぐ後ろにSanjayは、自身の赤い車、Tesla社のModel Sで続きました。
Sanjayは朝は読書して過ごしており、Jeffはサッカーをしていました。(Jeffのふくらはぎに付けた測定器具は、彼が11.4km走った事を告げていました)
3月に索引を作成してから20年後、Jeffは引退したエンデュランスアスリート(訳注:持久力が必要な競技の選手)のように見え、Sanjayはほとんど年をとっていないように見えました。
ハイキングは、森の中の険しい山道を登って行くコースでした。Jeffが先行し、森の中で、彼らはGoogleが如何に早く成長したかについて思い出しました。
Sanjayは、会社の最初の急成長期に、配管工が男性用トイレの1つの仕切り内に2つの便器を設置した事を思い出しました。「私はJeffが言った事を覚えているよ」と彼は言いました。「2つの頭は1つの頭よりも優れている!」と言って彼は笑いました。
森から出ると乾いた地面になり、ヒメコンドルが頭上を飛んでいました。
「ここの丘は私が思っていたよりもかなり急だね」とJeffは言いました。
「今回のハイキングはとても平坦な道のりだ、って誰かが言っていた気がするんだけど」Sanjayは言いました。
「この急な坂道が、この辺に自転車専用道がない理由だと推測できるね」とJeffは言いました。
彼らは山道に戻りました。ジグザグに登攀しながら、Jeffは木の向こうを垣間見ました。「もう少しいけば見晴らしの良い場所に出るだろう」と彼は言いました。山道を歩き続けると、素晴らしい展望の場所に出ました。地平線には曇が出ていましたが、それでも、南にサンタクルス山脈、東にミッションピーク山を見る事ができました。
「Sanjay、君のオフィスがあるよ!」Jeffは言いました。
彼らは谷を見渡しながら一緒に立っていました。
本記事は、Newyorkerの2018年12月10日号の印刷版に「Binary Stars」という見出しで掲載されています。著者のJames Somersは、ニューヨークを拠点に活動する作家兼プログラマーです。
3.Googleを巨大にした友情(9/9)関連リンク
1)www.newyorker.com
The Friendship That Made Google Huge