AI Artの世界で食っていくための2つの道(2/3)

入門/解説

1.AI Artの世界で食っていくための2つの道(2/3)まとめ

・GANは写真より版画に近いと考える事ができる
・GANの動作原理はキュービズムのような芸術的表現に通じるものがある
・GANはあくまで技術であり芸術家としての評価の源はその人の独創性

2.GANと版画と芸術的表現

以下、www.artnome.comより、「Helena Sarin: Why Bigger Isn’t Always Better With GANs And AI Art」の意訳です。元記事はJason Baileyさんによる2018年11月26日の投稿です。前編はこちら後編はこちら

Sarinの静物は、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブレークによる初期のキュービズム・コラージュ作品を私に思い出させます。GANが初期のキュービズムのように、画像を分解し、分解した要素をアルゴリズムで再結合して全く新しい視点を形成していることを考えれば、GANとキュービズムを思いおこさせる理由がわかります。アナリティカルキュービズムのように、Sarinの作品は厳選したカラーパレットとフラットで浅い構図を特徴としています。私たちはSarinの作品に文字が使われているのを見ることもできます。これは、初期のキュービストコラージュに使われた新聞の文字のように見えます。

私はSarinが美術史を学んでいた事を知って驚きませんでした。キュービズムに加えて、私はサリンの作品がドイツ表現主義の影響を受けているように感じます。Emil NoldeやErich Heckelのようなアーティストの木版画と同様に、Sarinは大胆でフラットなパターンと黒を作品に使用しています。彼女はまた、作成時に生まれる表面の模様を隠すのではなく、特徴として組み込みました。これは、表現主義の木版画制作者のもう一つの特徴です。


And Soon I’ll Hear Old Winter’s Song, Helena Sarin, 2018


MÜDE, Erich Heckle, 1913


Tingel-Tangel II, Emil Nolde, 1907


Woman, Erich Heckel, 1925

A Little Etching, With Apology to Modigliani, Helena Sarin, 2018

The Snow Queen, Helena Sarin, 2018

私は、版画は写真よりはるかにGANに似ていると思います。版画と同様に、GANに使われている技術は時間とともに改善されていきます。木版から銅版画のリトグラフに移行するように、版画はより詳細で現実的なイメージへ移行します。同様に、GANはGANだけで、より詳細でフォトリアリスティックな出力に向かって移行しています。この移行は非常に速く起こり、数ヶ月ごとにツールが的外れなものになってしまったかのように感じることができます。

これは、独立したアーティストが自分のデータでそれを訓練するにはあまりにも多くのコンピューティングパワーを必要とするBigGANの出現に特に当てはまります。自分自身のデータでBigGANを訓練する代わりに、多くのアーティストは事前に訓練されたモデルを用いて作業します。AI アートコミュニティの多くで起こっているこの計算機パワーを用いた殴り合いは、Googleの研究者であるDavid Haを驚かせています。


GANを使っているアーティストの皆さん、BigGANではなくてLittleGANをカスタマイズするのは如何ですか?貴方の作品を鑑賞する人々は、アートに独創性ではなく高品質である事を期待しているのでしょうか?

Sarinは彼女の考えを#neuralBricolageにまとめ、親切にもこれを以下に全文を共有してくれました。

AI アートは、計算機資源の量と計算機パワーに魅入られた人々の終わりなき軍拡競争なのでしょうか?それとも、「優れた」版画技術が登場した後に慎ましい木版に革新性と創造性を見いだしたEmil NoldsesやErik Heckels、彼らのように生きたいと思う現代のアーティストのための余地はありますか?

Helena Sarinは重要な芸術家であり、賞賛に値する人物です。彼女の思想は、ここで生まれる芸術(特にGANアート)に関する主要な議論の基礎を形成します。

(AI Artの世界で食っていくための2つの道(3/3)に続きます。)

3.AI Artの世界で食っていくための2つの道(2/3)関連リンク

1)www.artnome.com
Helena Sarin: Why Bigger Isn’t Always Better With GANs And AI Art

コメント

タイトルとURLをコピーしました