AI Artの世界で食っていくための2つの道(1/3)

  • 2018.12.02
  • AI
AI Artの世界で食っていくための2つの道(1/3)

1.AI Artの世界で食っていくための2つの道(1/3)まとめ

・人工知能が書いた絵画の触れ込みでオークションで絵が高額で落札された
・高額で落札されたのは評価基準がまだ定まっていないためである可能性が高い
・AI Artの世界で傑出した存在になるためには新規性と独自性の2つの道がある

2.予想の40倍の金額で落札されたAI アート

以下、www.artnome.comより、「Helena Sarin: Why Bigger Isn’t Always Better With GANs And AI Art」の意訳です。元記事はJason Baileyさんによる2018年11月26日の投稿です。中編はこちら


Am I Dali yet?(私はまだダリですか?), Helena Sarin, 2018 (Collection of Jeremy Howard)

人工知能の一種であるGANを使った芸術(AI アート)はまだ新しく、芸術に携わっている人々はその価値を理解する事も評価する事もできません。先月、フランスの芸術家集団であるObviousがオークションハウスのクリスティーズでAIを使って作成した絵を売りにだし、435万ドル(約5,000万円)で落札された時にこの事が判明しました。

AI アート界ではクリスティーズがObviousの作品を出品した事に多くの議論が沸き起こりました。何故なら、他にもっと多くのアーティストがAI アート界で長い期間活動をしてきており、技術的にも芸術的にもより熟練しており、コミュニティに貢献し、AI アートのジャンルを拡大する活動をしてきたからです。例えば、Helena Sarinがいます。

Sarinはモスクワで生まれ、モスクワ土木工学大学でコンピュータサイエンスを学びました。彼女は数年間イスラエルに住み、その後アメリカに移住しました。彼女は常にテクノロジー業界で働いていましたが、ファッションやフードスタイリングのようなアートに関する活動も続けていました。

彼女は過去にプログラミングと芸術に興味を持ち、Casey Reasと共にProcessing(電子アートとビジュアルデザイン用のプログラミング言語)の授業も受講しましたが、それは彼女の開発者としての普段の仕事とあまりにも似ていました。その後、2年前、彼女は物体認識のためにディープラーニングを使っている運送会社から仕事を請け負いました。彼女は、与えられたデータセットでCycleGANを訓練し、クライアントのために物体認識用の画像データを生成しました。その後、この経験を生かして彼女は自分が撮影した写真とアートワークでCycleGANを訓練して新しい芸術を生み出す事を決めました。

これは、実際にGANで作られたAIアートでは大変重要な違いです。AIアートでは、似たような人工知能(CycleGAN、SNGAN、Pix2Pixなど)を、Webから収集した似たようなデータセットを使って訓練させて、AI アートとして発表しているアーティストを頻繁に見かけます。これでは似たような作品が出来上がり、AIアート全体が粗製濫造な低俗なジャンルと見なされ、一過性の流行として終わってしまう恐れがあります。

しかし、これを真似する必要はありません。Sarinによると、あなたがGANを探求しているAIアーティストであれば、これを防ぐための本質的に2つの方法があります。まず、他のユーザが使いだす前に、最新のテクノロジーを使用する事があげられます。これは今、BigGANで起こっています。BigGANは高解像度の作品を作成できますが、莫大な量の計算が必要になるため、アーティストが独自の画像を使用してトレーニングするには、時間もお金もかかり高価です。

その結果、BigGANの画像の多くは、独自の画像ではなく広く公開されたデータセットを用いて学習済みの人工知能を使っており、誰がそれを作成したかにかかわらず同じように見えます。BigGANが “使い果たされ” “BiggerGAN”が登場する前に、最新技術を追う道をたどるアーティストはBigGANで誰よりも早く実績を出す競争をしなければなりません。あなたはあなたのアートを差別化する方法として新技術を追求する事ができます。あなたのアートはスピード、お金、そして投入したコンピューティングパワーを評価基準として評価されるでしょう。

私は新しいテクノロジーは芸術にとって刺激的であると感じていますが、テクノロジーそれ自体が芸術を「良くする」または「悪くする」事はないと感じています。Sarinも私もテクノロジーは芸術を持続的成功に導くための興味深い要素ですが、他にも沢山ある要素の中の一つにすぎないと言う考えを共有しています。

アーティストがAIアートの同質性から身を守る第2の方法は、コンピューティングパワーを使った殴り合いには参加せず、自分自身が手で作りだした独自のデータセットを使用してモデルを訓練することです。自分のアートワークでGANを訓練することで、他の人がまったく同じ出力を出すことはないということが保証されます。 この二番目のアプローチはSarinが取ったアプローチです。

経験豊富なアーティストが新しいメディアに近づくように、沢山の実験や注意深い観察を通して、SarinはGANを習熟していきます。Sarinの仕事の多くは、食べ物、花、花瓶、ボトル、その他、彼女が「ブリコラージュ(Bricolage:寄せ集めて自分で作る)」と呼んでいる物をモデルにしています。静物から作業を始める事は、新しいツールやアイデアの可能性を模索する際にアーティスト達が昔から使っていたアプローチです。


Trick or Treat(ハロウィンのアレ)Helena Sarin, 2018


The Pigeon Pea(ピカソには「えんどう豆」に見えるらしい), Pablo Picasso, 1912


Radical Seasonality(先鋭的な季節感), Helena Sarin, 2018

(AI Artの世界で食っていくための2つの道(2/3)に続きます。)

3.AI Artの世界で食っていくための2つの道(1/3)関連リンク

1)www.artnome.com
Helena Sarin: Why Bigger Isn’t Always Better With GANs And AI Art