スマートフォンで目を撮影して9種の病気の兆候を検出する(1/2)

ヘルスケア

1.スマートフォンで目を撮影して9種の病気の兆候を検出する(1/2)まとめ

・昨年の研究ではディープラーニングを使って眼球写真を解析し糖尿病網膜疾患の状態や糖化ヘモグロビンの上昇を予測できることを示す結果を発表した
・今年は更に研究を推し進め、複数の臓器系にまたがる多数の兆候が外眼写真からロジックスティック回帰モデルより高いレベルで予測できた
・この研究はまだ初期段階ではあるが消費者向けデバイス且つ人体を傷つけずにチェックを可能にする事で病気の発見率を向上させる可能性がある

2.スマートフォンを使ったバイオマーカー

以下、ai.googleblog.comより「Detecting novel systemic biomarkers in external eye photos」の意訳です。

う~ん、スマホで眼を撮影して病気の兆候を検出、昨年の研究を更に発展させたと言うお話ですがこういう使い方って本当に素晴らしいですね、人が出来る事をより安価にやる方向性ではなく、人が出来ない事・苦手な事をAIを使って支援する方向性に行ってくれればな、と思っています。

アイキャッチ画像は従来のイラスト生成の作業フローを見直してみようとして、結局時間が足りなくなってにっちもさっちもいかなくなって逆に退化したイラスト。

私達は昨年、ディープラーニングシステム(DLS:Deep Learning System)を学習させることで、眼球写真を解析し、糖尿病網膜疾患の状態や糖化ヘモグロビン(HbA1c、血糖値の3カ月平均値を示すバイオマーカー)の上昇を予測できることを示す結果を発表しました。

これまで、外界の眼球写真にこれらの疾患のシグナルが含まれていることは知られていませんでした。この発見は、スマートフォンなどの一般消費者用に販売されている機器で撮影できるため、専門的な機器を必要としない可能性があることを示唆しています。私たちは、この発見を励みに、この画像にどのようなバイオマーカーが含まれるかを調べることにしました。

Lancet Digital Healthに掲載された「A deep learning model for novel systemic biomarkers in the photos of the external eye: a retrospective study」では、複数の臓器系(腎臓、血液、肝臓など)にまたがる多数の全身バイオマーカー(systemic biomarkers)を、年齢や糖尿病罹患年数などの臨床人口統計変数のみを用いたロジスティック回帰モデルを上回る精度で外眼写真から予測できることを示しました。

いくつかの病気のリスクは簡単なアンケートで評価できるため、臨床人口統計学的ベースラインとの比較は有用であり、画像を解釈するモデルがより良い結果を出しているかどうかを理解することを目的としています。この研究は初期段階ですが、人体を傷つけない新しいケアが可能になる事で、病気の発見やモニタリングへの利用を向上させる可能性があります。


外眼写真の予測値を生成するモデル

モデルの開発と評価

モデルを開発するために、私たちはEyePACSとロサンゼルス郡保健サービス局のパートナーと協力して、外眼写真と、検査結果や生命兆候(血圧など)の形で構成される匿名化された過去のデータセットを作成しました。

このデータセットでより一般的に入手できる31の検査検査と生命兆候にフィルターをかけ、試験と兆候ごとに分類「ヘッド」を持つマルチタスクDLSを学習させ、これらの測定値の異常を予測しました。

重要なことは、多くの異常値の性能を並行して評価すると、あり得ないような誤った結果が見つかる可能性が高くなるため(つまり、多重比較の問題による)、問題が生じる可能性があることです。

これを軽減するために、まず開発用データセットの一部でモデルを評価しました。次に、最も有望な9つの予測タスクに絞り込み、テストデータセットで多重比較の補正を行いながらモデルを評価しました。具体的には、これら9つのタスクとその関連解剖学、および関連疾患に対する重要性を下表に示します。

予測タスク 臓器系 関連疾患の意義
Albumin < 3.5 g/dL 肝臓/腎臓 アルブミン低下症の兆候。肝疾患によるアルブミンの生成減少または腎疾患によるアルブミンの喪失増加が原因。
AST > 36.0 U/L 肝臓 肝疾患の兆候(肝損傷または胆汁閉鎖)。ウイルス感染、アルコール使用、肥満が一般的な原因。
Calcium < 8.6 mg/dL 骨 / ミネラル 低カルシウム血症の兆候。主にビタミンD欠乏症や副甲状腺の障害が原因。
eGFR < 60.0 mL/min/1.73 m2 腎臓 慢性腎臓病の兆候。糖尿病や高血圧が最も一般的な原因。
Hgb < 11.0 g/dL 血球数 貧血の兆候。出血、慢性疾患、食生活の乱れなどに起因する貧血の兆候を示す。
Platelet < 150.0 10^3/µL 血球数 血小板減少症の兆候。骨髄障害、例えば白血病やリンパ腫による血小板の生成減少や、自己免疫疾患や薬の副作用による血小板の破壊増加が原因である可能性があります。
TSH > 4.0 mU/L 甲状腺 甲状腺機能低下症の兆候。代謝に影響し、さまざまな状況が原因となります。
Urine albumin/creatinine ratio (ACR) ≥ 300.0 mg/g 腎臓 慢性腎臓病の兆候。糖尿病や高血圧が最も一般的な原因です。
WBC < 4.0 10^3/µL 血球数 白血球減少症の兆候。感染と戦う能力に影響を与えることがあります。

 

3.スマートフォンで目を撮影して9種の病気の兆候を検出する(1/2)関連リンク

1)ai.googleblog.com
Detecting novel systemic biomarkers in external eye photos

2)www.thelancet.com
A deep learning model for novel systemic biomarkers in photographs of the external eye: a retrospective study

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