1.AI開発ガイドラインと社会・経済にもたらす影響まとめ
・総務省が国際的な議論のたたき台として策定したAI開発ガイドライン案のご紹介
・全9項目で健全な進展、リスクの抑制、利用者受容性の向上を目的とする
・ベーシックインカム等の国民の生活に関連する項目は対象とされていない
2.AI開発ガイドラインとは
主にAIネットワーク化の健全な進展及びAIシステムの便益の増進に関する原則
(1) 連携の原則—–開発者は、AIシステムの相互接続性と相互運用性に留意する。
主にAIシステムのリスクの抑制に関する原則
(2) 透明性の原則—–開発者は、AIシステムの入出力の検証可能性及び判断結果の説明可能性に留意する。
(3) 制御可能性の原則—–開発者は、AIシステムの制御可能性に留意する。
(4) 安全の原則—–開発者は、AIシステムがアクチュエータ等を通じて利用者及び第三者の生命・身体・財産に危害を及ぼすことがないよう配慮する。
(5) セキュリティの原則—–開発者は、AIシステムのセキュリティに留意する。
(6) プライバシーの原則—–開発者は、AIシステムにより利用者及び第三者のプライバシーが侵害されないよう配慮する。
(7) 倫理の原則—–開発者は、AIシステムの開発において、人間の尊厳と個人の自律を尊重する。
主に利用者等の受容性の向上に関する原則
(8) 利用者支援の原則—–開発者は、AIシステムが利用者を支援し、利用者に選択の機会を適切に提供することが可能となるよう配慮する。
(9) アカウンタビリティの原則——開発者は、利用者を含むステークホルダに対しアカウンタビリティを果たすよう努める。
だそうです。
正直、「AIシステム」に限定する必要はなくて既存のほぼ全ての産業に適用できる/すべき内容と思うのですが、ソフィア等がやりすぎると「AIシステム」が今後も人類に対する脅威として独自枠扱いされる事が増えるのかもしれません。
なお、開発指針以外にも「AIネットワーク化が社会・経済にもたらす影響」の検討があるのですが、「人工知能が仕事を奪う系」の影響はあまり検討されていない、むしろあまり触れずにバラ色の世界に留めて起きたい感を感じてしまいました。
雇用が増える影響
・学習データやパラメータ調整、情報セキュリティ等に関連する雇用が創出される。
・交通情報サービス事業者やデータ提供者の収益増加に伴い、新たな雇用が創出される。
・商業施設やテーマパークの売上・消費が増え、雇用が創出される。
・家電メーカー等の収益増加に伴い、新たな雇用が創出される。
・家電メーカー、ロボットメーカー等の収益増加に伴い、新たな雇用が創出される。
・製造業者の破綻・倒産の減少が見込まれ、雇用の維持が可能となる。
・交通情報サービス事業者やデータ提供者の収益増加に伴い、新たな雇用が創出される。
雇用が減る影響
・駐車場等の警備員・整理係の業務に関連する雇用が減少する。
・自治体の都市計画の策定に関連する雇用が減少する。
・パトロールや見守りの業務に関連する雇用が減少する。
・インフラの点検や修理に関連する雇用が減少する。
・バスやタクシーの運転等に関連する雇用が減少する。
・介護業務に関連する雇用が減少する。ただし、一般的に介護分野においては、人手不足と言われており、労働力を補完する側面もあり、人間の負担の軽減につながる。
・在庫管理や商品の発送・納品等に係る調整等の業務に関連する雇用が減少する。
・発送・納品等に係る調整等の業務に関連する雇用が減少する。
配置転換すれば解決!
・行政(自治体)の窓口業務から、政策立案等の業務に配置転換することができる。
・生産ラインの調整等の業務から、商品・サービスの企画・開発等の業務に配置転換することができる。
・案内所や迷子対応の業務から、付加価値の高い業務に配置転換することができる。
「窓口業務から政策立案」「生産ラインから企画開発」「迷子対応からより付加価値の高い業務」ってものすっごいキャリアチェンジですし、「増える雇用数」<「減る雇用数」に思えます。これが前提になるのでしたら「バスやタクシーの運転等に関連する雇用は人工知能の学習データやパラメータ調整、情報セキュリティ等に関連する雇用で代替」で特に問題がない事になってしまいますが、お国の指針であるならば、もう少しこの辺りも真剣に試算もしくは別途対策の必要性を提言して頂きたいな、と思いました。今現在、銀行がやっているホワイトカラーの人員削減は何なのかと。メガバンクに入社した方は熾烈な就職戦線を勝ちぬいた優秀な人達でしょうし、銀行は時価総額上位で攻めの姿勢も取りやすいでしょうから、自然減による人員削減などと言わずに「付加価値の高い業務に配置転換」すれば良いと思うのですが、そうなってない現実についてどう思われるのかと。
総務省ではなくて厚生労働省の管轄って事になるのでしょうか。ベーシックインカム等のセーフティーネットの拡充はまだ公式に議論を始める事も出来ていないようですね。
3.AI開発ガイドラインと社会・経済にもたらす影響関連リンク
1)www.soumu.go.jp
AIネットワーク社会推進会議 報告書2017の公表
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