1.機械学習を使ってバスの運行情報を予測(1/3)まとめ
・GoogleMapにバスの運行情報を予測する機能が搭載された
・従来の経路案内もリアルタイム交通情報が提供されていると考慮していた
・今回のバスの運行予測は交通情報が提供されていない都市でも利用可能
2.GoogleMapのバスの運行情報予測
以下、ai.googleblog.comより「Predicting Bus Delays with Machine Learning」の意訳です。元記事は2019年6月27日、Alex Fabrikantさんによる投稿です。
世界中の何億もの人々が毎日の通勤に公共交通機関を利用しており、世界の交通機関を使った旅行の半分以上はバスが関係しています。
世界の都市が成長し続ける中で、通勤者は、交通渋滞の影響を受ける傾向が特に強いバス通勤の遅延を予想する事を欲しています。
Googleマップが提供する経路案内機能は、多くの公共交通機関がリアルタイムに提供してくれる交通情報を元に案内されますが、技術的な制約や予算的制約のために交通情報をリアルタイムに提供できない公共機関も数多く存在します。
訳注:ちょっと前に知人がGoogleMapで経路案内を使ったら、高速道路ではなく一般道を走る経路を案内され、「ふん、GoogleMapもまだまだだな」と無視して高速道路に乗ったところ、事故で大渋滞が発生していて「え、リアルタイムで渋滞情報を考慮して経路案内していたの?GoogleMapにはもう逆らえない」と全面的に白旗を上げていたのを思い出しましたが、今回は更にバスの運行情報の精度を上げるお話です。
本日、GoogleMapはバスの交通遅延予測機能を導入し、アトランタからザグレブ、イスタンブール、マニラなど世界中の何百という都市でバスの遅延予測を開始しました。これにより、6,000万人を超える人々の交通所要時間見積もりの精度が向上します。
このシステムは、3週間前にインドで導入されたもので、リアルタイムの自動車交通量予測とバス路線のデータを組み合わせた機械学習モデルによって実現されており、バスでの移動にかかる時間を予測するのに役立ちます。
機械学習モデルの開発
公共交通機関からの所要時間情報が提供されていない多くの都市では、バスの所要時間をおおよそ見積もるために利用者が賢い方法を用いている事が調査の結果わかりました。
Google Mapの自動車経路検索を使用しているのです。しかし、バスは単なる大型の車なだけではありません。バスはバス停で止まります。加速、減速、右左折にももっと時間がかかります。バス専用車線のように、特別な道路上の特権を持つ場合もあります。
例として、水曜日の午後のシドニーのバスを調査してみましょう。
実際のバスの動き(青)は、公表されているスケジュール(黒)より数分遅れています。車の通行速度(赤)は2000メートル近辺での減速などバスにも影響を与えておますが、800メートル近辺での長い停止は車と比較してバスの速度を大幅に減速しています。
私達はモデルを開発するため、交通機関から受け取るリアルタイムデータと同じ様に、時間の経過とバスの現在位置を連続するデータとして抽出しました。そしてバスと同時刻に同経路を走る車の交通速度と合わせました。
モデルは一連のタイムライン、すなわち「街区を訪れる」「停車する」などの単位に分割されます。それぞれのモデルがバスのタイムラインの一部に対応し、各ユニットが所要時間を予測します。位置情報のレポート頻度が少ない、バスの動きが速い、街区間が短い、バス停間が短い、などの理由で、隣接する位置情報は通常、多くのユニットにまたがっています。
この構造は、近年の音声認識、機械翻訳などで使用されているニューラルシーケンスモデルに良く似ています。
しかし、私達のモデルはもっと単純です。各ユニットは個々に独立してその所要時間を予測し、最終的な出力はユニットごとの予測時間の合計です。
多くのシーケンスモデルとは異なり、私たちのモデルはユニットの出力を組み合わせることや、ユニット間で状態を引き継ぐ事を学習させる必要はありません。
代わりに、シーケンス構造によって
(1)個々のユニットの所要時間予測モデルをトレーニングし、
(2)「線形システム」として最適化する事ができます。
この線形システムは、バスの経路を、経路内の多数のユニットの所要時間の合計として予測します。
青いバス停から出発するバス移動(a)をモデル化するために、モデル(b)は青いバス停、3つの道路、白いバス停などのタイムライン単位で遅延を予測し、その結果を合計します。
3.機械学習を使ってバスの運行情報を予測(1/3)関連リンク
1)ai.googleblog.com
Predicting Bus Delays with Machine Learning
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