1.AlphaStar:StarCraftIIでプロプレーヤーに勝った人工知能(5/3)まとめ
・DeepmindのAlphaStarは素晴らしい成果を収めたのは確かだが戦略で勝ったわけではない
・本来設定されているユニット間の相性が成立しなくなるほど操作量に差があった
・APMや反応速度は必要な時にほんの少し上回れば十分であり平均値を比較する事に意味はない
2.AlphaStar関連記事のまとめ
実は「AlphaStar:StarCraftIIでプロプレーヤーに勝った人工知能」は相当意訳というか解説を追加しています。翻訳していてわかるのですが、Deepmindのブログを投稿した人はあまりStarCraft2自体には詳しくないです。ですので、APMや反応速度を根拠に「操作量ではなくて戦略で勝ったと示唆される」と結論づけてますが、ある程度詳しい人が試合を見れば「AlphaStarがやった操作が人間にはほぼ不可能」なのは明らかなのです。
例えば、MaNa選手との4ゲーム目の下記場面、左上の青いユニット群がAlphaStarのユニットで、Stalkerと言う一種類のユニットだけで編成されています。右下の赤いユニット群がMaNa選手のユニットで複数種類のユニットの混合編成ですが、黄色の蟹みたいなユニットがImmortalと言います。
で、Blizzard社の公式のユニット解説ページから引用すると、StalkerはImmortalに弱いと明言されています。(一番右の黄色ユニットです)
更に対Stalker戦略としても下記のように書いてあります。
・Immortalを作って戦いましょう
・あなた自身のStalkerを作って相手のStalkerよりupgradeして戦いましょう
・Zealotを作ってタコ殴りしましょう。SentriesのGuardian Shieldも有効です。
で、実は、この画面にはZealot(小さい人型ユニット)もSentriesのGuardian Shield(半透明の球を表示させてるユニット)もStalkerも映っています。そう、つまり世界最高レベルのプロが教科書通りのアンチユニット編成で戦っているのに、AIの精緻で素早いユニット操作に押されて、自陣地に押し込まれているのです。
つまり、グーでパーをぶん殴るような事をやっておきながら、「AlphaStarのAPMはプロの平均より低いです」とおっしゃられましても、私も過去に
「はっ、APM100未満の雑魚が!」(訳注:良い勝負でしたね、もう一戦やりませんか?)
「NOOB! APMなどツールで幾らでも上げれるわ!偶然勝ったからって調子乗ってんじゃねーぞ!」(訳注:はい、楽しかったですね、もう一戦よろしくお願いいたします)
等々の心温まる国際交流に勤しんだ時期もありますので、APM250超えの意味わかってんのか、1on1で勝負すっか!と、どこの誰と何を戦いたいのか良くわからない衝動が湧き上がってくるのです。
更にはエキジビションマッチのカメラインタフェース版は、7日間しか訓練してないとは言え、ほぼほぼグランドマスターランクであるはずなのに、人間では絶対ひっかからない陽動に右往左往して負けてしまいました。
この陽動に右往左往する挙動も推測が出来てしまって、人間同士の対戦データを元に学習を開始したので、あれほど見え見えの陽動は人間同士の試合ではみる事ができないので、見え見えの陽動戦術を経験した事がないのだと思われます。これは「戦略を考えるAI」と言えるのでしょうか?
今回のDeepMind社の素晴らしい成果にケチをつけたいわけではないのです。おそらく生半可なGoogle製品に使われるよりもっと多くの計算機資源や人材を惜しみなく投入しているはずで、人類の歴史上の到達点を更新した偉大な研究結果であるのは間違いないと思います。
ただ、One of the human beingとして、One of the StarCraft Communityとして、AlphaStarが「戦略」で人類に勝ったと言う意見には異議を申し立てたいのです。
まぁ、操作量と反応速度が強さに直結しているゲームなのでどんな勝ち方をしても「戦略で勝った」とは証明しにくい事も確かなのですが、ジャンケンが成立しない程に操作精度に差がついてしまっているのはやりすぎです。また、APMや反応速度の平均値を比べる意味はないです、ガンマン同士の決闘では0.1秒でも先に引き金を引けた方が勝つのですから。
(AlphaStar:StarCraftIIでプロプレーヤーに勝った人工知能(4/3)からの続きです)
3.AlphaStar:StarCraftIIでプロプレーヤーに勝った人工知能(5/3)関連リンク
1)us.battle.net
Stalker – Game – StarCraft II
コメント