NexusとPixelによる実験的な夜間写真撮影(2/2)

入門/解説

1.NexusとPixelによる実験的な夜間写真撮影(2/2)まとめ

・露出時間を長くして撮影した夜空と普通に撮影した地上を組み合わせた
・組み合わせ作業はデスクトップで行ったが高品質な写真を撮影できた
・デスクトップで行った編集作業がスマホ上で可能になる未来が予見されている

2.スマートフォンカメラの夜間撮影の限界に挑む

以下、ai.googleblog.comより「Experimental Nighttime Photography with Nexus and Pixel」の意訳です。元記事は2017年4月25日、Florian Kainzさんによる投稿で、少し古いですが、Pixelシリーズ搭載のNightSightの開発のきっかけとなったお話です。前半はこちら

この結果に気を良くして、私は夜の風景だけでなく、更にその空に輝いている星を撮影できるかどうかを知りたいと思いました。私が灯台の写真を撮った時、薄い雲り空と明るい月明かりの影響で星はほとんど見えませんでした。しかし、晴れた夜には2~4秒の露出を使えば簡単に明るい星を撮影する事ができます。ただし、星は静止していません。彼らは天空の柱を中心に回転しているように見え、24時間で柱の周りを一周します。動きは遅く、わずか数秒間の露出では目に見えない程度ですが、数十フレームを連続で撮影すると、フレームが融合されたときに星が線になって見える程度には動きます。以下に例を示します。


Burdell山の北側の星、2秒間露出で一回撮影した写真


Burdell山の北側の星、2秒間露出で32フレーム撮影して融合した結果

2枚目の写真の右上の空は星が縦模様で映っていますが、これは星を1か所で整列させるように元のフレームを回転させる事で回避できます。以下のように、各フレームを回転した後に整列し、融合させると、鮮明な星空が写る写真が生成され、個々のフレームのノイズによって隠されてしまった多くのかすかな星も表示させる事ができます。もちろん、空に合わせて写真を回転させたため、地上部分にはモーションブラーが発生してボヤケてしまっています。


2秒露出を32回撮影し、夜空を整列させた写真

さて、私達は今は2種類の写真を持っています。地面が鮮明に映っている写真と空が鮮明に映っている写真です。この2つの写真を組み合わせれば、全てが鮮明な単一の写真にすることができます。Photoshopで、これを行う最も簡単な方法は、手作業でレイヤーマスクを設定することです。明るさと色を調整して味を出したり、わずかに切り取ったり、「侵入防止」の醜い看板を取り除いた後は、美しい写真が得られます。


Burdell山の上にある北側の星、Google Pixelで撮った最終写真

より少ない明かりで撮影する

私が今までに示した写真は、満月の夜に撮影されました。十分な明るさで、ランタンや懐中電灯がなくても簡単に歩くことができました。私は、スマートフォンの写真をもっと暗い場所でも撮ることが可能かどうかを知りたく思いました。

Pixelスマートフォンのカメラを使って、私は3/4くらいの月が低空で輝く夜空と全く月が出ていない夜空の風景を撮影しました。個々の露光により多くのノイズが写り込む事を予想して、64フレームの連続撮影をしました。最終的な写真はそれほど悪くない感じです。


スコットランドのインヴァネス地方で撮影した座礁した釣り船と夜空に輝く北斗七星、Google Pixelで撮影した2秒露出64フレームを合成


カリフォルニア州Pierce Point Ranchの星空、Google Pixelで撮影した2秒露出64フレームを合成

2毎目の写真では、サンフランシスコ湾周辺の都市の遠方の光が地平線近くの空を明るくしていますが、月明かりがないために夜空は十分に暗く、天の川も見えています。私が最初に撮影した月明かり下での写真よりも荒い事は確かですが、それほど悪くはありません。

夜間撮影の限界を試す
スマートフォンのカメラはどのくらいの明るさまで撮影可能なのでしょうか?私たちは星明りだけでスマートフォンで写真を撮ることができるのでしょうか?月明かりがなく、近くに人工的な光源もなく、遠くの街からの背景光もない状態でも写真を撮る事はできるのでしょうか?

限界を試すために、私はカリフォルニア湾のロシアン川の河口の少し北の辺りに行きました。季節は夏、空は星以外にあかりが一切ない全くの暗闇で、私は自分のPixelスマートフォンを太平洋側の空に向けました。2秒間64フレームISO12800で撮影した連続写真と、例によって真っ暗にして撮影した64フレームを融合し、天の川の撮影に成功しました。

さそり座といて座がとても鮮明に映っており、水平線と1,2の岩石もかろうじて判別可能です。しかしながら、この写真は飾っておきたいような品質ではないでしょう。それでもなお、この写真は今までスマートフォンで撮影された最も暗い場面での写真かもしれません。


Google Pixelで撮影した星明りのみの写真

この写真は、Pixel搭載カメラの限界に近づいています。カメラは2秒以上の露出時間を処理できません。この制限が取り除かれれば、個々のフレームを8秒から10秒間露出させることができ、星にはまだ目立つほどモーションブラーが発生しません。露出を長くできれば、ISO設定を低くすることができ、個々のフレームのノイズを大幅に減らすことができ、それに応じてより鮮明で詳細な最終画像を得ることができます。

さて、元の挑戦に戻り、スマートフォン搭載カメラによるゴールデンゲートの夜間DSLR撮影写真の品質を再現に挑戦しました。以下に私が撮影した写真を示します。


夜のゴールデンゲートブリッジ、Google Nexus 6Pで撮影


サンフランシスコ上空の月、Google Nexus 6Pで撮影

9~10メガピクセルでは、これらの画像の解像度はDSLRカメラの画質と同じくらい高くはありませんが、それ以外の画質は驚くほど優れています。画像は隅々まで鮮明であり、目に見えるノイズは少なく、ダイナミックレンジは、最も明るいハイライトを除けば十分な範囲であり、発色も素晴らしいです。

スマートフォン搭載カメラが屋外の夜間写真撮影に適しているかどうかを調べることは楽しい実験でした。明らかに結果は「YES」です。しかし、最終的な写真を生成するまでには、デスクトップコンピュータ上で多くの慎重な後処理が必要であり、この処理は、スマートフォン搭載カメラにのめり込んでいる写真家以外の全ての人にとってはあまりにも面倒です。

しかし、適切なソフトウェアでスマートフォンの内部で画像処理することができるようになり、デスクトップコンピュータを使って手作業でレイヤーマスクを塗るなどのステップを省略することができるようになれば、非常に低い光でのオートフォーカス撮影が可能になる可能性があります。ただし、まだスマートフォンを地上に置いたり三脚に取り付けて手ブレを無くす必要がありますけれども。

以下のリンクに上記のテクニックを用いて撮影された写真が沢山掲載されているGoogleフォトアルバムがあります。

(NexusとPixelによる実験的な夜間写真撮影(1/2)からの続きです)

3.NexusとPixelによる実験的な夜間写真撮影(2/2)まとめ

1)ai.googleblog.com
Experimental Nighttime Photography with Nexus and Pixel

2)photos.google.com
Nexus And Pixel Photography Experiments

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