アフリカ大陸の多種多様な建物を衛星画像から検出(1/2)

ビッグデータ

1.アフリカ大陸の多種多様な建物を衛星画像から検出(1/2)まとめ

・建物面積は人口推定や都市計画、人道的対応や環境科学まで様々な分野に応用できるので重要
・国勢調査情報がない地域もあるアフリカで衛星画像から建物分布を調査する研究を行った
・最初に建物か否かを分類し、次に個々の実体としてインスタンスセグメンテーション化した

2.衛星画像から建物を検出する手法

以下、ai.googleblog.comより「Mapping Africa’s Buildings with Satellite Imagery」の意訳です。元記事の投稿は2021年7月28日、John Quinnさんによる投稿です。

アイキャッチ画像のクレジットはPhoto by angelo moleele on Unsplash

建物面積の正確な記録は、人口推定や都市計画、人道的対応や環境科学まで、さまざまな分野に応用できるので重要です。

洪水や地震などの災害の後、当局は影響を受けた世帯の数を見積もる必要があります。理想的には、これに関する最新の国勢調査情報があれば良いのですが、実際には、そのような記録は古くなっているか、利用できない可能性があります。代わりに、建物の場所と密度に関するデータは、貴重な代替情報源になり得ます。

このようなデータを収集する良い方法は、衛星画像を使用することです。衛星画像を使用すると、世界中の建物の分布をマッピングできます。特に、孤立した場所や交通手段が少ない場所ではそうです。ただし、一部の環境では、コンピュータービジョン手法を使用して建物を検出することは困難な作業になる可能性があります。衛星画像では、地上数百キロメートルから地球を撮影する必要があるため、高解像度(1画素あたり30~50cmの解像度)でも、小さな建物やテント及びシェルターは少ない画素しか占有しません。

非公式の居住地や、天然素材で建設された建物が視覚的に周囲に溶け込む可能性のある農村地域では、この作業はさらに困難です。頭上から見た際に建物と容易に混同されてしまう可能性のある多くの種類の自然および人工的な特徴もあります。


建物の識別の際にコンピュータービジョンモデルを混乱させる可能性のある物体
(左上から時計回りに)プール、岩、仕切りとなっている壁、輸送用コンテナ

論文「Continental-Scale Building Detection from High-Resolution Satellite Imagery」では、建物を検出するための新しい方法を使用して、これらの課題に対処します。この手法はサバンナ、砂漠、森林などのさまざまな地形にまたがる農村部や都市部の環境、および非公式の居住地や難民施設で機能します。

この建物検出モデルを使用して、Open Buildingsデータセットを作成しました。これは、アフリカ大陸のほとんどをカバーする5億1600万の建物の場所と面積を含む新しいオープンアクセスデータリソースです。データセットは、災害対応や人口マッピングから、新しい医療施設などの計画サービスや自然環境への人間の影響の研究に至るまで、いくつかの実用的、科学的、人道的アプリケーションをサポートします。

モデルの開発

10万枚の画像内の175万の建物に手動でラベルを付けることにより、建物検出モデルのトレーニングデータセットを構築しました。以下の図は、アフリカ大陸全体のさまざまな地域の交絡特性を考慮して、トレーニングデータの画像にラベルを付けた方法の例を示しています。

たとえば、農村地域では、さまざまなタイプの住居を特定し、それらを自然界の物体の特徴から明確にする必要がありましたが、都市地域では、密集した隣接する構造物のラベル付けポリシーを開発する必要がありました。


(1)住居と穀物貯蔵庫などの小さな別棟の両方を含む複合住居
(2)モデルが樹木と区別するのが難しい、丸い茅葺き屋根の構造の例。道、空き地、影からの手がかりを使用して曖昧さを解消する必要があります
(3)境界を簡単に区別できないいくつかの隣接する建物の例

最初に各画素を建物または非建物として分類し、次にこれらの画素を個々の実体としてグループ化することにより、ボトムアップ方式で建物を検出するようにモデルをトレーニングしました。

検出パイプラインは、衛星画像分析で一般的に使用されているU-Netモデルに基づいていました。U-Netの利点の1つは、比較的コンパクトなアーキテクチャであるため、計算に大きな負担をかけることなく、大量の画像データに適用できることです。最終的に行うタスクは、何十億もの画像タイル構成された大陸規模の衛星画像に対してモデルを実行することなのでこれは重要です。


衛星画像で建物の領域を切り出す例
左:元画像
中央:セマンティックセグメンテーションの結果。各画素には、建物であるか非建物であるかという信頼スコアが割り当てられています。
右:インスタンスのセグメンテーションの結果。しきい値処理を行い、建物領域を個々の建物にグループ化することで得られます。

3.アフリカ大陸の多種多様な建物を衛星画像から検出(1/2)まとめ

1)ai.googleblog.com
Mapping Africa’s Buildings with Satellite Imagery

2)arxiv.org
Continental-Scale Building Detection from High Resolution Satellite Imagery

3)sites.research.google
Open Buildings

4)maps.google.com
Plus Codes

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