スマートフォンでウェアラブルデバイスに匹敵する視線追跡を実現(2/3)

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1.スマートフォンでウェアラブルデバイスに匹敵する視線追跡を実現(2/3)まとめ

・スマートフォンのアイトラッカーは、最先端のウェアラブルデバイスのアイトラッカーに匹敵
・実験室などで使われる100倍高価なアイトラッカーから得られるデータとも類似していた
・専門家が医用画像などの複雑な画像を見る際の視線分析に規模拡大できる可能性がある

2.スマホ搭載アイトラッカーの精度

以下、ai.googleblog.comより「Accelerating Eye Movement Research for Wellness and Accessibility」の意訳です。元記事は2021年5月10日、Nachiappan ValliappanさんとKai Kohlhoffさんによる投稿です。

アイキャッチ画像のクレジットはPhoto by Alex Iby on Unsplash

追加の実験では、スマートフォンのアイトラッカーモデルの精度は、最先端のウェアラブルデバイスのアイトラッカーに匹敵することが示されました。スマートフォンをスマホスタンドに置いた時と、ユーザーが自分の正面近くにスマートフォンを手に持ったときの両ケースでです。

複数の赤外線カメラを各眼球の近くに設置する特殊な視線追跡ハードウェアとは対照的に、スマートフォンの単一の正面向きRGBカメラを使用して視線モデルを実行すると、コスト効率が大幅に向上し(約100倍安価)、利用可能なユーザ層も格段に拡大できます。

このスマートフォン搭載技術を使用して、神経科学と心理学における以前の眼球運動研究の重要な発見を再現することができました。これには、標準的な眼球運動課題(脳の基本的な視覚機能を理解するため)と自然画像の理解を含みます。

例えば、画面に表示される刺激に向かって目をすばやく動かす能力をテストする単純なプロサッケードタスク(prosaccade task)では、平均サッケード応答時間(目を動かすまでにかかる時間)が基本的な視覚的健康を測定した過去の研究と一致(210ms対200-250ms)することがわかりました。

制御された視覚探索タスクでは、ターゲットの顕著性(saliency)や目の動きへの乱雑さの影響など、重要な発見を再現することができました。


視覚探索のパフォーマンスに対するターゲットの顕著性(つまり、色のコントラスト)の影響。顕著性の高い(他のターゲットとは色が異なる)ターゲット(左図)を見つけるには、より少ない凝視で済みますが、(他のターゲットと似た)顕著性の低いターゲット(右図)を見つけるには、より多くの凝視が必要です。

自然画像などの複雑な刺激の場合、スマートフォンのアイトラッカーからの視線分布(全参加者の視線位置を集計して計算)は、実験室などで使われる高価なアイトラッカーから得られるデータと類似していることがわかりました。

実験室の顎当てシステムなど、高度に制御された環境で使用する大きく高価なアイトラッカーに比べると、スマートフォンベースの注視ヒートマップは、分布が広い(つまり、「ぼやけた」ように見える)ように見えますが、画素レベル(r = 0.74)と物体レベル(r = 0.90)の両方で高い相関関係があります。

これらの結果は、この技術を使用して、自然画像や医用画像などの複雑な刺激の視線分析に規模拡大できることを示唆しています。(放射線科医がMRI/PETスキャンを見ている際の視線など)


左:元画像(OSIEデータセットから)
中央:スマートフォンアプローチを使った視線分布のヒートマップ
右:100倍以上高価なアイトラッカーを使った視線分布のヒートマップ

スマートフォンで視線を分析する事は読解問題の難しさを検出するのに役立つこともわかりました。実験の参加者は、読解問題に正答した時、答えに関連している抜粋部を見るためにかなり多くの時間を費やしていました。

しかし、読解問題の難しさが増すにつれて、彼らは答えを含む関連する抜粋部を見つける前に、無関係な抜粋部を見ることに多くの時間を費やしました。関連する抜粋に費やされた注視時間の割合は、理解度の良い予測因子であり、読解問題の難しさと強い負の相関がありました。(r = −0.72)。

3.スマートフォンでウェアラブルデバイスに匹敵する視線追跡を実現(2/3)関連リンク

1)ai.googleblog.com
Accelerating Eye Movement Research for Wellness and Accessibility

2)www.nature.com
Accelerating eye movement research via accurate and affordable smartphone eye tracking
Digital biomarker of mental fatigue

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