LGBTの人たちの割合は何%くらいなのか?

その他の調査

1.LGBTの人たちの割合は何%くらいなのか?

・LGBTの割合は約8%とは日本のインターネット調査の結果の引用
・アメリカで行われた大規模な調査ではLGBTの割合は約3.5%であった
・カミングアウト率を考慮すると実体3.5%、顕在1%程度ではないだろうか

2.LGBTの人たちの人口はどのくらいなのか?

例の「LGBTは生産性がない発言」の関連記事を読んでいてふと気になった。

「LGBTの割合は約8%」と言う文章が結構ある。

議論の本筋から全然見当違いの所を気にかけてしまって、やや申し訳ないのだけれども8%って、少し多すぎないか?日本の総人口の8%としたら960万人以上と言う事になる。

2017年10月の都道府県別人口ランキングで2位の神奈川県の人口が916万。つまり、神奈川県民の数より多い。当然、3位の大阪883万、4位の愛知752万より多い。本人がLGBTである事を告白するカミングアウト率が低いとしても、約13人に1人がLGBTの人であったら今までの人生でもっと沢山LGBTの人に出会っていてもおかしくはない。

いったい、どういう根拠で算出されたものなのだろうか?と思って調べてみた。
私が調べた限り、もっとも公的な資料と思われるのは2017年11月の「参議院常任委員会調査室・特別調査室」の「LGBTの現状と課題」の中で引用されている下記の3つの調査

企業名等 調査時期 調査対象及び調査手法 調査結果
電通ダイバーシティ・ラボ(株式会社電通の一組織) 平27.4 全国の20~59歳の約7万人を対象にインターネット調査 「LGBT層」に該当する人は7.6%
株式会社LGBT総合研究所(博報堂DYグループ) 平28.5 全国の20~59歳の約10万人を対象にインターネット調査 LGBTに該当する人は約5.9%(レズビアン:1.70%、ゲイ:1.94%、バイセクシャル:1.74%、トランスジェンダー:0.47%)、LGBTにあてはまらないAセクシャルなど、その他のセクシャルマイノリティに該当する人は約2.1%
日本労働組合総連合会 平28.6 全国の20~59歳の有職男女約1,000人を対象にインターネット調査  「LGB」(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル)3.1%、「トランスジェンダー」1.8%、「アセクシュアル」(他者に対して恋愛感情も性的感情も向かない者)2.6%、「その他」0.5%で、LGBT当事者等(性的マイノリティ)は8.0%

ただ、上記文章の中でも「LGBTの人口規模に関する公的な統計等は存在していない」「法務省が平成26年度に「性的指向及び性自認」をテーマとして作成した人権啓発ビデオの中では『性的マイノリティと呼ばれる人たちは3~5%くらいと考えられている』旨の有識者の発言がある」との文もあり、8%が公的な統計から来たわけではない事が明記されている。

3つの調査は3つとも「インターネット調査」である事がやや問題。一番望ましい手法は「日本に住んでいる全員にアンケートを取る」事。ただ、これは予算や手間的に現実的には難しいので、次に望ましい手法は「日本全国からランダムに抽出した人にアンケートを取る」事になる。

ランダムに抽出した人は母集団、つまり「日本に住んでいる全員」と似たような割合で似たような属性を持つ事が期待できる。

・ランダムに抽出する事
・ある程度の人数を集める事

を満たせば、母集団の属性をかなり正確につかめる事は統計学的に確かめられている。選挙前とかに良くある世論調査でランダムに電話をかけてアンケートをするのはこれをやっている。

ただ、この手法もコストと手間が結構かかる。また、支持政党などのアンケートであれば、「あぁ、世論調査だな」と理解して答えてくれる人は多いと思うが、突然、知らない人から電話がかかってきて「アンケートにご協力ください。貴方はレズ or ゲイ or バイセクシャル or トランスジェンダーですか?」と聞かれたら、現在の日本では真面目に答えてくれる人は少ないかもしれない。

で、次の手段として「インターネット調査」になるのだけれども、これはざっくりと言えばネット上で「簡単なアンケートに答えるとお小遣いが貰えますよ~」と人を集めて、集まった人たちにアンケートする方式。

つまり、
・インターネットをかなり使いこなしている人
・ネット上でアンケートに答える事にあまり抵抗があまりない人
に対するアンケートになるので、「ランダムに抽出」した事にならず、そのため「母集団の属性を正確に掴めている」とは言い難くなってしまう。

仮説として、LGBTの人たちは
・同志をネット上に求めるため一般の人よりインターネットを使いこなす割合が高い
・現実世界で本当の自分をさらけ出す事ができない葛藤があり、匿名空間では逆に情報公開に積極的になる
それゆえ、「インターネット調査」ではLGBTの割合が多くなるのではないか?と言われたら、否定する事は難しい。

論文検索サイトである「scholar.google.co.jp」で「lgbt population」で検索すると、一番上に出てくる2011年の論文「How Many People are Lesbian, Gay, Bisexual and Transgender?」が一番他の論文から引用される回数が多く(つまり信頼されている)アメリカの調査事例が出てくるのだけれども、以下に概要を意訳。

最近行われた人口調査(国レベルの実施が4つ、州レベルの実施が2つ)に基づくと、米国では成人人口の3.5%、800万人以上のレズビアン、ゲイ、またはバイセクシュアルがいると分析されます。また、米国には約70万人のトランスジェンダーがいます。この研究は、合計でおよそ900万人のアメリカ人(およそニュージャージーの人口に相当)がLGBTである事を示唆しています。

この研究の主要な成果
・レズビアンまたはゲイの合計は1.7%、バイセクシュアルの合計は1.8%でバイセクシュアルがわずかに多い
・女性は男性よりもバイセクシュアルである傾向が高い
・人生の一時期に同性との性行為や同性に性的魅力を感じた事がある人はレズビアンやゲイまたはバイセクシュアルと自認する人の割合よりかなり高い
・推定1900万人のアメリカ人(8.2%)が同性との行為に関わった事がある
・推定2560万人のアメリカ人(11%)が少なくとも同性に性的魅力を認めている

2012年にアメリカの著名な調査会社であるGallup社が12万人に行った調査、

「Special Report: 3.4% of U.S. Adults Identify as LGBT」
-Inaugural Gallup findings based on more than 120,000 interviews –

でも3.4%がLGBTとの事で、ほぼおなじくらいの数字が出ている。この調査を見てもわかるが、LGBTの定義や設問の仕方によって割合は大きく変わる。「貴方は過去に同性に性的な魅力を感じた事、及び何らかの行為に至った事がありますか?」によって定義するとしたら「女子高とか男子校とか人生の一時期に大変魅力的な同性がいて一時的に惹かれた」と言う人もカウントされる事になる。

Gallup社の設問はストレートに「あなたは自分自身をレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、またはトランスジェンダーと認めていますか?」と聞いてYESと答えた人の割合。

それと日本のNHKが2015年に行った「LGBT当事者アンケート調査」(有効回答数2600票)によれば、「カミングアウトした人数は10人未満」が4割以上だった。

ただ、この調査は「LGBT法連合会」の協力を得た調査と言う事なので、少なくとも「LGBT法連合会」の関係者にはカミングアウト or 接触していなければ、そもそもアンケートに回答する事もできないわけで、つまり「インターネットを使ってインターネットの使用率をアンケート調査する」に近いものがあり、カミングアウト率はおそらくもっともっと低い。

ザルで計算してしまうと、職場や学校でのカミングアウト率は高い地域で4割、低い地域では2割との事なので間をとって3割、3.5%の3割、つまり約1%が顕在化した、目に見えるLGBTの割合と言う感じではなかろうか?

3.5%でも約440万人、都道府県人口ランキング10位の静岡県の総人口より多い
1.0%でも約127万人、都道府県人口ランキング32位の岩手県の総人口より多い

性的少数派と表現される事が多いけれども、割合ではなく人数で考えると結構な人数。切り口によっては人は誰でも少数派に成り得るのだから多様性は大事と思う。

3.LGBTの人たちの割合は何%くらいなのか?関連リンク

1)www.sangiin.go.jp
LGBTの現状と課題― 性的指向又は性自認に関する差別とその解消への動き ―

2)escholarship.org
How Many People are Lesbian, Gay, Bisexual and Transgender?

3)scholar.google.co.jp
巨人の肩の上に立つ

4)www.lgbtdata.com
[DOC] Special report: 3.4% of US adults identify as LGBT

5)http://www.nhk.or.jp
LGBT当事者アンケート調査

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