人工知能で写真と見分けがつかない画像を作成する学習手法、GANの歴史

モデル

1.人工知能で写真と見分けがつかない画像を作成する学習手法、GANの歴史まとめ

・MicrosoftのAIが写真と見分けがつかない鳥の画像を作成したと話題に
・GANで写真と見分けがつかない画像を作り出す論文は2015年末に発表
・今回の発表のキモは「複雑なテキストを正確に画像に反映できた」事

2.GAN(敵対的生成ネットワーク)とは何か?

人工知能が写真を作り出す際に使われた学習手法、GANは「敵対的生成ネットワーク」と翻訳される事が多いようだけど、発案者のイアン グッドフェローさんの説明が一番しっくりくる。

1.見本となるお札を用意する。
2.泥棒役のAIがそれを参考に偽札を作る。
3.警察役のAIがそのお札の真贋を判断する。
以下、納得のいくまで2と3を繰り返す。

今回の技術、AttnGANは、例の「人工知能が読解力テストで人間を超えた!」でも使われていたAttentionと言う手法をGANに組み合わせたので、複雑な文脈を従来より正確に認識できた。

従来も「緑の枝に乗った青い鳥」等のシンプルな指示は十分綺麗に実現できていたのだけど、「緑のトサカと赤いお腹と黄色い翼を持った青い鳥」などと複雑な指示になると警察役がその指示を上手く理解できず、泥棒役が「青っぽい、赤っぽい、黄色っぽい、緑っぽい、鳥っぽい、何か」を作ると、それでオッケーとしてしまっていた。

Attentionを使った事により「黄色い体で、黒い翼を持ち、短いくちばしの鳥」を警察役が従来より正確に理解できたので従来より正確で綺麗な画像が出来たと言う事。

Microsoft research blogより引用

GANは定期的に面白い技術が出てきて話題になるのでざっと検索して面白かった話を以下に時系列に並べてみた。

3.GAN(敵対的生成ネットワーク)の歴史

2014年
Generative Adversarial Nets
元になった論文。イアン グッドフェローさんはGAN発案当時はまだモントリオール大学で博士課程の学生だったそうな。

2015年11月19日
Unsupervised Representation Learning with Deep Convolutional Generative Adversarial Networks

GANにディープラーニングの手法を組み込んだDCGANについての論文。この論文には人工知能が作った下記寝室の画像が添付されており、初めて見たときに人工知能ってこんな事も出来るのか!ととても驚いた事を覚えている。


論文より引用

2015年12月20日
Chainerを使ってコンピュータにイラストを描かせる
日本発の機械学習フレームワークChainerは論文発表の一か月後には具体的な実装を完了。とても気合い入ってる。

2016年不明
ディープラーニングでご飯を作ってみる
ご飯画像の生成に挑戦した日本の方。ご飯画像のデータセットへのリンクあり。

2016年2月26日
ディープラーニングであり得そうな間取り画像を生成させてみる
間取り画像の生成に挑戦した日本の方。間取り画像のデータセットへのリンクあり。

2016年05月16日
TensorFlowによるDCGANでアイドルの顔画像生成
アイドルの顔画像の生成に挑戦した日本の方

2017年2月5日
StackGANによるフォントの錬金術
フォントの生成に挑戦した日本の方

2017年4月9日
Turning a horse video into a zebra video (by CycleGAN)
馬の動画をシマウマの動画に変換する事に挑戦した海外の方

2017年4月27日
Amazon Echo Look。
日本未発売でアメリカでもまだ小売りはされていないが、ファッションアドバイスしてくれたりするスマートスピーカー。GANでSNSからトレンド、自撮りからその人の好みを学んでその人に合った洋服デザインを作り、それが気に入ったらオンデマンドで洋服にしてすぐ配送する事まで目指しているらしい。家で音楽をスピーカーで聞く習慣がなかったのでスマートスピーカーはまるでチェックしてなかったのですが実験的とはいえ既に製品化されてるんですね・・・

2017年7月5日
Deep Learningで「いらすとや風人間画像生成モデル」を作った話(DCGAN、Wasserstein GAN)
フリー素材なので色々なところで使われている特徴的なイラスト「いらすとや」さんの画像生成に挑戦した日本の方

4.参考リンク

1)Microsoft research blog
Microsoft researchers build a bot that draws what you tell it to

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