前立腺がんの診断とグリーソン分類に関する国際的なコンペ(1/2)

ヘルスケア

1.前立腺がんの診断とグリーソン分類に関する国際的なコンペ(1/2)まとめ

・健康分野で開催される機械学習コンテストは困難な臨床問題を解決する機会となる
・コンテストを開催する際は高品質なデータセットを入手し管理する事が必要となる
・関連団体と共同で公開競技サイトであるKaggleでPANDA Challengeを開催した

2.PANDA Challengeとは?

以下、ai.googleblog.comより「An International Scientific Challenge for the Diagnosis and Gleason Grading of Prostate Cancer」の意訳です。元記事は2022年2月11日、Po-Hsuan Cameron ChenさんとMaggie Demkinさんによる投稿です。

競い合っているっぽいアイキャッチ画像のクレジットはPhoto by Long Ma on Unsplash

近年、健康分野で開催される機械学習(ML:Machine Learning)コンテストは、協力して困難な臨床問題を解決する機会となるためML科学者達を引き付けています。これらの大会は、関連するデータや明確に定義された問題が利用可能なため、経験豊富なデータ科学者が解決策を競い、新しい手法を学ぶためにやってきます。

しかし、このような競技会を開催する際の基本的な困難は、高品質なデータセットを入手し、管理することです。モデル開発用のデータセットと、開発用のデータセットとは異なるモデル評価用のデータセットが必要になります。

重要なことは、データセット内の偏りのリスクを低減し、アルゴリズムの幅広い適用性を確保するために、得られたアルゴリズムの一般性の評価は、理想的には、独立した科学者のグループによって複数の独立した評価データセットで実行されるべきであるということです。

ML研究が盛んな臨床問題のひとつに、前立腺がん(prostate cancer)があります。これは9人に1人の男性が生涯に発症する病気です。前立腺癌の診断には、病理学者が生体組織サンプルを顕微鏡で検査し、癌を特定し、細胞の侵略的な成長パターンの兆候について癌を等級付けすることが必要です。

しかし、このがんの等級付け作業(Gleason grading、グリーソン分類と呼ばれます)は、細胞の分化やグリーソンパターンを視覚的に評価する必要があるため、困難で主観的なものとなっています。そのため、専門家の注釈が付いたサンプルの大規模なデータセットを構築することで、前立腺がんの等級付けを支援するMLシステムの開発に役立てることができます。

この分野の研究を加速させ、より多くの研究を可能にするために、Google Health、ラドバウド大学医療センター、カロリンスカ研究所は共同で、公開競技サイトであるKaggle上でグローバルなコンテスト、Prostate cANcer graDe Assessment(PANDA) Challengeを開催しました。Nature Medicineに掲載された「Artificial Intelligence for Diagnosis and Gleason Grading of Prostate Cancer: the PANDA challenge」において、このチャレンジの結果を発表しています。

PANDAチャレンジの研究デザインは、公開された最大の全スライド画像データセットを提供し、2020年4月21日から7月23日まで参加者を募集していました。開発データセットは、さらなる研究のために引き続き利用可能です。この取り組みでは、アルゴリズム開発のために欧州の前立腺がん症例集団を編集して公開し、米国とEUの両方のデータでアルゴリズムの独立した盲検外部検証を可能にするデジタル病理学の標準化評価設定を先駆的に実施しました。


世界大会には65カ国からの参加者が集まりました(各国の円の大きさは参加者の数を示しています)

パンダ・チャレンジの設計

このチャレンジは、開発フェーズ(すなわちKaggle上で開催されたコンペ)と検証フェーズの2つのフェーズで構成されています。コンペでは、65カ国から集まった1,290人の開発者が、アルゴリズム学習のための開発セットをフルに活用し、最も性能の良いグリーソン等級付けアルゴリズムの構築を競いました。コンペティション期間中、各チームはアルゴリズムを提出し、非公開のチューニングセットで評価されました。

3.前立腺がんの診断とグリーソン分類に関する国際的なコンペ(1/2)関連リンク

1)ai.googleblog.com
An International Scientific Challenge for the Diagnosis and Gleason Grading of Prostate Cancer

2)www.kaggle.com
Prostate cANcer graDe Assessment (PANDA) Challenge

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