1.人間に受け入れられる穏やかな自動化システムの設計5原則(1/2)まとめ
・最小限の自動化を使用して求められている仕事を完了する
・オートメーション導入前に効率化を考える
・間違った人にオートメーションを課すことを避ける
2.穏やかな自動化システムの設計5原則とは?
以下、medium.comより「Designing Automation Systems to Be Calm: Five Principles」の意訳です。後編はこちら
貴方がスマートホーム(AIを使った様々な便利なシステムが組み込まれている家)のデザイナーだとします。そのスマートホームは広いため、貴方は誰かが料理をしている事を知ることができる自動化されたシステムを構築したいと考えています。どのようにそれを実現しましょうか?
私はこの問いを様々な会議、ディナーパーティー、会合で開発者やエンジニアに問いかけました。あるエンジニアは言いました。「簡単な事ですよ。キッチンにセキュリティカメラを設置して、オーブンが使用されているかどうか、またはキッチンに人がしばらくの間留まっているいるかどうかを確認すれば良いのです」ほとんどの人は、これと似たり寄ったりの解決策を提案します。
ビデオカメラを使用するのです。
プライバシー空間に侵入する機械学習画像アルゴリズムを使用し、データをクラウドに送信して解析します。問題は解決しましたか?
次の質問はこうです。
「あなたは40ドルの予算で同じシステムをどのように構築しますか?アルゴリズム、クラウドコンピューティング、ストレージなしでこれを行うことができますか?」そして、「システムはどのようにして偽陽性をチェックしましょうか?例えば、パーティーの最中に人々がキッチンに集まっているけれども、オーブンを必ずしも使用していない場合、アラームを鳴らすべきでしょうか?
(1)最小限の自動化を使用して求められている仕事を完了する
私が二度目に起業した際の共同設立者は、実際に大学にいたときにこのシステムを作成しました。彼の使える予算は多くなかったために創意工夫をする必要がありました。キッチンにいた人物を特定するために顔認識を使用する代わりに、行動を示す可能性のある小さな信号を探しました。彼は最終的に、オーブンの電源を入れたときに、キッチンの温度が平均10度上昇したことに気づきました。彼はオーブンの隣に安い温度測定器を設置し、それを家のローカルエリアネットワークとIRCに接続しました。キッチンの温度が標準よりも10度上がったときはいつでも、コンピュータがチャットするのです「やぁ!何を料理しているのですか?」
彼のシステムはいつでも動作しました。
あまりにも頻繁に、私たちは、自動化されたシステムは複雑で魅力的でなければならないと仮定してしまいます。私たちは、より良い効率のための必要悪として、自動化が文化や人々に与えられる被害を当然のこととして受け止めています。
穏やかな技術的アプローチ(A Calm Technology approach)は、自動化をシンプルで控えめなものにすることで、効率性を向上させることを目的としています。ホームオートメーションの場合、それは私たちに安心感を与えるはずです。
パイプが凍結して破裂したり、シンクに漏れそうになったらすぐに、私たちに知らせてください。しかし、その際にセンサーは、インターネット接続を必要としません。機械学習も不要です。
次の4つのCalm Technologyの設計原則があります。
(2)オートメーション導入前に効率化を考える
ほとんどの場合、効率は自動化を実装する主な目的ですが、それは2つの重要な要素を見落とすことがあります。
1)自動化は、深刻な根本的な問題を覆い隠してしまうことが多い
大企業で働いた経験があれば、経営陣が事業撤退や全社方針の会議で根本的な問題をいかに重視しているか、どのように修正するか知っているでしょう。しかし、その後、 “火事”が起こるとその修正は元に戻ってしまいます。実際、根本的な問題に対処することで、最初の自動化のコストを削減できます。会社にとって重要なことを考えて、会社のミッションの中核ではないものを自動化しないでください。
同様の理由から、人員を自動化、特に実作業を担当している人たちを置き換えることには注意を払ってください。その人たちは、より実質的なレベルで効率を改善するための最も直接的な洞察を持つ人々である傾向があります。
2)オートメーションは本質的に新しい非効率性をもたらす
小売業者が遅いチップカードリーダーや混乱しやすいタッチパッドシステムについて謝罪するを見た事がありますか?おそらく、彼らはトップダウンで提案された自動化システムを導入したのではなく、システムの試用期間にも制限がなかったので、彼らは最も効果的なものを選ぶことができました。
自動化は、顧客に直接課せられたときに問題が悪化します。私は、顧客がセルフレジのユーザーインターフェイスに悪戦苦闘し、人間がレジを担当していた時より長蛇の列が支払い時に出来ている事を何度も見ています。
小売業者の店員、~且つて支払い作業がスムーズに行われるように良く訓練されていた人たち~、が手助けするまでその格闘は続きます。
この最後のポイントは次の原則に繋がります。
(3)間違った人にオートメーションを課すことを避ける
私たちは、オートメーションシステムが人々が生きたいと思う方法についてまだ仮定を立てていることを認識しなければなりません。ほとんど全てのオートメーションシステムは、それと共に成長する必要も、それを定期的に使用する必要もない人によって作成されています。
列車チケット販売窓口は、本当の、かけがえのないサービスを提供します。このようなポジションは引き続き尊敬できるものであり、財政的に報酬を与え、評価されなければなりません。
BARTの駅のチケット代理店でオートメーションについて議論した上級中産階級のCEOについてよく考えます。 Marketplaceのポッドキャストで彼との会話を録音しました。私達は階段を降りて駅の窓口まで歩きました。
取り乱した様相の女性がスーツケースを持って窓口に走りこんできました。女性はチケット販売機を見つけられなかったと説明しました。
係員のLandryが彼女のブースから出てきて、いくつかのボタンを押しました。女性はチケットを入手でき感謝し、Landryは彼女に「良い旅を!」と挨拶をしました。
その後、Landryは私たちの方に戻ってきて、微笑みました。「見てください。全てを自動化する事はできません。沢山の人が、係員がそこにいる事で安心するのです」サンフランシスコを拠点とするチケットカウンター代理店は、約64000ドルの平均ベース給与を出しています。これには残業代や健康保険、年金が含まれません。
スタートアップのCEOは「案内や安心の提供など実体のないなにかに沢山のお金が使われているけれども、そんなものは私のポケットの中にあるスマートフォンで全部出来る事だよ」と感じたようです。
オートメーションはしばしば、有能な人やスマートフォンで育った若者のニーズに無意識に対応し、他の人は無視します。誰もが自分のポケットに電話を持っているわけではなく、全国的なデータプラン、または携帯電話で乗車券を購入する方法について固有の理解を持っています。カスタマーサービスは、テクノロジーが失敗した時や、人がテクノロジーを受け入れられなかった場合に、しばしば介入します。これはチケット代理店の仕事がとても重要であり、高給が必要な理由です。
自動化を強制された時、これらのシステムは携帯電話の紛失やバッテリ障害、またはネットワークアクセスの問題を抱えた人々をどのように助けることができるでしょうか?
その町を訪れた旅行者はどうでしょう?
私は、海外で使用可能なデータプランの遅い通信障害に頭を悩ませるより、新しい都市でチケット代理店の店員と話をしたいと思っています。そして、私は、オートメーションがどのように文化を越えてフレンドリーな笑顔を提供するかも理解できません。誰もが技術にアクセスできるという前提から離れれば、チケット代理店の人間中心の役割を理解することができます。
3.人間に受け入れられる穏やかな自動化システムの設計5原則(1/2)関連リンク
1)medium.com
Designing Automation Systems to Be Calm: Five Principles
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