AIを使って顕微鏡による診察を改良する試み

AI関連その他

1.AIを使って顕微鏡による診察を改良する試みまとめ

・透過光顕微鏡は取扱いは簡単だが診察が難しく、蛍光顕微鏡はその逆である
・Googleは人工知能で透過光顕微鏡の画像を蛍光顕微鏡と同等に彩色させる事に成功
・成果は公開され、転移学習効果により最小限の手間で彩色対象の追加も出来る

2.透過光顕微鏡と蛍光顕微鏡の違い

生物学や医学の分野では顕微鏡(microscopy)は肉眼で観察できない細胞や分子を詳細に観察するために必須である。

(1)透過光顕微鏡(Transmitted light microscopy)
観察したい生物学的サンプルを一方向からの光で照らす。比較的簡易であり生物学的サンプルに悪影響を与える事もないが、生成される画像はシンプル故に適切に診断する事が難しい。透過光顕微鏡はどこにカメラの焦点があっているかによっても印象が変わってくる事も画像の診断を難しくする。

(2)蛍光顕微鏡(Fluorescence microscope)
観察したい特定の生物学的サンプルに蛍光分子を使って色を付ける。生成される画像の解析や診断は比較的容易になるが、取扱いが難しい。下記は(1)と同じ患部の画像。 緑色は樹状突起のみに現れるタンパク質、赤色は軸索のみに現れるタンパク質等、診断がしやすい。

Googleは「透過光顕微鏡で患部を撮影した画像」と「蛍光顕微鏡で患部を撮影した画像」をディープラーニングで学習させ、「透過光顕微鏡で撮影した画像に蛍光顕微鏡同等の彩色をする」事を実現した。

Input transmitted label:透過光顕微鏡で撮影した実際の画像
True fluorescent labels:蛍光顕微鏡で撮影した実際の画像
Predicted fluorescent labels:人工知能が彩色した画像

Googleは今回の成果をオープンソースとしてデータセットと共に公開した。既に学習済みのモデルを含むため、いわゆる転移学習効果で新しく彩色対象を追加させる際は最小限の手間とデータで学習させる事ができる。

3.AIを使って顕微鏡による診察を改良する試み関連リンク

1)research.googleblog.com
Seeing More with In Silico Labeling of Microscopy Images

2)github.com
google/in-silico-labeling

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