機械学習を用いて賢い繊維を実現(1/3)

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1.機械学習を用いて賢い繊維を実現(1/3)まとめ

・繊維は、美的感覚、快適性、人間工学の観点からテクノロジーが日常環境に溶け込むのを助ける
・材料と柔軟な電子機器の進歩により、センサーを洋服や毛布などの柔らかい素材に組み込み可能になった
・機械学習を組み合わせ、より細かい挙動を感知できる賢い繊維がこの度発表された

2.E-テキスタイルとは?

以下、ai.googleblog.comより「Enabling E-Textile Microinteractions: Gestures and Light through Helical Structures」の意訳です。元記事の投稿は2020年5月15日、Alex Olwalさんによる投稿です。

元記事のタイトルにあるテキスタイル(Textiles)は織物や繊維、布地の意味ですが、あまり一般的な日本語ではないと思うのです。しかし、繊維として訳すと、少し違和感を感じる気がして特に、E-TextileってE-繊維になるのかな?なんかおやぢギャグっぽくない?などと悩みましたが「テキスタイル」より「繊維」の方が少しは違和感があっても意味は通じるので繊維の方が良いかなと思い繊維にしました。センサー関係のやや専門的な単語は流し読みで大丈夫と思います。

アイキャッチ画像はフィンランドの毛糸屋さんでクレジットはPhoto by K8 on Unsplash

繊維は、美的感覚、快適性、人間工学の観点から物体を改善し、テクノロジーが日常環境に溶け込むのを助ける可能性があります。

一般消費者向け製品では、布で覆われたスマートスピーカー(訳注:Amazon Echoなどは側面が布っぽいです)や編みこみのヘッドフォンコード(訳注:アンティーク用途の配線などに布巻きコードと言う製品があります)が織物を活用し始めました。

一方、材料と柔軟な電子機器の進歩により、センサーやディスプレイをジャケット、ドレス、毛布などの柔らかい材料に組み込む事が可能になりました。


触覚センサー、ジェスチャー認識が埋め込まれ、光で反応する事が出来る規模拡大も可能なE-繊維

論文「E-textile Microinteractions」(ACM CHI 2020の会議録に掲載)では、私達は繊維のような柔らかい材質に操作性をもたらし、機械学習(ML:Machine Learning)を繊維の形状記憶的な性質と組み合わせ、連続的なジェスチャーと断続的なジェスチャーをどのように認識させるかを示します。

どのように機能するかについては、以下のE-繊維の詳細な挙動に関するビデオとE-繊維の構造に関するビデオをご覧ください。

 


E-繊維は、連続的な動きを感じ取るセンサーを使って断続的な動きや掴む動作を認識します

らせん状のセンサー基盤(HSM:Helical Sensing Matrix)
組み紐(Braiding)とは一般的に、3つ以上の材料の撚り糸を斜めに織り交ぜることです。組み紐は伝統的に美学と構造的完全性のために使用されていますが、新しいセンサーや装飾を有効にするために使用することもできます。

繊維に何かが接近した事を感じとるだけならば、静電容量センサー(capacitive sensing)を使えば実現可能です。しかし、私たちは、より様々なジェスチャーを感じ取るためにらせん状のセンサー基盤(HSM:Helical Sensing Matrix)を開発しました。

HSMは、電気的に絶縁された導電性の織り糸と電気を通さない補助織り糸で構成された組み紐です。中心を挟んで反対に織り込まれている導電性織り糸同士が送信と受信の役割を果たし、高い感度を持つ「相互容量センシング(mutual capacitive sensing)」が可能になります。

組み紐のパターンは長さに沿って繰り返されているため、ユーザが指で触れた箇所が変調され、コードのどこに触れられた場合でも感知できます。


左:4 x 4の組み紐(らせん状の8つの導電性織り糸)で構成されたHSM(ヘリカルセンシングマトリックス)
赤紫色/青緑は、受信/送信ラインとして使用される導電性の糸です。グレーは電気を通さない補助織り糸(綿)です。
中央:基盤を平面化した図。コードの長さに沿って繰り返される無限の4 x 4行列(色付きの円0~F)を示しています。
右:黄色は視覚的に反応を表示するためのる光ファイバーです。

回転の検出
重要な洞察は、HSMで電極(および上図の平面化した基盤図で同じ色)を共有するの2つの線が互いに180度反対に位置している事です。従って、コードをつまんで回転させると、一連の電極がアクティブになり、これらの相対的な運動を追跡できます。

回転の検出は、90度ずらした時変正弦波信号で現在の位相を識別できます。組み紐はユーザーがどこを起点に回転しても検知可能で、小さな電極のセットで規模拡張が可能です。


回転は、水平方向の指の動きから推定されます。上図は、指を近づけると変化する相対的な容量性信号の強度を示しています。

3.機械学習を用いて賢い繊維を実現(1/3)関連リンク

1)ai.googleblog.com
Enabling E-Textile Microinteractions: Gestures and Light through Helical Structures

2)dl.acm.org
E-Textile Microinteractions

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