気候変動に対してAIは何が出来るのか?(3/4)

  • 2019.09.07
  • AI
気候変動に対してAIは何が出来るのか?(3/4)

1.気候変動に対してAIは何が出来るのか?(3/4)まとめ

・気候変動が非常に難しい問題である理由は、温室効果ガスの供給源が非常に多岐にわたるため
・安価な新しいゼロカーボンなテクノロジーが出現すれば経済的モチベーションで人々が動く
・摂氏4度とは、氷河期の気候と現在の気候の差に相当し非常に大きな気候変動である

2.二酸化炭素を貯蔵するアイディア

以下、www.eye-on.aiより「Episode 20 – John Platt」の書き起こし文の意訳です。元WebサイトはPodCast、つまり音声による配信をしているページです。

ジョン
再生可能エネルギーは現在利用可能です。少なくとも、電気使用量の半分を補うためにそれらを構築しない理由はありません。しかし、電気だけがすべてではありません。基本的に、電気は温室効果ガスのたった4分の1にすぎません。

土地の有効活用も非常に重要です。そして、交通手段。現在、あなたはいくつかの交通手段を電化する事ができます。私自身もプラグインハイブリッドカー(ハイブリッドカーに外部充電機能を加えて走行距離を増やした次世代エコカー)を持っています。

クレイグ
えっと、繰り返しになりますが、原子力は…

ジョン
いいえ、原子力に立ち向かうのは非常に困難です。何故なら、つまり、原子力は熱を発生するのです。しかし、セメント工場のすぐ隣に原子力発電所を置きたいとは思わないでしょう?

従って、一般的には輸送を考えるわけですが、一方、天然ガスの輸送管は、終端に炎がある場合、非常に効率的で安価な方法で輸送できます。産業用廃熱を置き換えることは非常に困難なのです。

そして、土地利用、つまり私達は農業の有り方を変えることができるということですが、森林破壊を行わずに、地球規模でそれを変えなければなりません。農業は実際には炭素発生源ではなく炭素吸収源です。

こういった事も問題の一部でしかありません。気候変動が非常に難しい問題である理由は、温室効果ガスの供給源が非常に多岐にわたるからです。

ですから、たとえ発電所の問題を解決して車を電化しても、飛行機を電化するのは非常に困難です。
変更するのが非常に難しいものがたくさんあります。そして、その変更は安価に行う必要があります。

置き換えるためのモチベーションが必要です。そうですよね?

気候を安定させるためには、「私たちがエネルギー政策について本当に大胆な方向転換をしなければならないという合意が一般的に成立する」か、または、「既存のテクノロジーよりもはるかに安価な新しいゼロカーボンなテクノロジーが出現」しなければなりません。後者が実現すれば、価格に対するモチベーションにより、人々は自然に切り替えるでしょう。

クレイグ
しかし、あなたの講演を聞いたとき、あなたは楽観的に考えていると言っていました。私は何故なのかと疑問に思いました。率直に言って、パリ協定があっても、既存の化石燃料を動力源とする発電所だけを各国に廃止させるという考えは実行するの難しいでしょう。

ジョン
私が楽観的ですか?私は・・、私は活動できなくなる事を拒否したのです。

つまり、これは重要な問題です。人々はそれが重要な問題だと知っていると思います。過去2年間、私が、人々とあちこちで話をしているだけで、アラームレベルが上がり始めています。

人々は自己満足から抜け出していると思います。今世紀の後半には、私たちができる事や技術の進歩がたくさんあると思います。ですから、摂氏3度のような完全に壊滅的な気候変動は回避すると思います。

そう、全て3以下に保つ必要があります。私の言いたい事は、つまり、3は良いことではありません。ですから、現在の状況では摂氏2度から3度の間で必死の攻防が行われると思います。

だから、私は、摂氏4度のような現実に実存するリスクを回避できると楽観的です。そして、それを3未満に保つためにできることは十分にあると思います。それならば、現時点では3度以下に、1/10度でも少しでも低く留めようと戦うことで、世界をできる限り良い場所にしようとしましょう。

ですから、これが私が楽観的に見える一種の理由です。それが楽観的なのか、それともただの決意なのかはわかりません。

クレイグ
ええ、しかしそれでは摂氏2度を超える事を想定しているようです。

ジョン
私は摂氏2度は切捨てをした結果の事を言っていると思います。

クレイグ
切捨て?切上げではなく?

ジョン
私は、私は、切上げではないと思います。

誰もが摂氏度の増加を1.5度に留める事を望んでいる事を知っています。2を下回らせる方法が1つあります。実際、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)の脱炭素世界への道のりを見ると、彼らは皆、地球物理学の制約により、2050年以降、いわゆるマイナスの炭素排出量を持つようになると考えています。

そして、通常、IPCCはBECCS(Bio-Energy with Carbon Capture and Storage:バイオエネルギーと炭素の回収と隔離)と呼ばれるものを使用することを想定しています。

それが行う事は、国土である種のセルロース、つまりある種の植物を育てます。良い土地ではないかもしれませんが、それでもどこかの土地です。それからそれを燃やし、発電し、煙突の中にある煙道ガスを使って、二酸化炭素を捕らえて地下に押し出し、それを圧縮して地下に保管するのです。

はい、この炭素回収計画は全て、現実的には、まだ初期段階の技術です。有望に見える炭素回収技術は存在します。しかし、現時点では、まだ炭素回収プラントはありません。それはかなり高価ですが、実際に動作する可能性があります。

私が最も心配しているのは、それが多くの土地を使い果たすことです。この計画に使われる農地は実際には貴重な商品を生産しています。ここに私が引用したい興味深い事実があります。

私たちの農地が補う、言い換えれば変換するテラワット数は、基本的に作物を育てて日光を砂糖に変える事で行われます。これは、およそ5テラワットまたは5兆ワットの電力です。その量は、年によって異なります。化石燃料の量、一次エネルギーの燃焼量は、私が最後にチェックしたとき、約18テラワットだったと思います。

従って、私達が使用している一次エネルギーシステムは、少なくとも私たちが制御可能なバイオスフィア、つまり農地などよりも大きくなってしまっています。

海にはたくさんの植物プランクトンなどがあります。しかし、本質的に化石燃料とは何千万年も前に照射された太陽光の力を借用している事であり、植物が過去に成し遂げたことを借用している事です。そして、私たちが作る農地に関して言えば、植物が私たちに現在与えてくれている力よりも、借用している力の方が年換算で3倍以上大きくなっているのです。

それで、ええ、多くのバイオエネルギーを得ることを望んでいますけれども、言いたい事は、例えば、航空燃料にも使用出来るかもしれませんが、それだけでは十分はないのです。

ハーバード大学のデイビッド・キースによる論文があります。空気から直接二酸化炭素を回収するプラントは1トンのCO2を約100ドルの運転コストで回収できると提案しました。それは私が予想したよりもずっと低いですが、それはまだかなり高価です。

あなたに肌感覚で感じてもらうために、そうですね、私は摂氏1度は2000ギガトンのCO2と試算しています。つまり、1度の上昇を抑止する量のCO2を吸い取るのには200兆ドルが必要になるということです。二酸化炭素を空中に吹き飛ばしてから引き戻すことを望むよりも、化石化した植物にそのまま炭素を捕獲しておいて貰う方がはるかに良いのです。

クレイグ
いやぁ、そのとおりですね。
私は炭素を地下に埋めるアイディアについてまだ良く理解できていません。

ジョン
ああ、その一般的な考え方は「炭素回収と隔離」と呼ばれます。

石炭工場に存在する、二酸化硫黄または硫黄酸化物と窒素酸化物を除去する大気汚染防止装置をご存じですか?同様に酸化炭素、二酸化炭素を除去できます。

それは高価で、圧縮する必要があり、回収した二酸化炭素をどうするか解決する必要があります。私たちが生産する二酸化炭素の量は非常に多いのです。

あなたはそれを燃料に変換したり、それを使って何かを試みることができますが、そのためには多くのエネルギーを必要になる事が判明しています。最も安くて簡単なことは、それを圧縮して、古いオイルやガスの貯留層のように地下に押し込むことです。このために生理食塩水の貯留層が用意できます。数千ギガトンの二酸化炭素を地下に置くことができます。 地下はとても広い場所です。 それが、炭素回収の仕組みです。

クレイグ
なるほど。それと、 気候が温まるにつれて永久凍土が融解し、そこから大量の炭素が大気中に放出されると言う問題についてはどうですか?

ジョン
はい。ツンドラ地帯は炭素吸収源ではなく炭素排出源になりつつあるようです。どうやら泥炭のように炭素を蓄積し、隠しているのです。はい、それが本当に重要な理由です。

可能であれば、気温上昇は2歳未満に抑えるのが最善です。それがまだ私達に達成可能かどうかはわかりませんが、1/10度気温が上がる毎にリスクが高まります。このリスクは定量化するのが非常に難しいのですが、ある種の正のフィードバックサイクル、気温の上昇が更なる気温上昇を呼ぶサイクルが始まるリスクです。

このリスクの定量化に確信を持っている人がいるのかどうかも定かではありませんが、フィードバックサイクルがあるかどうかに関わらず、摂氏4度の上昇では止まらず、最高で摂氏6度の気温上昇に達すると確信している人も実際います。

そして、あなたに肌感覚を持ってもらうために、摂氏4度とは、氷河期の気候と現在の気候の差に相当します。ですので、摂氏4度とはあなたが思うような些細な事ではありません。それは大変に大きな気候変動なのです。

クレイグ
いやぁ、そうですね。現在の温暖な気候でも、人々は以前よりも多くの空調を使用しており、より多くの電力を消費しており、より多くの化石燃料の燃焼が必要になっています。

ジョン
経済と地球物理学の間には、まさにそのような正のフィードバックループが存在する可能性があります。

懸念の1つは、世紀の半ばまでに、インドのように、外出が致命的になる日が大都市に訪れるかもしれないということです。

熱と湿度の組み合わせが高すぎて、ひどい事になります。だから、はい、あなたは人々を助けるためにもっと多くのエアコンを使用するでしょう、それは良いことであり、それを操作するにはより多くのエネルギーが必要です。

あなたは絶対に正しいです。ジェヴォンズのパラドックスとは、19世紀にイギリスの経済学者が石炭について語った観察です。それは彼の予測だったのではないかと思っていますが、実際にはワットが蒸気機関を改良した後の観測だったのかもしれません。ワットの改良により石炭を使用する蒸気機関がより効率的になり、必要とする石炭の量が少なくなりました。従来の蒸気機関は石炭を大量に使用していたのです。ワットの改良の結果、イギリスでは石炭の使用量は減ったと思いますか?

しかし、実際にはコストが安くなったため、蒸気機関で使われる石炭の使用量が増えた事がわかっています。人々はより多くの場所で蒸気機関を使用したいと考え、蒸気機関が多くの製品を作っているため人々はより裕福になりました。

成長するのです。ダイレクトエフェクトと呼ばれる効果があります。何かが安くなれば、人々はそれをより多く使用する傾向があります。

しかし、それによって複数のフィードバックが得られることはありません。経済を通じてならば、あなたはフィードバックを得ることができます。エネルギーを節約できるかもしれないと言う人もいますが、現在の世界では人々はより裕福になり、裕福な人々とより豊かな経済がより多く生産活動をしています。その後、経済のフィードバックループを通じて、実際により多くのエネルギーを使用します。

このフィードバックは、現在の世界では物議を醸しています。エコノミストは、フィードバックの係数が何であるかについて、さまざまな側面で試算しています。

しかし、機械学習を使用してシステムをより効率的にし、より少ないエネルギーを使用するようにする研究は良いことです。 とにかくそれを行う必要があります。なぜなら、エネルギーコストを減らすことで人々の生活が良くなるからです。それはボーナスです。 しかし、それはあなたが思うほど気候変動の抑止に結びつかないかもしれません。 そして、それはほんの少し、または全く進歩なし、または少し否定的な進歩をするかもしれません。

(アイキャッチ画像のクレジット Photo by Shaun Low on Unsplash)

 

3.気候変動に対してAIは何が出来るのか?(3/4)関連リンク

1)www.eye-on.ai
Episode 20 – John Platt

2)www.climatechange.ai
ICML 2019 Workshop Climate Change: How Can AI Help?

3)arxiv.org
Tackling Climate Change with Machine Learning

4)slideslive.com
Truck Traffic Monitoring with Satellite Images