Global Localization:GoogleMapを見ても道に迷う方向音痴な貴方へ

入門/解説

1.Global Localization:GoogleMapを見ても道に迷う方向音痴な貴方へまとめ

・Global LocalizationはVPSとストリートビューと機械学習を組み合わせて正確な場所と向きを特定する技術
・GPSは人工衛星からの信号の受信に難がある都市部で場所がずれてしまい、自分の向きもわからない
・Global Localizationはスマホカメラに自分の進むべき方向が矢印で表示されて迷わなくなる

2.Global Localizationとは?

以下、ai.googleblog.comより「Using Global Localization to Improve Navigation」の意訳です。元記事は2019年2月11日、Tilman Reinhardt‎さんによる投稿です。

Google Mapを使って経路を確認する際に常に課題になる事の1つは、進むべき正しい方向を指し示す事です。はい、アプリが貴方に北へ向かう事を指示しても、あなたは何度も迷うでしょう。「私の現在位置は正確にはどこなのでしょうか?そして北へ向かうにはどの道を進むべきなのでしょうか?」私達は何年にもわたり、GPSやコンパスなどのツールを使用して現在地の精度を向上させようとしてきましたが、どちらも物理的な制限があるため、特に都市環境ではこの問題を解決できません。

私達は、グローバルローカライゼーション(Global Localization)と呼ばれる手法を使ってこの問題を解決する方法を試しています。これは、より正確に位置と向きを特定するために、ビジュアルポジショニングサービス(VPS)、Googleストリートビュー、および機械学習を組み合わせた技術です。

この技術はスマートフォンのカメラをセンサーとして使用し、より強力で直感的な方法で、ユーザーがどちらの道を進むべきかをすばやく判断できるようにします。


正確さと向きに関する制限のために、GPSだけを使った経路案内は都市環境で制限されています。 グローバルローカライゼーションは、VPS、ストリートビュー、機械学習を使用して、自分がどこにいるのか、どこに向かっているのか、より適切に現在の状況を把握できるようにします。

本投稿では、都市環境における既存の経路案内システムの限界と、グローバルローカライズがそれらをどのように克服するのかについて説明します。

GPSが能力を発揮できない場所
機器の位置および向きを特定する事をローカライゼーションと呼びます。さまざまな手法がさまざまな方法でローカライゼーションに取り組んでいます。GPSは、複数の専用衛星から信号を受信し、信号が到着するまでの時間差を測定する事で正確な位置を測定しようとします。

しかし、ニューヨークやサンフランシスコのような高層建築物が密集した都市環境では、上空は遮られており、建物で反射する信号もあるため、地理的な場所を特定するのは非常に困難になります。

これにより、GoogleMap上の貴方の位置が非常に不正確になる可能性があります。つまり、現在地が道路の反対側、または数ブロック先に表示されてしまうのです。


建物で反射してしまう都市環境のGPS信号

GPSにはもう1つの技術的な欠点があります。位置を特定できるだけで、向きが特定できないのです。

場合によっては、スマホのセンサーが地球の磁場と重力場の相対的な動きを測定し、そこからおおよその向きを概算することができます。しかし、これらのセンサーの精度は磁力を持つ物体、自動車、パイプ、建物、さらには電話内の電線などによって簡単に歪められてしまい、最大180度の誤差が生じる可能性があります。

ローカライゼーションのための新しいアプローチ
地図上で正確な位置と方向を得るためには、新しい補完的な技術が必要です。道を歩いているとき、あなたは、あなたが見ているものとあなたが見るはずのものを比較することによってあなた自身の向きを判断しています。

グローバルローカライゼーションでは、スマートフォンのカメラを貴方の向いている方向に合わせる事ができるように複数の技術を組み合わせます。

VPSは、GPS信号ではなく画像に基づいて自分の位置を特定する技術です。VPSはまず、位置がわかっている一連の画像を撮影し、それらを建物や橋の輪郭などの重要な視覚的特徴に基づいて分析し、その視覚的特徴を使って大規模で高速に検索可能な索引を作成することによって地図を作成します。
スマートフォンの位置を特定する時は、VPSはスマートフォンで撮影した周辺画像の特徴をVPSインデックス内の特徴と比較して場所を特定できるのです。ただし、VPSによる位置特定の精度は、画像と位置情報の品質に大きく影響されます。そしてそれはまた別の疑問を投げかけます。どこに世界中の都市の高品質な風景画像がありますか?

Googleストリートビューにあります!
10年以上前に、人々が世界をより深く探索できるようにするために、Googleマップでストリートビューのサービスを開始しました。その当時より、ストリートビューは世界中に範囲を拡大し続け、人々が実際に道を歩くように見る事を可能にするだけでなく、有名な建築物や美術館の内部を、その人がどこにいようとも歩く事を可能にしました。

VPSを使用してグローバルローカライゼイションを実現するために、世界中の93カ国以上から収集およびテストされた情報を利用して、それをストリートビューデータと関連付けました。

この豊富なデータセットは、三角測量に利用可能な何兆もの強力な基準点を提供し、より正確にデバイスの位置を決定し、目的地に向かって人々を導くのに役立ちます。


複数の画像から特徴を抽出

このアプローチは理論的にはうまく機能しますが、実際にうまく機能させることは困難です。 問題は、ローカライゼイション実施時にスマートフォンから画像を撮影した際の季節と、ストリートビューの画像が撮影されたときの季節(おそらく数ヶ月前)とは異なることです。

たとえば、木には沢山の特徴がありますが、季節が変わったり、また風が吹くと変化します。うまく特徴を一致させるには、風景内の一時的な変化に該当する部分を除外し、時間の経過とともに変化しない永続的な構造に焦点を合わせる必要があります。

そのため、この新しいアプローチの中心的な要素は、どの特徴に注意を向けるべきかを自動的に決定するために機械学習を適用することです。風景の恒久的な部分である可能性が高い特徴の優先度を高くし、一時的である可能性が高い木や、動的な光の動きなどは無視します。なお、これは、機械学習を使用して精度を向上させる沢山の方法の中の1つにすぎません。

グローバルローカライゼーションと拡張現実(AR)の組み合わせ
グローバルローカライゼーションは、ユーザーが最も正確性を必要とするときに有効にできる追加のオプションです。そして、この精度の向上は、多くの新しいユーザ体験を可能にします。

私たちがテストしている最新の機能の1つは、誰かがウォーキングナビゲーションモードを使用している時、ARCore(Googleの拡張現実体験構築プラットフォーム)を使用してGoogleマップ上で方向を示す機能です。この機能を使うと、スマートフォンを一目見るだけで、どちらの方向に進む必要があるのかがすぐわかります。

初期の実験結果は有望ですが、やるべき重要な作業があります。 1つの大きな課題は、この技術をあらゆる場所、あらゆる条件下で機能させることです。深夜、吹雪の最中、または豪雨の中で実行する事を考えてみてください。

私達が本当に便利なものを開発しているという事を確認するために、Googleマップでローカルガイド認定されている皆さんの中から協力を得てこの機能のテストを始めています。ローカルガイド、つまり世界中のGoogle Map愛好家の小グループが、このアプローチがどのように最も役立つかについてのフィードバックを私たちに提供してくれるでしょう。

Google Lens(写っているものが何であるか、検索して調べる事ができるカメラ)のような他のAI使用技術のカメラ体験と同様に、現実世界の風景を拡張して方向を指し示す機能は、あなたのポケットの中にすでに存在する技術、つまりスマートフォンを使用するための刺激的で有用な方法を提供すると信じています。

私たちはこの技術を開発し続け、そしてスマートフォンカメラが新しいタイプの価値ある経験を追加する可能性を期待しています。

3.Global Localization:GoogleMapを見ても道に迷う方向音痴な貴方へ関連リンク

1)ai.googleblog.com
Using Global Localization to Improve Navigation

コメント

タイトルとURLをコピーしました