AIが対戦ストラテジーゲームDota2で人間のセミプロチームと戦った結果

アプリケーション

1.AIが対戦ストラテジーゲームDota2で人間のセミプロチームと戦った結果まとめ

・コンピューターゲームは囲碁や将棋より計算が複雑なのでAIが人間に勝つのは大変
・賞金総額数億円以上の大会も開かれる人気ゲームDota2で人間とAIがチーム戦で勝負
・人間はセミプロで構成されたチームで本気度も高いが果たして試合結果は!?

2.Dota2のAI対セミプロチームの試合結果

囲碁や将棋のように思考するだけで良いゲームと異なり、コンピューターゲームは画面の認識やキャラクターの操作、対戦相手の動きに瞬時に対応する判断力が必要になるため、計算の複雑性が増え、AIが人間に勝つのはまだ難しいとされていた時代もありました。

ですが、OpenAIと言う組織が人気ゲームのDota2でAIを使って人間に勝利する事に挑戦しており、昨年、2017年8月に1対1のタイマン勝負でAIが人間に勝利しました。そして、今回、1年後の2018年8月6日、5対5のチーム戦で、再びAIが人間のセミプロチームと戦いました。

Dota2は世界でとても人気のある対戦ゲームです。ざっくりとルールを説明すると下記。

・右上、及び左下にある互いの陣地を破壊した方が勝利
・互いの陣地は左、真ん中、右の3つの道(レーン)で繋がっている
・互いの陣地から定期的にコンピューターが操作する雑魚キャラが沸いて敵陣を自動で目指す
・自分の操作キャラ(ヒーロー)で敵軍のキャラを倒すとレベルアップして強力になる
・相手に経験値を与えないため瀕死の味方雑魚キャラを自分で殺すテクニックも重要(deny)
・ヒーローは強力な独自スキルを4種持っておりレベルアップ時に1つを取得できる
・マップ内には第三勢力キャラがいて倒すとゴールドや経験値を取得できる
・ゴールドを使うとマップ内に存在するショップから強力なアイテムを購入できる

と、まぁ、もっとざっくりと書くと「結構複雑なルールのゲーム」です。

そしてDota2と言うゲームは大変人気があるため、プロの興業が成立しているゲームです。2017年8月に行われた大会では賞金総額最大2,466万ドル(約27億円)と言う、日本の感覚ですと現実感を感じられないレベルの高額賞金の大会が開催され、本当にそのゲームだけで生計をたてているプロがいる世界なのです。

5vs5のゲームでは多数で1つのレーンを攻めあがる等の高度な戦略も出来ますし、味方同士のスキルを連携させて相手を倒す等、プレイの幅も広がり計算の複雑さは1対1とは比較にならないレベルで増加します。

そして人間サイドも今回はセミプロチームで、ある意味生活がかかっています。結果は如何に!?

mike cook氏のツイッターよりダイジェストを意訳すると下記です。

よし、私はOpenAIの試合を見るために朝6時に起きました。
ふぅっ、数日後には詳しい記事を書く予定ですが、簡単な試合の概要をここに。
OpenAIのAIは2-0で人間に勝利しました。第三戦のショーマッチではAI側に厳しいハンデが課せられていたので負けましたが。

ゲームは基本的にはまさに我々が期待通りになりました。AIの操作するボットは非常に良い反応を度々示し、自分が置かれている世界を正確に知覚し、とても素早く行動していました。驚くべきことはあまりありませんでした。

同様に、一度ボットがショーマッチで不利な状況に押し込まれると、ボットは完全に撃破されました。貴方は人工知能が未経験な状況に対してどのように応答するか、その脆弱性を知ることができます。

AI研究者としては、私は今回の勝利がAIにとって大きな一日になったと思います。 – まだ重要な注意事項と制限がありますが、これらのボットはDota2内で何をすれば自分が有利になるか発見し、それを活用する事が非常に上手です。

DOTAプレーヤーとして…私は第三試合(ショーマッチ)でちょっと退屈している自分にびっくりしました。最初の驚きが消えると、ボットのプレイには何かが不足しているのです。そこに心理的駆け引きはなく、瞬間的な判断もなく、ボットは非常に視野が狭いです。しかしそれは別の日に話をしましょう。

さて、私はブログのために残りの話をとっておきましょう。参加したすべての人におめでとう。それは素晴らしいプロダクションであり、@OpenAIはその勝利のために頑張りました。私は彼らが自分自身に課す余分なプレッシャーとショーマッチでより多くシステムをさらけ出す意欲に感銘を受けました。GGWP(Good Game Well Played)

試合の様子
1戦目は1時間46分、2戦目は2時間33分、3戦目は3時間46分

感想を読む限り、AI側は「効率的にヒーローをレベルアップさせる」事を優先させる作戦だったようですね。確かにDota2のヒーローは最初は弱いのですが、レベルアップすると手が付けられない強さになるため、「相手のレベルアップを邪魔しつつ、自分をレベルアップさせるか?」が究極的な戦略目標ではあります。

レベルアップ速度で勝負したら絶対にミスをしないAI側と人間側では勝負にならないので人間側は奇襲をかけるしかなく、戦略としては「人間側の奇襲に注意しながらレベルアップをする」であって正しいとは思うのですが、ただ、それを機械的な正確さで淡々とやるのが見ていて面白いかと言うと「ボットのプレイには何かが不足している」と言う感想になるのでしょうか。

3.AIが対戦ストラテジーゲームDota2で人間のセミプロチームと戦った結果関連リンク

1)twitter.com
@mtrc

タイトルとURLをコピーしました