プログラム可能な超伝導プロセッサを使用した量子超越性の達成(2/3)

ビッグデータ

1.プログラム可能な超伝導プロセッサを使用した量子超越性の達成(2/3)まとめ

・量子超越性実験はSycamoreという名前の完全にプログラム可能な54量子ビットプロセッサで実行された
・各量子ビットが4つの他の量子ビットに接続されている2次元グリッドで構成され従来コンピュータでエミュレート可能
・チップ設計を最適化して混線を低減し、量子欠陥を回避する新しい制御較正の仕組みで達成

2.Sycamoreプロセッサー

以下、ai.googleblog.comより「Quantum Supremacy Using a Programmable Superconducting Processor」の意訳です。元記事は2019年10月23日、John MartinisさんとSergio Boixoさんによる投稿です。

この実験では、まず、回路の深さを一定に保ちながら、12から53量子ビットまでのランダムな単純化された回路を実行しました。古典的なシミュレーションを使用して量子コンピューターの性能を確認し、理論モデルと比較しました。システムが動作していることを確認したら、古典的なシミュレーションが実行不可能になるまで、53量子の深さのランダムなハード回路を実行しました。


Schrödinger-Feynmanアルゴリズムと量子ビット数とサイクル数を用いて量子優位性回路の検証時間を推定。星印は、今回の量子回路実験で計算した最大の推定計算時間を示しています。

この結果は、拡張チャーチ=チューリングテーゼに対する最初の実験的課題です。チャーチ=チューリングテーゼでは、古典的なコンピューターは「合理的に計算可能な」計算モデルを効率的に実装できると述べています。古典的なコンピューターでは合理的に計算できない最初の量子計算により、コンピューティングの新しい探索領域が開かれました。

Sycamoreプロセッサー
量子超越性実験は、「Sycamore」という名前の完全にプログラム可能な54量子ビットプロセッサで実行されました。各量子ビットが4つの他の量子ビットに接続されている2次元グリッドで構成されます。結果として、チップには十分な接続性があり、量子状態はプロセッサ全体で迅速に相互作用するため、全体的な量子状態を従来のコンピューターで効率的にエミュレートすることは不可能になります。

量子超越性実験の成功は、並列性を備えた改良された2量子ゲートによるものでした。 このゲートは多くのゲートを同時に操作する場合でも、記録を確実に実現するように強化されています。

隣接する量子間の相互作用をオフにできる新しいタイプのコントロールノブを使用して、このパフォーマンスを達成しました。これにより、量子システムが複数接続されていてもエラーが大幅に削減されます。

チップ設計を最適化して混線を低減し、量子欠陥を回避する新しい制御較正の仕組みを開発することにより、パフォーマンスをさらに向上させました。

各量子ビットを他の4つの量子ビットに接続して、2次元の正方形グリッドで回路を設計しました。このアーキテクチャは、量子エラーを訂正する実装に対して上位互換性があります。54量子ビットSycamoreプロセッサは、これまで以上に強力な一連の量子プロセッサの最初のものであると考えています。


同時に動作している全ての単一量子ビット(e1:交差状)及び二量子ビット(e2:棒状)のパウリ誤差(Pauli errors)を示すヒートマップ。表示レイアウトは、プロセッサ上の量子ビットの分布に従っています。
(Nature誌の特別の許可により転載)

 

3.プログラム可能な超伝導プロセッサを使用した量子超越性の達成(2/3)関連リンク

1)ai.googleblog.com
Quantum Supremacy Using a Programmable Superconducting Processor

2)www.nature.com
Quantum supremacy using a programmable superconducting processor

3)arxiv.org
Quantum Supremacy Is Both Closer and Farther than It Appears

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