Google Earthのタイムラプスの動作を内部から見る(2/2)

入門/解説

1.Google Earthのタイムラプスの動作を内部から見る(2/2)まとめ

・スマートフォン用ブラウザの動画に関する仕様が変化しタイムラプスが実現可能になった
・いつでも何処でも柔軟に地図データ視覚化できるようになり過去と現在の比較も容易になった
・既存のデータと地図データの視覚化を組み合わせる事で新たな知見が生み出される事が期待される

2.タイムラプスをスマートフォンで操作する工夫

以下、ai.googleblog.comより「An Inside Look at Google Earth Timelapse」の意訳です。元記事の投稿は2019年6月5日、Paul Dilleさん、CREATE Labの皆さん,Chris Herwig, Geoさんによる投稿です。技術の進歩により、GIFアニメより動画の方がデータサイズが小さくなるケースも出てくるようになった事でタイムラプスがスマートフォンでも実現可能になったのですね。

いつでもどこでもタイムトラベル
4月の更新以前は、タイムラプスビジュアライゼーションへの訪問者の30%がモバイルデバイスを使用していたため、実際にはビジュアライゼーションを体験できず、タイムラプスの代わりに、YouTubeのタイムラプス動画のプレイリストに転送されていました。

最近まで、スマートフォンやタブレットのハードウェアとCPUは、ビデオをズームインまたは移動(パン)しようとすると、ビデオをデコードするために大幅な遅延が発生し、不可能ではないにしてもモバイル機器による操作は快適とは言えませんでした。

さらに、パンやズームを行ってもビジュアライゼーションを滑らかに見せるように、再生するビデオを直前に再生していたビデオと同期して自動再生を開始する必要があります。しかし、ごく最近まで、モバイル用ブラウザの開発会社は、スマートフォンの帯域幅に制限がある事から、ブラウザレベルでビデオの自動再生を無効にしていました。

モバイルブラウザのベンダーがビデオの自動再生を再度有効にしたので、ピラミッドマッピング手法によるデータの効率的な利用を活用しながら、現在のモバイルハードウェアとCPUの機能を利用してモバイルでタイムラプスを有効にできます。(訳注:GoogleのChrome for AndroidがAutoplayを有効にしたのはversion 53からで2016年7月の発表でした)

多様なデバイスのためにタイムラプスを再設計
タイムラプスは探査のためのツールなので、私たちはストレスなく探索に専念できる事を考慮して設計し、できるだけ多くの不動産を地図に掲載しようとしています。

一方で、それは単なる地図ではなく、動画の地図です。そのため、一時停止や再開、ハイライトの選択など動画操作用が必要であり、私達はシンプルできれいな線と焦点領域を明確し、マテリアルデザイン(訳注:操作感を統一するためのアイコンなどのツール群)を活用しました。


新たに実装された「マップモード」を使用してGoogleマップと切り替える事ができます。

地図を探索するには、現在地または探索したい場所がどこにあるかを知っておく必要があります。そのため、新しいインターフェースでは、ユーザーがGoogleマップで位置を特定するために「マップモード」に切り替える事ができます。

また、ユーザインタフェースのタイムライン操作箇所に規模の概念を組み込みました。そのため、タイムラプスの期間を長くしたり、さまざまな時間間隔でオプションを追加したりするなど、将来的に新機能が追加されてもデザインが崩れてしまう事はありません。タイムラインはまた、ユーザが時間的に逆行することを可能にします。現在と過去を比較するための興味深い方法です。

WebGLをサポートするデスクトップブラウザについては、オープンソースプロジェクトに新しいWebGLビューアを追加しました。これは、最適な解像度で動画をフル画面表示するために複数のビデオをロードおよび同期するものです。これによる美的な改善は重要であり、4倍以上の解像度が得られます。

次に目指す事
私たちは、自由に利用できる、オープンライセンスの衛星画像と利用可能なリモートセンシングデータが豊富にあることに興奮しています。これらを使えば、時間、空間、視覚的および非視覚的スペクトルで新しいヴィジュアライゼーションが可能になります。これらを、WDPA(World Database on Protected Areas:保護地域の世界規模データベース)など、補足的なレイヤーと組み合わせると、多くのケースで新たな洞察を生み出す可能性があります。

例えば、ピッツバーグの持ち家割合の減少と人種的な構成の変化を視覚的に捕らえる事は、レポート上の単なる数字では表現不可能な人種間の不平等を浮き上がらせます。視覚的な証拠が、言葉や文化の壁を超え、世界的な課題について生産的な会話を生み出すことを願っています。

謝辞
カーネギーメロン大学のシニアシステム科学者Randy Sargent, CREATE Lab, そしてGoogle Earth Engineチームの皆さん

3.Google Earthのタイムラプスの動作を内部から見る(2/2)関連リンク

1)ai.googleblog.com
An Inside Look at Google Earth Timelapse

2)timemachine.cmucreatelab.org
Explore simultaneously in space and time with Time Machine

3)material.io
Tools – Material Design

4)www.protectedplanet.net
Discover the world’s protected areas

5)earthtime.org
stories/pittsburgh

6)developers.google.com
A planetary-scale platform for Earth science data & analysis

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